【感想・ネタバレ】日露戦争史 20世紀最初の大国間戦争のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

二十世紀における最初の大国間戦争であり、日本とロシアが対決した日露戦争について解説した本。日ロ双方の戦史・外交史を用いながら、戦争の背景・経過・影響を概説する。
本書の最大の特徴は、日露戦争を日本とロシア双方の視点から論じている点である。特に多くのページが割かれている日露戦争の背景(前史)においては両国の外交の内部事情が詳細に記されており、中・高の日本史では取り上げられなかった戦争の裏事情が語られている。個人的に驚きであったのは、戦争の要因の一つとされる「ロシアの南下政策」が一貫したものではなく、寧ろ日本とロシアの相互認識のズレが戦争の要因であったという指摘だった。
既に他のレビューでも述べられているように本書は戦史と言うよりかは外交史に比重が置かれているが、日露戦争を概観するのにおすすめの書と言える。

0
2014年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日露戦争に至った時代背景、開戦、そして終戦までの流れをまとめた本。七章だが、戦術的な点は五章、六章と少な目。それよりも時代背景やこの戦争がどういった位置づけだったのかなどが纏められている。少し残念なのはこの戦争が終わった後、両国がどうなったのかについての記載まとめが最後少ない点だろうか。バランスとしては非常によくまとまっていたというのが正直な感想

●メモ
・植民地戦争
いわゆる白人が非白人の国を植民地化する戦争。アメリカ兵は母国の家族にフィリピン人の「知的文化的後進制」を繰り返し言及したほど。
・イギリスとの同盟
基本的に日本はアジアの小国であり侵略対象だが、ヨーロッパの微妙なパワーバランスによってイギリスと同盟が組めた。だが、この同盟条件は極めて限定的で、第三国が参加してきた場合のみ支援する、というものだった。
・シベリア鉄道
1891年から建設開始。これによりロシアが遠距離への出兵が容易になる点を日本は早期から懸念していた。戦争を早々に開始した、一つの要因ともいえる
・朝鮮半島の重要性
この本を読むと朝鮮戦略が単なる領土拡大ではないことが良く分かる。ここを拠点としなければロシアとの戦争に勝つことはできなかっただろう。国を守るために、他国を侵略するという矛盾。
・交渉決裂
日本は交渉と考えたが、ロシアは日本からの要請として考えたのではないか。これはロシアが圧倒的国力を保持しているため、日本は妥協するしかないと考えていた思いこみだった。だが、ここで妥協しては侵略されるのみしかないと考えていた日本は、交渉を続けながらも平行して戦争の準備を進める
・開戦
印象的なのは日本の奇襲だ。交渉断絶の通知をしたとはいえ、卑怯ではないかというロシアの意見は実に最もだが、当時の国際法では違法ではなかったそうだ。この発想がペルシャ湾に繋がるのか、とも考えてみたり。。
・終戦
豪胆な子供が挑んだ巨人への戦いは、巨人のダメージのほうが大きく、それが結果的にロシア国内での不満増加など国内の混乱も呼んでいく。最終的に制海権を奪えなかったロシアは日本を降伏させる手段を失い、アメリカのルーズベルト大統領の斡旋により講和。だが圧倒雨滴国力のロシアは「講和条件次第では戦争継続」という姿勢。
日本は、満州南部の鉄道及び領地の租借権、大韓帝国に対する排他的指導権などを獲得したものの、軍事費として投じてきた国家予算4年分にあたる20億円を埋め合わせるための戦争賠償金の獲得ができなかった。そのため、条約締結直後には、戦時中の増税による耐乏生活を強いられてきた国民によって日比谷焼打事件などの暴動が起こった。

0
2017年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
日露戦争は、日本とロシアにとってはそれぞれにきわめて影響の大きい戦争であったが、客観的になかなか評価が確定していない。
戦後一〇〇年にあたり、その地球規模での意味に言及する試みがなされているが、本書は、ロシア近現代史の視点も含めて、戦争の背景・経過・影響を通覧しようとするものである。
双方の認識に極端な差があったことが、戦争の帰趨にどのように影響を及ぼしたかを明瞭に伝える。

[ 目次 ]
序章 世紀転換期の世界
第1章 世紀転換期の日本とロシア
第2章 戦争の地理学
第3章 政事と軍事
第4章 戦争への道程
第5章 開戦
第6章 陸と海の絆
第7章 終局
終章 近い未来と遠い未来

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

0
2011年04月03日

「学術・語学」ランキング