【感想・ネタバレ】太宰治との七年間のレビュー

あらすじ

太宰が愛し信頼した弟子による鮮烈なる記録
野原一夫編集担当の名著57年ぶりの復刊
『互いの個性が切り結び合うドラマ 師弟愛とヒューマニズムが一貫』安藤宏

「いろいろと人の悪口も言ひたい。安心してそれを言へる相手は、誰も無いんだよ。お前の夢を見た夜もある。」(太宰が堤に宛てた書簡より)
「苦しいことがあったら、三鷹の奥で、下手な作家が、下手な小説を、うんうん苦しんでかいていることを思い出してくれたまえ。ひどい失敗ばかりしている、罪の兄貴がいると思えば、気持ちのなぐさまることもあるだろう」(堤と初対面時の太宰の言葉)
「戦後、太宰が名声の確立を代償に失っていったものが堤には直感できていたのかもしれない」 安藤宏

「残念なことをしたな。もう八年早く、お前と知り合っていたら」と太宰に言わしめた愛弟子・堤重久。ふたり並走した鮮烈なる季節の記憶を反芻し、活き活きと語り行動する師・太宰の姿を描き出す。堤が提供した実弟・康久の日記が『正義と微笑』の着想を齎したことでも知られる。師との出会い、やり取りから多くの人間関係、恋、酒、別れまで。貴重な記録を57年ぶりに復刊。 解説:安藤宏

【目次】
初対面の感動
先輩と山岸さん
酒中の文学論
後輩と亀井さん
「斜陽」の女性
武蔵野と銀座
開戦の日
三鷹の一夜
プロポーズ
甲府に遊ぶ
裂かれた恋
奥多摩の壮行会
入隊と除隊
熱海と三保
戦争末期
津軽・三鷹通信
再会と訣別
あとがき
解説 “三鷹サロン”の優等生 安藤宏

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

太宰の印象が180°変わった。常に自殺志願のある人間かと思いきや、人を笑わす事が好きで、ちょっとした事で嫉妬したり、人が好きで人からも好かれ、とても魅力的な人間だったのだと感じた。晩年、人間関係に疲れた様な機雷もあるが、早くに亡くなったのはとても残念です。これを機にもっと太宰を読んでみたくなりました。

0
2026年09月20日

Posted by ブクログ

この本は、いまから57年前に筑摩書房から刊行された本の再刊である。当時、書店か新刊案内のチラシなどで見かけた記憶が微かにあるが、買って読もうとまではしなかった。堤重久という名も何度も目にはしてした。
いまになって、筑摩文庫から装いも新たに出た本を手にして予想外の感激に浸っている。原稿用紙にして500枚の長編であるが、一気に読めた。太宰治の周りにいる人が書いた友人の目からではなく、この本と同じ弟子の目から見た小説に野原一夫の『回想太宰治』がある。生の太宰治との出逢い、会話、生き様が実にリアルに描画されていた作品だった。堤重久のこの小説は、真心がこもった美味しい料理を前にして、一つ一つゆっくりと吟味していくようなニュアンスがある。17章に編んだ各章に強烈なノスタルジーを覚えるのはなぜだろう。
若い頃、太宰治の本に棲む「毒」に冒されぱっなしだった私は一時、太宰から距離を置いた。読むのをやめた。しかし、30歳ぐらいからまた読み始めたのだった。だから、この作品の冒頭を読んだだけで、懐かしさの感涙に浸ったのである。著者の長編を一気に読ませる筆力は対したものである。繰り返すが、美味しい料理を一つ食べ終わって、次の ••• その満酌の感を覚える瞬間に誘われていく幸せな読書なのである。
太宰治には男女問わず、友人•知人•弟子が何十人もいた。自殺未遂を2回するほどの凄まじい生涯であったが、彼を取り巻く文学仲間との交流には「羨ましさ」を感じる。太宰治というのは、人を惹きつける何かを持っていた人物なのであろう。そのことを堤重久は言いたかったのかも知れない。

0
2026年07月18日

「小説」ランキング