【感想・ネタバレ】ミスによる事故をどう防ぐか 4種のヒューマンエラーと組織の安全文化のレビュー

あらすじ

人は必ずミスをしてしまう。
「以後、気をつけます」と言っても、思いもしないミスは起こり続ける。
どうすればミスをしても事故に至らないようにできるか。

本書はミスの原因を、
①違っていた・わからなかった、
②知らなかった・できなかった、
③しておけばよかった、
④してしまった、の4タイプに分類し、
重大事故を例に示しながら防止策を検討する。
そして、真の原因である組織の問題を指摘し、安全文化の構築を提言する。



はじめに

序章 ヒューマンエラーの定義と分類
1 ヒューマンエラーの定義
2 ヒューマンエラーの分類
3 「違っていた・わからなかった」エラー(誤認識エラー)
4 「知らなかった・できなかった」エラー(リソース不足エラー)
5 「しておけばよかった」エラー(安全行動省略エラー)
6 「してしまった」エラー(効率優先エラー)
7 分類のまとめ
8 事故に至らないようにする

第1章 なぜ人はミスをするのか
1 人間は効率優先
2 人間はトップダウン的に判断する
3 人間は選択的に注意を向ける
4 人間は自動処理をする
5 人間は知識やスキルが常に高いわけではない
6 人間はリスクを低く見積もる
7 人間の特性とヒューマンエラーの分類

第2章 滑走路衝突事故(誤認識エラー)――「違っていた・わからなかった」エラー・事例1
1 衝突事故はなぜ起きたのか
2 どうすれば事故は防止できたか
3 誤認識エラーを防ぐには

第3章 使用禁忌の薬剤を使った医療事故(リソース不足エラー)――「知らなかった・できなかった」エラー・事例2
1 使ってはいけないことを知らなかった
2 知識不足にはどう対処すべきか
3 知識がなかったことは責められるべきことなのか
4 リソース不足エラーを防ぐには

第4章 通園バス置き去り事故(安全行動省略エラー)――「しておけばよかった」エラー・事例3
1 送迎バス内に取り残され死亡した園児
2 確認がなされなかった
3 確認不足を誘発した背景要因
4 事故を防ぐには
5 安全行動省略エラーを防ぐには

第5章 速度超過で脱線した事故(効率優先エラー)――「してしまった」エラー・事例4
1 遅れを取り戻す速度超過
2 運転士の心理状態の問題
3 効率優先を生んだ組織風土
4 効率優先エラーを防ぐには

第6章 正しいリスク認知のために組織で取り組む
1 安全策が守られなかった触車事故――事例5
2 過積載による労災事故――事例6
3 個人のリスク認知
4 組織のリスク認知
5 組織的な教育や研修
6 安全情報の共有を
7 集団の中でうまく規範を作る
8 意識よりも行動として

第7章 安全文化の醸成
1 隠蔽文化
2 懲罰文化
3 学習文化
4 安全文化に必要な要素
5 心理的安全性

終章 ミスを許容し事故を防ぐ
1 分類を考えながら防止策を
2 Safety-IIの考え方――ゼロリスクを求めない
3 安全のために社会全体でコストを

あとがき

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Posted by ブクログ

人はなぜミスをするのか。そして、どうすればミスによる事故を防ぐことができるのか。

ヒューマンエラーを「誤認識」「リソース不足」「安全行動省略」「効率優先」の4つに分類し、それぞれの原因と防止策を、実際の事故を通じて解説している。

特に印象に残ったのは、そくどちで脱線した事故を取り上げた章である。個人の判断や行動だけでなく、効率を求める組織の目標や風土が、リスクを伴う行動につながる可能性があるという指摘は、改めて考えさせられた。

また、安全文化を支える「報告する文化」「公正な文化」「柔軟な文化」「学習する文化」という4つの考え方も興味深かった。

読み進めるうちに、私の関心は「どうすれば個人のミスを減らせるか」から、「人間がミスをすることを前提に、どうすれば組織としてよりよい仕事ができるか」へと変わっていった。

個人の能力や努力はもちろん大切である。しかし、それ以上に、必要な情報が共有され、互いに相談でき、誰もが仕事を進めやすい仕組みを整えることが重要なのではないか。

また、ミスが起きたときには、本人の問題だけでなく、その背景にある仕事の進め方や組織のあり方にも目を向けたい。

相手を尊重しながら、必要なことは率直に伝え合う。失敗を責めるだけでなく、そこから学び、次の改善につなげる。そして、うまくいった仕事からも学ぶ。

人を責めるより、仕組みを考える。ミスをなくすことだけでなく、ミスから学び続ける。

ヒューマンエラーの防止を学ぶだけでなく、自分自身の仕事の進め方や、目指したい組織のあり方を見つめ直すきっかけとなった一冊だった。

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2026年10月25日

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