【感想・ネタバレ】月下の盤のレビュー

あらすじ

ゴウダトオルを探してほしい。4日後に閉館する東亜ホテルで――捜索の果てに探偵が見た壮大な真実とは。

謎の人物からの依頼は「ゴウダトオル」を探すこと。4日後に閉館する「東亜ホテル」に滞在しているという。調査開始直後のホテルで男の死体を発見した探偵が対峙する壮大な真実とは? 圧倒的な完成度を誇るアガサ・クリスティー賞大賞受賞後第1作!

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Posted by ブクログ

―ゴウダトオルを探してほしい―

4日後に百年の歴史に幕を下ろすことが決まっている「東亜ホテル」。
探偵は正体不明の人物〈アリス〉の依頼によりこのホテルを訪れる。
閉館までの4日間このホテルに滞在しているということしかわからない、ゴウダトオルという人物を探すために。


超超超超面白かった。

国籍も性別も年齢も不明、名前しかわからない幽霊のような存在。
日比谷公園の向かいに位置する、国家を代表する高級ホテル。
クローズドな舞台の中、正体不明の人物の手がかりを求め濃霧を歩くようにまるで筋道の見えない調査を進める探偵。

そこで起こる殺人事件、関与が疑われる巨大企業グループの一族、背景に浮かぶ国家規模のプロジェクト。
幾度も展開され、その度に盤上の駒の様に敗れ散っていく推理の数々。

あまりにも壮大で複雑なドラマが描かれていくのに、物語の抑揚に反し徹底して温度感を排しているように感じられる文章。
主人公の一人称視点で書かれるその端的で、淡泊で、知的で、気の利いた文章がとにかく好みでした。
読者を物語に引き込む強い引力がありながらもとても静かなその主人公の視点が、百年の歴史に幕を下ろす高級ホテルという舞台の、華やかさや厳かさ、そしてそこにいる主人公の場違いさなどを小説全体に漂わせている。
そんな、一人称でありながらどこか客観した語りだからこそ、無数の人間の人生が絡み合いやがて百年近い時代に渡る群像劇の様相を呈してくる壮大過ぎるこのストーリーが、すっと自然に飲み込めてくるのだと思う。

筆致も、トリックも、伏線も、心情描写も圧巻。
個人的には今年読んだ本の中で一番好きです。

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2026年09月10日

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