あらすじ
理不尽な理由で左遷された達也は、三十歳の係長。うだつのあがらない上司や同僚と雑用をこなす日々。ある夜、達也は道に迷い、昭和を思わせるレトロな角打ちにたどり着く。女将の小鈴が作るつまみは絶品で、常連客はクセ者ぞろい。達也は不思議な魅力に惹かれて通いはじめるが、職場ではリストラが本格化する。一方、小鈴も閉店の危機に追いこまれ……。読めばあなたもきっと常連に! 文庫オリジナル。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
福澤徹三『あねご酒 角打ちの流儀』PHP文芸文庫。
東京の下町辺りには今でも角打ちをやっている酒屋があるのだろう。昭和の頃は、自宅の近くの酒屋でも角打ちをやっていた。その頃は自分は小学生だったので、あれが角打ちだというのはずっと後で知った。小学校の帰り道、その酒屋の前を通ると小汚い労務者風の格好をしたオヤジたちが何時も酒を飲んでいたのを覚えている。
最近だと自分の住んでいる町の隣町で、町をあげての角打ちイベントを行っており、昭和レトロがひとつのブームになっているようだ。もっとも10年以上前に酒を一切止めた自分には関係無いのだが。
さて、本作。東京の下町にある昭和レトロな酒屋の角打ちを巡るストーリーなのだが、福澤徹三の『侠飯』同様、ちょっと冴えない男が主人公である。
角打ちを営業するダルマ酒店の小鈴が提供する美味そうな料理の数々と下町ながらの人情を背景にハラハラ、ドキドキのストーリーが展開する。捨てる神あれば、拾う神あり。
ネットやスマホなどが無く、人間同士のリアルな繋がりがあった昭和の時代は良かったなと、古き善き時代への郷愁を誘う面白い小説だった。
広告代理店に勤務する30歳の係長の暮林達也は会社の飲み会で、専務のセクハラを咎めたことで資料課に左遷される。資料課では、うだつの上がらない上司の元でクセの強い同僚と雑用をこなし、定時で帰る日々を過ごしていた。
ある夜、自宅アパートで独り飲みをしていて、酒とつまみが尽きて、近くのコンビニに調達に行こうとしたところ、道に迷って昭和レトロなダルマ酒店という酒屋の角打ちに辿り着く。女将の小鈴の手料理は絶品で、常連客は美形ニューハーフのモモヨを始め、クセ者揃いで、恋人も友達も居ない孤独な達也は不思議な魅力に惹かれ、ダルマ酒店に通い始める。
そんな中、達也の会社は売上が激減し、リストラこそ行われないが、資料課のメンバーに膨大な量の資料廃棄作業が命ぜられ、実質的な追い出しが行われる。
ダルマ酒店では、店に来た高飛車で傲慢なユーチューバーと小鈴が店内の撮影を巡って揉め、小鈴がユーチューバーを追い返すが、そのユーチューバーは腹いせに誹謗中傷動画を作り、ネットで公開する。動画は炎上し、心無い動画の視聴者がダルマ酒店に嫌がらせを始める。
本体価格980円
★★★★★