あらすじ
9都市20人が誇る「最愛のひと皿」の物語。
イタリア料理人の落合務氏曰く「イタリアは、自国の料理、ひいてはマンマの味が一番だと思っている人だらけ」。こと食に関しては誰よりも誇り高く、食べることを楽しむことに何より情熱を注ぐのがイタリア人なのだ。そして、海に囲まれた細長い国土を山々が貫くイタリアは地方ごとに気候・風土が異なり、そのため食材も料理も地方ごとに違う。さまざまな郷土料理から成り立っているのが、イタリア料理とも言えるのだ。
トリノ、ミラノ、ヴェネツィア、ボローニャ、フィレンツェ、カリアリ、ローマ、ナポリ、パレルモ……翻訳家の著者はイタリア全土を旅しながら、9都市に暮らす20人と出会い、彼らの食卓の記憶を引き出していく。小説家、デザイナー、印刷職人、トマト生産者、操り人形師など、さまざまな職業の人々が語る「最愛のひと皿」の物語は時に甘く、時にはとても苦い。その土地で懸命に生きる、前向きで力強い人々の姿が伝わる美味紀行。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
某イタリア食材店でアルバイトした際に実感したイタリアの食の多様性と豊かさをこの本で再確認させてもらいました。
イタリアの各地方ならではの仕事をしている人が普段食べている料理や思い出の料理を、作者がインタビューするという形式で書かれています。その相手は推理作家、ジュエリー店主、活版印刷職人、サフラン農家の主人など様々で、その結果、この本は単に料理紹介だけでない、その相手の人間としての魅力、さらにイタリアという国の断片が垣間見られる内容になっていました。
個人的なことでは、サフラン農家の方が育てたサフランが、日本の食材店の店頭に並び、それを私が販売していた時期があったとはびっくりでした。
イタリアはローマを1日駆け足でみたことがあるだけなので、この本を持ってイタリア旅行をしたいです。
Posted by ブクログ
イタリア料理にまつわる、人間のストーリー。イタリア人が、郷土料理をたいせつにしてることがよくわかる。たぶん、日本でよく食べる、いわゆるイタリアン、のイメージとはまた違う、家庭の料理。丁寧に、イタリアを味わいながら旅してみたくなる。
Posted by ブクログ
イタリアの各地を訪ね、その土地の人と地元料理を語る。ウィッチー美術館の人だったり、地元の職人だったり、農家だったり。イタリア料理とひとくくりにしてしまいがちだが、それぞれの土地に根付いた料理があるのだなあと思う。本書にも出てくるが、日本のイタリア料理でも、漠然とイタリア料理だと言っている店、北イタリア料理とかエリアを限定している店(シェフの出身地だったりすることが多いが)、日本の食材の産地にこだわりその食材を活かすイタリアンを探求する店、ナポリタンなどを提供するなんちゃってイタリアンなどあるが、自分も、もっとイタリアのどこの料理か気にするべきだと思う。
Posted by ブクログ
解説が解説じゃなくて1本のエッセイになってる件(笑。
イタリア各地のいろんな職業の人の食卓。元貴族や活版印刷職人やサフラン農家や推理小説家等々。
ミラノ編リゾットは15世紀からミラノの貴族が食べていた料理。
最初は薬やスパイスとしてイタリア半島に入ってきた米が、徐々に広まり18世紀には日常食へ。
フィレンツェ編で出てきた老舗ジュエリー店トッリーニは祖先がヴェッキオ橋に工房をかまえていたとあって、インフェルノでラングドン教授が走り抜けたあそこかー!ってなったり。
ローマ編で出てきた『おやつ泥棒―モンタルバーノ警部』は読んでみたいな、とメモ。