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Posted by ブクログ
こりゃすごい。こんな中間管理職の本が欲しかった、という一冊。教科書の名に相応しい。
そろそろ、中間管理職かな…というビジネスマンはもちろん、うちのボスってどうなんだろう?という若手のビジネスパーソンにも。
"ただ一度の人生を生きた証は、自分が「存在する世界」と「存在しない世界」の「差分」でしか表現できない"という表現はよかった。誰の仕事も、他の誰でも代替可能(そしてそうあるべき)という考え方は確かにある意味では正論なのだが、そこにはどうしても一抹の寂しさが付きまとう。
部下を動かすには外発的動機付けではなく内発的動機付け(モチベーション)が大切だという話はよくわかる。この時代、部下だけでなく代理店などのビジネスパートナーもそうだ。金銭的インセンティブや叱責だけではそもそももう人は動かせない。モチベーションを上げるだけでなく、「維持する」ことの大事さは、DJがフロアの雰囲気を生み出す感覚と似ているのだろう。
仕事においては各々の役割は「機能」として捉えられがちだが、こと管理職においては部下を「機能」ではなく「一個人」として捉えなければならないことが言及されている。これは経験論でも、やはり一個人として認証されている組織というものは温かみがあるように感じられる。
部下と上司の異なるサウンドを調整する機能としての中間管理職。これは本社と支店をつなぐ窓口担当者の視点にも通じるだろう。
「共通する価値観」で組織がまとまるためには、やはり「顧客第一主義」が最も最大公約数的な価値観。個々人の属性や情報にフォーカスするよりも、組織の使命をもとに進めていくのが良いのだろう。
叱る場合は、人影でこっそり。この辺りのアンガーマネジメント技術が求められるのだろう。ミスは繰り返さなければ(規模にもよるが)大した問題ではない。「同じミスを繰り返さない工夫」を部下に考えてもらうことが有効。敵は至る所で褒めるというのも政治的テクニック。
数値目標は、嘘にならないレベルで悲観的な視点で立てること。また、全ての数値目標について説得力のあるストーリーを用意すること。予算立てをこれまで実務レベルで行ってこなかったことを考えると、非常に参考になる。
エース級の人材はある程度自由にやらせてみる。
自分の負けパターンを知り、負けパターンに陥らないよう細心の注意を払うという考え方は非常にためになる。マイクタイソン(か誰か)も「勝つことよりも負けないことが大切だ」と言っていたような。世の中に多い負けパターンは「怒りの表現」「無知の無知」。自分がこの2点の負けパターンに陥っていないか、ウィークリーでチェックしてもいいかも。
読書価値を言い得て妙に表現しているところもすごい。読書は、圧縮された文字情報を解答して脳内で広く展開していく営み。干し椎茸を水やお湯で戻すようなもの。活字は動画や音声ファイルと比べて、情報が圧倒的に凝縮されているので、情報習得効率が非常に良い。逆に、展開が得意になると圧縮も得意になるのかもしれない。
Posted by ブクログ
【気づき】
・課長として最も大切なのは、部下のモチベーション管理
・課長の本質は、ルーティン・ワークから外れるような例外的な業務に対応できる柔軟性
・社内政治において予算と人事を勝ち取る鍵はキーマンとの関係性
・部下の悩みやメンタルの発見には女性特有の感度に頼る
【行動】
・ルーティンワーク外の業務に対応出来るように、今のうちに挑戦し、経験を積んで専門性を深める。少なくとも二つの分野において、組織内では専門家と言えるレベルになる。
・社内キーマンとの関係性構築を積極的に行う。情報発信と彼らの成果へのアウトプット。組織の枠組みを超えた業務を行い、組織の仕組み、動かし方を理解する。
・経営者のレベルと担当者のレベルを理解、区別し、それぞれに適切な粒度で伝える。
Posted by ブクログ
前半は面白いが後半はいまいち。参考になったのは下記
課長の教科書
予算管理に実質的な責任をもつ管理職の最下位
経営者と直接仕事の話をできる最下位
部下の業績や能力を評価できる最下位
部下の正しい行動をほめ、成果を能力、実績と照らし合わせて評価する
叱り方
事実関係をかくにん
問題に至った原因を究明させる 考えさせる
気付かなければ直接原因を伝え、叱る
感情のフォロー
ストレスの管理
低すぎてもだめ
