あらすじ
固い絆で結ばれていたはずの八人。半年遅れの卒業旅行で、次々と現れる死者からの罠。あの日、教室で死んだ彼女は、本当に被害者だったのか? 全員が少しずつ吐いた嘘が、予想もつかない真実を浮き彫りにする。ダーク青春ミステリ!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
十二月下旬の教室で起こった惨劇。友人の一人が死亡し、一人は学校に来なくなった。その九か月後、友人が回復したことをきっかけに計画された半年遅れの卒業旅行で不穏な出来事が次々に起こる。あの事件はなぜ起こったのか、そして今回の「犯人」は何を望んでいるのか。ひりひりする読み心地の青春ミステリです。
仲良しグループが再び集結し、亡くなった和沙を悼みつつも元通りの友情を取り戻す卒業旅行は微笑ましいのに、そこに立ち込める暗雲。そこかしこに現れる和沙の影は不気味に思えるのですが、それでも彼らは和沙の記憶を拒否はしないので禍々しさは感じません。むしろ彼女がなぜあのようなことを起こしたのか、という謎がどんどん膨らむばかりでした。
グループ内の友情と恋愛関係が、案外とどろどろしていないのも読み心地がそう悪くないポイントかな。多くの人物が事件に対する負い目を抱えているのに、それが理想的な形で次々解きほぐされていくのも温かな印象。とはいえどことなく気持ち悪さも感じなくはない……と思っていたところであの真相は。いや、それが真相かどうかは謎のままがよいかな。そしてこのタイトルは秀逸。
Posted by ブクログ
青春時代を思い出したい人におすすめ! 多感な高校生の絶妙な距離感と心理描写が秀逸な青春ミステリー
■あらすじ
進学校に通う高校三年生。同じ部活で青春をともにしてきた仲間たちの物語。ある朝、教室にひとりの女子生徒が包丁を手にして乱入する。止めに入った男子生徒ともみ合いになり、悲劇的な事故によって彼女は命を落としてしまう。
数ヶ月後、怪我から復帰した男子生徒を迎えて、仲間たちは卒業旅行へと旅立つ。しかし旅先では、亡くなった彼女の影を思い起こさせる仕掛けが次々と起こるのだった…
■きっと読みたくなるレビュー
高校生という小さなグループ間で起こる人間関係を描く、石持浅海先生らしい青春ミステリーです。
こういう青々としたお話を書かせたら、抜群に面白いですよね。不安定な若い世代の距離感を描かせたら日本一かよってくらいお上手。つい高校生の頃を思い出しちゃうんですよ、あの頃の友人、好きだった人が目の前に浮かんじゃいます。
さて本作は、高校三年生の受験期に事故で仲間を亡くしてしまったグループのお話。彼女がなぜ学校で包丁を振り回すようなことをしたのか? そしてその事件を蒸し返そうとしているのは誰なのか? 仲間内で起こった痛ましい事件を深ぼっていくミステリーです。
まず好感が持ってやまないのは、登場人物みんなが可愛いってところなんです。昭和だったら嫌なヤツがひとりやふたりいるんだけど、令和の高校生って感じがするんですよね。自分自身の事より、ちゃんと友達のことを優先して考えてあげられる優しさが伝わってくる。
人の立場や価値観を尊重してあげられてるから、可哀想な事件を題材にした会話を読んでいても、嫌な気分にならないんです。今の時代を人間関係が良ーく描けていると思いました。
そしてやっぱり気になるのは、事件を起こした彼女の動機。年齢を重ねてくると、若かりし頃に悩んでいたことがしみじみと思いだされる。そんな思いにはせられてしまいました。
タイトルも装画も不気味だし、青春時代におこるダークなミステリーかと思われるかもしれません。しかし実は若者たちが今を生きるために前進する、優しさ溢れる物語なのです。
■ぜっさん推しポイント
社会に出て毎日毎日戦っていると、誰も助けてくれず、辛いことばっかりですよね。忖度なしに自分の事をまるごと受け止めてくれる友人がいるって、ほんと幸せだよなー。学生時代の友人に会いたくなるお話でした。