あらすじ
「俺と八〇〇メートル競走しないかい」。偶然こぢんまりとした酒場に入った“私”は、そこで初対面の謎めいた男に異様な“賭け”を持ちかけられる。男は人間の尊厳のために、競走をしなければならないと説くが──。あまりにも意外な結末を迎える、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」、完全犯罪を企む女を待ち受ける皮肉な結末「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」など、本格の気鋭が贈るバラエティ豊かなミステリの饗宴。第64回日本推理作家協会賞受賞作を含む、5篇の謎物語。
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Posted by ブクログ
何故、見ず知らずの相手と夜中に競争しなければならないのか?
100メートルでも1キロメートルでもなく、中途半端な800メートルを指定する理由は?
これらの根拠を、量子力学を基に医学や文学にまで言及しながら説明していくのですが( ^ω^ )
読んでる最中は、「成る程ね〜突飛な発想だけど一応筋が通ってるわ〜」と感心しきりだったのですが、よくよく読み返すと牽強付会も甚だしいですな(笑)。でも、初読の時は凄く鮮やかな論理展開に感じられたんですよね〜( ^ω^ )
男が持論を述べる上記の部分が面白かったので、賭けの対象に話が及び始めた後は、若干失速したような印象でしょうか。ラスト付近で出て来た人物が、ホームズ役となって男の魂胆を推理した時も、「うーん蛇足感…←」という印象だったのですが、最後の最後で示された「人間の尊厳」に、思わず「やられたわ( ^ω^ )ぎゃふん←」と嬉しくなってしまったのでした。
他数編も毛色の違う「意外なラスト」を楽しめます*\(^o^)/*
北欧二題の前半部と、完全犯罪〜が特にオススメかな〜( ^ω^ )
◎人間の尊厳と八○○メートル…「俺と八○○メートル競争しないかい」ーー初対面の男が私に持ちかけてきた、奇妙な賭けの謎。
◎北欧二題…硬貨と紙幣を交互に店員に差し出す客の謎と、閉館時間15分前にやたらと退館を促す係員の謎。
◎特別警戒態勢…お盆の期間中に犯行予告状を出した犯人の真の目的とは?
◎完全犯罪あるいは善人の見えない牙…非の打ち所のない完全犯罪の計画を破綻させたのは、非の打ち所のない「彼」の善意だった。
◎蜜月旅行 LUNE DE MIEL…新婚旅行に出た夫婦。旅慣れた夫は、新妻に良いところを見せようと奮起するが…
Posted by ブクログ
チョットした小話が5つ(各話40ページほど)
「人間の尊厳と800メートル」
義足の人に5万円を賭けた800m競走を持ちかけた男が、ゴツイ人も参加すると言われ退散する。(ゴツイ人も実は障害者だった)
「北欧二題」
1.おもちゃ屋でカード決済出来ない国王が、お札の顔で本人確認する。
2.館員が閉館後に友人と会う約束のせいで、博物館から閉め出される。
「特別警戒態勢」
お盆に皇居を爆破すると予告した犯人の目的は、父が警官でお盆に家族旅行したくなかったから。
「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」
善人すぎる夫を投薬で殺害するが、夫が死後全身を医療提供する契約をしてたのでバレる。
「蜜月旅行 LUNE DE MIEL」
新婚旅行で海外へ行き、タクシーでカツアゲに会うが、妻がレストランで盗んだナイフで撃退する。
<感想>
5編とも小さな謎に、多量のウンチクという体裁で、内容が薄いとしか感じず。
巻末の解説が、日本推理作家協会賞の選考委員だった人で、大掛かりなトリックとかどんでん返しはあまり好きではないとのこと。