仕事に没頭する状態の条件
やることの目的と価値が明確になっている
活動を自分でコントロールできる
難易度がちょうどよい
邪魔が入らない
成功と失敗か明確
Posted by ブクログ
はじめての課長の教科書
・課長は、部下を一人の人間として気にかけ、興味を持ち、熟知することで部下のモチベー
ションを高め、成果につなげることができる。
・課長には、家族的な方法で部下をまとめつつ、成果を上げることが求められる。
・部下が、「何かあれば課長が守ってくれる」という実感を持って、安心して業務に専念で
きるような環境を作ることが大事。
・多くの課長には部下を褒めるというスキルが欠けている。照れずに。上司の沈黙は部下へ
の期待値の低さを伝えてしまうことを肝に銘じよ。何も伝えなければ、部下のモチベーシ
ョンは自然に低下する。
・部下を褒めるときは、ミーティングや打ち上げの場など、なるべく多くの人が集まる場所で褒める。複数を同時に褒めるのではなく、十分に目立つように、ただ一人をしっかりとほめる。
自分がこんな風に褒められたらうれしいだろうな、と想像を働かせ、効果的に感謝の気持ちを表現する。
・ほめるの反対語は、叱るではなく、部下に無関心でいること。
・叱ることは、褒めるよりずっと難しい。しかし人間は叱るというフィードバックなしになかなか成長できない。
必ず、人陰でこっそり叱る。
・①事実関係を確認する。問題の前後関係を部下から聞き出すことが第一のステップ。
・②何が原因で問題が起こったか、をまず考えさせ、次にどのようにしてその原因となった
ことを取り除くか、について考えさせる。部下に原因がわからないのが難しいケースだが、このとき拙速に原因を指摘すると、部下を追い詰める。できるだけヒント程度にとどめ、
部下にじっくりと考えさせる。
・③部下が気づかなければ、直接に原因を伝え、部下を叱る。叱るという行為を通して、その信頼と期待を伝えることができれば部下のモチベーションは高まる。
・④叱ったあとのフォロー。叱った直後に、部下への期待をハッキリと示し、その場を明るい雰囲気で閉じる。
・課長が現場に降りる。それが部下にとっては自分の仕事が重要であることの証拠となる。
かといって、常に課長に監視されている、というような観察の仕方は逆効果。
・コーチングは、その前提は「問題の答えは、その人の中にこそ存在する」という発想。
その答えを引き出すための技術が、「質問」。コーチングは、「質問をベースとしたコミュニケーションの技術」ということもできる。上手に質問して、問題をその人自身に解決させようという試み。
・コーチング3つの目的
①部下の潜在能力を引き出す。
②思考プロセスを鍛える。コーチングのプロセスでは質問を繰り返し投げかける。問いかけこそが、問題の解決手段であることを、部下が身をもって体験することが大事。
知識の有無よりむしろ、こうした自問自答のちからをつけることこそが、キャリアの将来を左右する。コーチングは、部下が自身の内面に向かって自分で質問する技術を学ぶトレーニングだといえる。
③課長に気にかけてもらっている、ということを実感させることが部下のモチベーション管理の本質である。
・コーチングの心構え
①部下のことを思う気持ち。価値を高く評価し、可能性を信じる。それを、しっかりと言葉で伝えることが大事。
②プライベートなど秘密は秘密として守ることを約束し、固く守ることが大前提。その信頼があって初めてコーチングは成立する。
またどれほど信頼関係があっても質問されても答えたくないことがある。言いたくない秘密まで言う必要はないことをはっきりと言葉で伝えよう。
③コーチングは万能ではない。ときにはアドバイスや指示を与えたり、褒めたり叱ったりすることが必要。
・コーチングの禁止事項
①アドバイスや指示、提案などは決して行わない。部下の話を聞いていると、どんな話題であれアドバイスをしたくなるものだが、コーチングの大前提は、「問題の
答えは、その人のなかにある」根気よく何度でも質問をしてあげることが重要。
②YES,NOで答えられるような質問は避ける。どうにでも答えられる質問「オープンクエスチョンを心がける。誘導尋問になりかねず、コーチングを台無しにする。
③「なぜ、どうして?」と質問するときには、非難の意味を込めないように注意する。心を開きやすくするには、ポジティブな雰囲気が大切。
・コーチングのコツ
普段の会話から、意識して聞き上手、質問上手になれるように努力する!
