【感想・ネタバレ】首相支配―日本政治の変貌のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小選挙区制・比例代表並立制のもとで、選挙戦は政党間の争いを中心に行われることになった。比例区では、有権者は政党に投票するので、これは無論のことである。小選挙区では各政党は一人しか候補者を立てず、有権者は候補者がどの政党に所属しているかを大きな判断材料として投票する。p37

小渕内閣とその後の森内閣は、自民党の伝統的派閥政治が完全復活したかのように見える。p104

首相の地位を獲得・維持するうえでは、派閥の支持よりも、世論の支持を得ることが何よりも重要になりつつあった。派閥の力は確実に弱体化し、この裏返しとして、首相が総裁として持つ権限は強まっていったからである。p138

【2001年に実施された行政改革】
内閣府や経済財政諮問会議の設置は、首相の権限を拡大させるうえで、大きな意味を持った。p141

新しい選挙制度では、無所属として当選することが難しくなったため、総裁は個々の政治家の生殺与奪権を持つといっても過言ではない。総裁は公認権を利用して、自分の意向に従うように自民党の政治家を牽制することができるようになったのだ。p151

「聖域なき構造改革」p160

「骨太の方針」p162

青木幹雄「参院は首相の解散権も及ばない。内閣はしっかり支えるが、言いたいことは言うというのが基本線だ」p200

「改革をとめるな」をキャッチフレーズに、郵政民営化への賛否を唯一最大の争点として、総選挙を戦い抜こうとする。参議院議員の世耕弘成が中心となる「コミュニケーション戦略」チームまで立ち上げ、広報戦略にも万全を期す。p235

政界の奇跡としての「郵政事業の民営化」p236

【55年体制から2001年体制へ】
1. 政党の間で競争が行われる枠組みが定まった
2. 首相の地位を獲得・維持する条件が変わった
3. 首相が保持する権力が強まった
4. 行政機構の姿が一変した
5. 参議院議員が保持する影響力が増した p238

【55年体制とは?あらためて】
1. 衆議院の選挙制度は中選挙区制であり、主要な政党は自民党とそのライバルであった社会党であった
2. 首相の地位を獲得・維持する条件として重要であったのは派閥から支持を獲得することであった。首相=自民党総裁が「選挙の顔」として有権者にどの程度アピールできるかは重視されていなかった
3. 首相はほかの派閥から制約されたため、強い権力を振るうことは難しかった。首相がどの程度の権力を振るえるかは派閥の領袖として保持する実力に左右され、自民党総裁としての権威や法律によって首相に与えられる権限は
重要ではなかった
4. 行政機構としては、20を超える省庁が存在し、そのなかでは、予算、税制、金融という主要経済政策を担当する大蔵省が大きな権限を誇っていた
5. 政治過程の中心にいるのは、政権を成立させる面でも政策を立案する面でも、衆議院議員で、参議院議員の影響力は薄かった p240

【2001年体制の特徴】
1. 衆議院の選挙制度は小選挙区・比例代表並立制であり、主要な政党として自民党と民主党が競い合っている。この二党に加え参議院で法案の成否を握る公明党が影響力を保っている
2. 首相の地位を獲得・維持する条件として重要なのは世論から支持を得ることである。小選挙区・比例代表並立制では、政党本位の選挙戦が行われるため、「選挙の顔」として首相の人気が与党の戦績に直結するからである。この反面、派閥の支持はもはや重要ではなくなっている
3. 首相の権力は自民党総裁としての権限や首相としての権限に支えられ、強いものとなった。一方、自民党内では、派閥が弱体化し、派閥の領袖としての実力は、首相の権力を左右する条件ではなくなった。ただ、世論からの支持が、首相が権力を存分に行使できるかどうかを左右するようになっている
4. 行政改革の結果、行政機構の姿は一変し、一府十二省庁に再編された。現在の行政機構には三つの特徴がある。第一に、内閣府が大きな役割を果たしていること。第二に、行政改革の過程で旧大蔵省の機能が、財務省、金融庁、日本銀行、内閣府の四つに分割されたため、旧大蔵省=現財務省の権限が縮小した。第三に、本書では必ずしも十分議論できなかったが、総務省、国土交通省、厚生労働省という巨大省が誕生し、政策決定過程のなかで発言権を高めている
5. 参議院議員の影響力が高まった。1989年や1998年の参議院選挙におけふ自民党の敗北や派閥の弱体化がきっかけとなって、1990年代を通じて自民党の参議院議員は政治過程における影響力を高めたのである。p242

2001年体制は集権的なたいせなのである。この体制のもとで、首相はほかの政治家や政治組織に対し、非常に強い地位を獲得し、「首相支配」と呼べる状態がつくりだされている。p242

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2013年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
細川連立政権崩壊から一〇年以上が過ぎ、日本政治は再び自民党の長期政権の様相を呈している。
しかしその内実は、かつての派閥による「支配」とは全く異なる。
目の前にあるのは、一九九〇年代半ばから進んだ選挙制度改革、政治資金規正法強化、行政改革などによって強大な権力を手にした首相による「支配」なのだ。
一九九四年以降の改革のプロセスを丹念に追い、浮かび上がった新しい日本の「政治体制」をここに提示する。

[ 目次 ]
序章 新しい政治の幕開け
第1章 自民党の政権復帰と新進党の結成
第2章 橋本内閣と行政改革
第3章 新進党の崩壊と民主党の台頭
第4章 小渕恵三・森喜朗内閣―過渡期の政権
第5章 小泉純一郎と首相権力の確立
第6章 参議院という存在
第7章 郵政民営化と権力の行使
終章 権力の一元化と二〇〇一年体制の成立

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2011年03月30日

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