【感想・ネタバレ】土竜のレビュー

あらすじ

侠客の父とその年若い愛人である母の間に生を受けた竜二。母の故郷の高知で育つが、その母はネグレクトの果てに自殺し、竜二は17歳で天涯孤独となる。喧嘩と女に明け暮れ、怪しげなアルバイトで稼いだ6万円を握りしめ上京する。東京では、容姿を買われ俳優としてデビューするも、薬物に溺れ、仕事も家庭も失いどん底へ。話題の著者による自伝的初小説集!

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Posted by ブクログ

ページをめくるたび、そこで生きるしかなかった人々の生々しい息遣いと、その時代の溢れんばかりの活気や臨場感がダイレクトに伝わってきます。
人生の歯車が思わぬところで噛み合い、視点を変えるだけでガラリと景色が変わる――そんな物語の妙に圧倒されました。

世間からの過酷なバッシングを受けながらも、並大抵ではない覚悟で自身と向き合い、泥臭く回復(リカバリー)を続けてその第一線で発信している高知東生さん。
世の中には上手く生きられずに迷う人が大勢いて、そして誰かを強く叩いてしまう側の人もまた、どこかに生きづらさや病みを抱えているのかもしれない。想像を絶する道のりを歩んできた彼だからこそ、どちらの立場も等しく温かな眼差しで見つめられるのだと感じます。

誰かの生き方を「善悪」でジャッジするのではなく、すべてをありのままにまるごと抱きしめてくれるような優しさがこの本にはあります。一人の人間としての深みと、小説家としての確かな手腕が生み出した素晴らしい一冊。読み終えたあと、世界が少しだけ優しく見える、ずっと大切にしたい物語です。

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2026年10月12日

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