そうして少しずつ、話を引き出すために有効な聞く態度や質問のパターン、表情や声のトーンなどを体験を通して覚えていく。コーチングのスキルが身につけば、自然と部下から相談を受ける機会が多くなってくる。毎日の会話一つ一つがコーチングの機会である。
・楽しく仕事に没頭させる。フロー体験。それに至るための条件とは
①やることの目的と価値が明確になっている。部下の仕事が、この社会にとって、どういう価値があるのかを明確に示してやることが重要、人間は目的に合意しないままに
手段だけに集中することはできない。何度でも部下の仕事の価値を語るべき。
②仕事に関する決断をするために、関係者の顔色を伺う必要があるなら、仕事に没頭することはできない。できる限り部下には権限を与え、基本的に部下の仕事は部下に任せるべき。任されていることで部下には自信も生まれ、同時に緊張感が生まれる。
スターバックスには接客マニュアルがない。自分の頭で考えるのが従業員のモチベーションを高めるから。
・オフサイトミーティング
話にくさの原因となる立場や肩書を取っ払い、本音で話し合い、チームの結束を堅固なものとすることが目的。
論理より共感、まじめでなく遊び心。
ルールは、自分はこう思うというのを語り合いをする。(議論をしない)、話をしている人以外は聞くことに徹する。十分な時間を確保して、勤務時間中に行う。最低でも半日。
特定の誰かを批判することにならないように大きなテーマで語り合うのが望ましい。テーマから外れるような話も容認。結論は出なくて当たり前。
何度も継続させることが重要。
・新しい職場のルーティンワークをしっかり覚えるべき。
・課長は部下にとり暖かい人物であるべきだが、弱腰である必要は全くない。課長が弱腰だと、全員が動揺してしまう。
普段からまめに権威づけをしておくことは、部下から無駄な攻撃を受けないためにも必要。
・自分の負けパターンを知っておく。自分の弱点を根本的に克服することは困難でも、同じ失敗はテクニックで回避できる。自らの負けパターンを知り、注意深くそれを回避しつつ、極力失敗を少なくする。
・弱いきずなのネットワークは、幅広い視点を得るために非常に有益。接点のない人や異分野の人との交流をしておくとキャリア戦略上も役に立つ。
・ビジョンをもって、しっかりと考えをもって、部下に示すことが大事。目先の問題の火消しに捕らわれてはならない。
・自分の部署さえ良ければそれでいいということにはならない。組織全体のことはもちろん、私たちが生きる社会、将来を担う子どもに対して善いことを行おうとする気力に充実する必要がある。
・問題が発生すれば、いきなり我流でこなそうとぜず、まずは先人の知恵を参照する。
・すくなくとも二つの分野において、組織内では専門家というレベルにある。
・組織長である正当性は、なによりも実績で示されるべき。そして修羅場から逃げないという組織内における信頼が必要。気にすべきは実績のみによる評判であり、査定によって示される短期的評価ではない。
・ビジネス一般(マーケッティング、会計、IT、グローバル)について、十分な教養を持っている。
・困難は、ロジカルに分解する。
・指示を出す相手の職務能力に応じ、指示は適切な「粒度」をもっていなければならない。
・報連相は徹底されなければならない。
・報告は待つのではなく、部下のところに情報を採りに行く態度をとる。
・部下が報告している事柄が、事実なのか意見なのかを常に気にする。調子がいい、といった話も、具体的に何がどうなっているのかという事実を把握しなければならない。部下によるビジネス環境の解釈に頼ってはならない。あくまでも事実を追いかけ、その解釈は課長である自分が行うべき。
・他部門の目標を理解し、その目標達成を積極的にサポートする姿勢を持つ。有効な人脈造りにもなる。
・セクショナリズムを嫌い、他部門との意見交換や人材交流を積極的に行う。知的な仕事は常に異分野からくる。
・部下は課長の背中を見て育つ。期待されるのはラーニングリーダーシップ。部下よりも多くを学び、積極的に多様な経験を得ようとする態度を見せるのが部下の育成に最も有効。
・ノウハウはため込むようなことはせず、組織内で