あらすじ
中世フィレンツェを中心に、芸術に加えて経済や戦争、病気や占星術や女性など種々の角度から転換期の全体像に迫る名著、待望の復刊。
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Posted by ブクログ
高校生の時に世界史の授業で参考文献として挙げられていて、読んでみたら面白かった。改めて読んでみると、ルネサンスを生きた人々の生活がよくわかる。
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個人的にとくに興味深かった頁をまとめて下に記す。
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p.83
同頁の前章にて、15世紀フィレンツェの「現代版確定申告」のようなものの話がある。この「カタスト」と呼ばれる徴税制度自体も興味深いが、人が自身の収支を行政へ申告する際、なるべく景気の悪いことを書くというのが今も昔も変わらずというのが具体的事例付きで示されており、これはさらにおもしろい。ルネサンスの人々が急に近しい存在のように感じられた。
p.135〜136
同頁の章の前後にて、ルネサンスの時代を境に、イタリア半島における戦争の姿が変わっていくという話がある。著者曰く、イタリアにフランス軍が進軍する以前、半島内の戦争はほとんど軍事パレードのようなもので、戦死者の数も多くなかったという。戦争の神であるはずのマルスでさえ、ボッティチェリによって描かれた《マルスとヴィーナス》(1483-86年)のなかでは、武具も身につけずに寝ぼけてしまっている。
しかし、イタリア戦争をきっかけとして半島諸国の戦争のあり方が一変する。というのも、フランス軍やのちに攻め入ってくるスペイン軍のそれは、まさに文字通りの戦争であって、市民をも巻きこみ容赦なく人を殺傷するものだったからである。
興味深いのは、ここで著者が紹介している木版画である。それは本の扉絵として1520年代につくられたものらしく、うず高く積みあげられた戦勝記念標が二つ描かれている。さらに、それぞれのうえにはマルスとベローナがおり、武器を持っている。しかし、前者の手には剣や槍などの旧来の武器があるのに対し、後者の手には大砲や爆薬があるというのである。この図版は、16世紀はじめの人々の戦争に対する意識の変化を端的に象徴しているといえるだろう。著者は、「たとえばロダンが戦争の神を掘り出した時には、それはもはやマルスではなくて、ベローナだったのである」と結んでいる。
期待していたので、再版はうれしい。著者は美術史家であり、多数の論文・書籍・図版の解説を執筆している。そのうちのいくつかにはすでにお世話になっているが、その知識の幅広さと深さ、尽きない探究心には驚かされる。また別の本も読んでみたい。