【感想・ネタバレ】なぜ、それは不適切なのか 人権/コンプラ/ポリコレの新しい教科書(マガジンハウス新書)のレビュー

あらすじ

知らなかったでは済まされない――
「The HEADLINE」編集長が導く
「許される/許されない」の境界線


本書では、ニュースメディア「The HEADLINE」編集長であり、
テレビやラジオでも社会問題をわかりやすく解説している石田健さんが、
「不適切とは何か」を読み解いていきます。

「部下に『髪を切った?』と言うのはハラスメントなのか」
「女性の外見を褒めることは問題なのか」
「『日本人ファースト』という言葉はなぜ議論を呼ぶのか」
「不適切な振る舞いをしてしまったとき、どう謝罪し、どう償えばよいのか」――。

本書は、「なぜ、それは不適切なのか」を一つひとつ丁寧に考えながら、
現代社会を生きるための新しい教養を身につける一冊です。
「正解」を押し付けるのではなく、自分自身の判断軸を育てるための、
新しい人権・コンプライアンス・ポリコレの教科書です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

管理職をやる年齢になって、ポリコレやハラスメントの問題に直面することが多くなり、権利が衝突した場合の判断に迷うこともしばしばである。話を聞くことも大事だけれど、不寛容な時代に仲裁することの難しさも感じる。イシケンさん、フジテレビの会見の際に極めて冷静な言動(二次加害の予防)が印象的だったが、テレビのコメンテーターのイメージが強かったので、単著を読んでびっくりした。膨大な資料と極めてクリアで簡潔な文体。素晴らしい書き手だった。テレビでのイメージ通り、冷静で抑制的・中立的な文章が続いていき、最後の2章で不適切な振る舞いに対する謝罪・補償、不適切な振る舞いを回避しようと努める方法については筆者の確固たる主張があった。ものすごく思考が整理された。一読の価値があります。

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2026年09月23日

Posted by ブクログ

2024年に『不適切にもほどがある!』というドラマが話題になった。コンプライアンスが厳しくなった令和と、それが比較的緩やかだった昭和の時代とのギャップを、面白おかしく描いた作品である。
では、「不適切な行為」とは、そもそもどのような行為なのだろうか。
現在の社会では、さまざまなハラスメント行為が取り沙汰され、「ハラスメントのインフレ」と呼ばれるほど、多くの行為にその言葉が適用されるようになっている。それだけハラスメントは日常的な話題になっている一方で、何が問題なのか、なぜそれが不適切なのかという判断基準は、案外曖昧な場合も多い。また、一歩間違えれば、自分自身が当事者になりかねない問題でもある。
本書は、「不適切な振る舞い」とはどのようなものなのか、そして、それをどのように判断し、回避していけばよいのかを考察した一冊である。
まず、人権とは何か、平等とは何か、どのような行為が人権侵害に当たるのかといった問題を丁寧に考察する。そのうえで、それらを土台として、コンプライアンス違反、ポリティカル・コレクトネス、ジェンダー、ルッキズム、「日本人ファースト」をめぐる外国人との共生や差別の問題、ハラスメントなど、現代社会で議論されているさまざまな問題を取り上げ、具体的な思考実験を繰り返しながら、その本質を考えていく。
ここで興味深いのは、人権や平等といった基本的な価値と、そこから導かれる具体的な社会規範とは、必ずしも同じものではないという点である。人権や平等という価値を踏まえながらも、何が適切で、何が不適切なのかという具体的な規範は、歴史的背景や社会状況、時代の変化によって変わり得る。だからこそ、既存の規範をただ鵜呑みにするのではなく、その根拠を考え、時代の変化に応じてアップデートしていく柔軟さが必要なのだろう。
また、不適切な行為を行った場合に生じる、キャンセル・カルチャーに代表される社会的制裁の実態とその是非についても考察される。さらに、不適切な振る舞いをしてしまった場合、どのような謝罪や償いが求められるのか、そして、そもそも不適切な振る舞いを避けるためには何に注意すべきなのかについても、最後に具体的に論じられている。
「これは不適切だからやってはいけない」と単純に答えを与えるのではなく、「なぜ、それが不適切なのか」を考えること。その思考を通じて、自分自身の判断軸を身につけることが本書の大きな特徴なのだろう。
本書は、コンプライアンスやハラスメントをめぐる問題が身近なものとなった現在、私たちがこれからより良い社会規範を作り上げていくための、一つの思考の手引きとなる一冊である。

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2026年10月01日

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