あらすじ
捨てるって、気持ちいい!
『三千円の使いかた』の著者による、
部屋が片づく、心が軽くなる、"デトックス小説"!
【内容紹介】
不倫の果てに刃傷沙汰を起こして謹慎中のりり子叔母さんと、就活に失敗してアルバイトをする私。
一族の厄介者の二人は、叔母さんのおんぼろアパートの部屋にあふれるブランドのバッグから靴や銀食器、
着物までをせっせとネットオークションにかけていく――。
【担当編集より】
今、私の部屋は奇跡的にきれいです。
部屋に「いらないもの」が溢れている。
「片づけなきゃ」と分かっているのに、動き出せない――。
本作はまさに、そんな私のための物語でした。
読めば、明日がきっとより素敵なものに変わる。
優しく、軽やかに背中を押してくれる一冊です!(編集T)
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Posted by ブクログ
全く毛色の違う中編2編だが、心底ハッピーエンドではなくそれぞれが抱えている価値観について考えされされる深い話であると感じました。
「人生オークション」警察沙汰で周りに迷惑をかけた叔母の部屋に山積みになった物を処分していく過程で、叔母のモノに対する価値観の変化が楽しい。叔母のいい加減だけど優しい人柄が考えすぎな性格の主人公には受け入れがたいのはあるあるだと感じた。
「あめよび」結婚せず付き合い続けたい主人公の彼氏には読者には共感されないし、顛末も主人公にとってよかったと思うがどことなく寂しい結末ではあり、深い余韻があります。諱のこと、眼鏡屋さんのお仕事についてはとても興味を惹かれた。次に眼鏡を作るときの参考にしたいとおもった。
Posted by ブクログ
人生オークションとあめよびの二本立て。
オークションって、あいまいなものの価値をすり合わせて売る。まさに個人のオークションでもあるような就職活動が実際のオークションと対比のように書かれています。
叔母の不用品にテキパキ根付けができる主人公なのに、自分の良さを就活で売り込むことができないのです。
こうした主観的評価と客観的評価のハードルの違いは、叔母の身にも起こります。
帯を50万円で買ったことはいつまでも主張するのに、刃傷沙汰の濡れ衣は「そう見られる自分が悪い」と受け入れてしまう。
読んでいくと本当に自分の評価って難しいよね…と思うと同時に、平凡すぎる自分でもどこかにアピールできるものがあるかもねとラクになった気がします。
あめよびは「雨予備」
本来は日の目を見ない諱もまた輝男の雨予備なのかもしれません。これを明かしたくないからか結婚しない。
結局別れたあと偶然の再会で教えてくれますが、でも雨予備が役に立つのは雨の時だけ。
すでに結婚した主人公になぜ最後に教える気になったのか色々考えさせられました。
あとがきを読んで調べたら、平山という姓は第二次世界大戦の際に創氏改名という日本の政策下で韓国人が比較的多く名乗った氏とのこと。最後に輝男が明かした三文字は韓国名だったのかもしれません。子供の頃苦労したのは日本での差別が関係するのかも。
人生オークションは素直に面白かったし、あめよびはちょっと難しいテーマでしたが自分なりに調べて勉強になりました。
Posted by ブクログ
2つのお話が入っている著書でした!
「人生オークション」は、叔母と姪っ子のお話。
オークションをしていく中で、自分の人生も見つめ直していく。
「あめよび」は、ハガキ職人も出てきて
ちょっと風変わりなお話でした。
どちらも面白かったのですよ。
Posted by ブクログ
ものに溢れている状態から、少しずつオークションで断捨離していくのが気持ち良かったです。その作業に伴ってりりこも少しずつ成長していっているかんじもしました。
自分のことではないのに、作品の中の物がどんどんなくなっていくことで、自分の部屋が綺麗になっていっているような錯覚を覚えました!断捨離したくなる!!
Posted by ブクログ
本当にやったかどうかではなく、誰も「やっていない」と信じてくれなかったということが重要というのはすごくよく分かるなと思った。
こういう時に「この人がそんなことするはずない」と誰かがかばってくれたら・・。
いろんなことに自暴自棄になってしまう気持ちは分かるなと思った。
物が多すぎる状態というのはいろんなやる気を失わせるけど、やる気がなくなるからこそ物が溜まっていってしまうこともあるんだろうな。
姪やひよこちゃん、オークションの人々とのやりとりで「信じられている」「認められている」という感覚を得られたこともおばさんを救ったんだろうなと思った。
2話目の「あめよび」は煮え切らない彼氏にむむー!っとイライラしつつ主人公に感情移入しながら読んでしまったけど、ある意味こういう彼氏みたいな、自分を持っていて自立している人にも憧れる。
自分がどうしても無理だと思うことを相手によって流されないところがすごいと思った。
ただ最後の走ってきて伝えるシーンはやっぱりズルい!
なんか爪痕残していくような感じがして、なんなのさ!と思った。
大好きだった人にこんなことされたら、きっとずっと忘れられないだろうな。
Posted by ブクログ
急に行くことになった 遠方の田舎町。
軽いタッチの小説で定評のあるこの作家さんを選んで
新幹線のお供にしました。
主人公はアルバイターの瑞希。
不倫相手の奥さんと警察沙汰を起こし 離婚されてしまった叔母りり子のところに通うことになる。
せまい部屋に積み上げられた山のような段ボール。
これを片付けるべくオークションを試みるふたり。
荷物をオークションにかけていくうちに 少しずつ叔母のかかえてきた気持ち
そして 「就職する」という世間のレールに乗り切れない自分の気持ちが靄の中から姿を現していく。
主人公と叔母さんの人生は まぁよく聞くような展開なのだけれども
・落札者へのちょっとしたメーッセージカードは嬉しい?イヤ?
・洋服は高い値段で買ったとしても 案外売れない とか
オークションにかけるドキドキ感やテクニックは
オークションヘビーユーザーの私には身近に感じて面白かった。
もう1つの話し「あめよび」は
ちょっと切ない恋愛話
長く付き合っている恋人同士の結婚に踏み切れないもどかしさは(あ~んもう 次行こう!つぎ!)と言いたくなる。
まだまだ暑い 秋の入り口は このくらいの軽妙感がピッタリだと思います。
おすすめ。