【感想・ネタバレ】ゴリラ・イルカの仲間を信じる力のレビュー

あらすじ

無駄な争いを避け、群れの平和を保つためにさまざまな知恵を働かせているゴリラ。集団で統率のとれた狩りを行い、その知恵を子どもたちに伝えていくクジラやイルカ。それぞれの専門家が、彼らの「社会性」「コミュニケーション」「知性」「心」の凄さを解き明かしながら、競争に明け暮れ、スマホやSNS、AIに振り回され、疲弊しきっている現代人に向け、人間本来の関係性や豊かな生き方のヒントを浮かびがらせる、心を打つ対論集。

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Posted by ブクログ

基本的には人間は、性善説が支配的であると思う。御二方の対談は非常に興味深いものであろうということは、本書が視界に入った時に瞬時に察しがついた。


本書は、霊長類学の権威である山極氏と獣医・海獣哺乳類学者である田島氏との対談を編集している。

一般的に、サルの社会は序列化されているが、山極氏によれば、ゴリラの世界は、徹底的な対等社会であると言う。

少なからず映画等の影響を受けて歪曲されていたので、これは、衝撃的だった。

ちなみに、獰猛で野蛮なイメージを増幅させるいわゆるドラミング(立ち上がって、胸をドンドン叩く行為。)は、『これ以上近づいたら喧嘩になるから、お互い離れようぜ。』等の平和的解決へのサインらしい。ゴリラは、極めて紳士的な森の住人ではないか。

ゴリラだけでなく、田島氏が紹介するザトウクジラの例も、心を熱くする。

カナダの研究チームによると、シャチに襲われているコクジラの親子を助けるべく、ザトウクジラが盾となって間に入って、守っていたようだ。

さらに驚くべきは、シャチに襲われて海に落ちたアザラシをザトウクジラが助けて、数十分泳いで避難させた事例である。

これらの事例は、ごく限られたものであるが、ゴリラもザトウクジラも、立派に心を宿していると言えるだろう。

ここで、鯨類の区分けについてであるが、一般的に体長が4メートルを臨界値として、クジラなのかイルカなのかを決定しているに過ぎないことに注意されたい。


本書を通じて、言葉を持たないゴリラやイルカ等も、利他の心をもって社会生活を営んでいることを知った。

筆者が言うように、我々は、彼らに見習うべく言葉に依存するだけでなく、たとえば、従来無駄とされていた時間等について向き合っていく時期に来ているだろう。

『人間は、家族や仲間と協力し合い、支え合うことを喜びとする生き物である。』という原点に立ち返れば、テクノストレス等にエネルギーを浪費する現実から脱却できる明るい未来が待っているはずだ。

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2026年08月09日

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