【感想・ネタバレ】世界の破滅を信じた人たちのとんでもない世界史のレビュー

あらすじ

世界の終わり、最後の審判、終末などの考えは、地震、隕石、大洪水、戦争、疫病などへの恐怖とともに、世界の歴史でつねに物議を醸してきた。陰謀やカルト教団、預言者たちの驚くべき物語。

「世界の終わり」と「終末の日」に取り憑かれてきた人類史
『メガトン級「大失敗」の世界史』著者による、全く新しい人類史!

黙示録、最後の審判、文明崩壊、予言、カルト教団、集団パニック、大洪水、干ばつ、飢饉、大火、隕石、地震、疫病、戦争……。

「世界の破滅」には、最後の審判、ハルマゲドン、キリストの再臨、蘇る死者、カルト教団、核戦争、宇宙戦争、パンデミック、世界終末時計などのイメージがある。
本書ではそのすべてが取り上げられている。多くは、太古以来のじつにさまざまな終末の予言と、その預言者、予言を信じて終末に取り憑かれてきた人たちだ。
著者によれば終末には予言がつきもので、「世界の終わりが迫っている」という予言で、人は終末が来ると信じ、その預言者を信じる。

1530年代にわずか数年の間に終末教派の指導者になったヤン・マティアスは街を占拠し、君主司教を追い出したが、最終的に訪れたのは世界の終わりではなく本人の終わりだった。彼は君主司教の軍に囲まれて切り刻まれた。

強烈なのは、おそらくメアリー・ベイトマンだ。
1806年、彼女が飼っているめんどりが産んだ卵の殻に「キリストの再臨が迫っている」という文字がはっきりと刻まれていた。人々は終末が迫っている兆候だとばかりに次々と見物に訪れ、メアリーは見物料として1ペニーずつ徴収し、最後の審判で天国に入れてもらうための紙切れまで販売した。
あたり前だが悪事はバレてしまう。産み落とされた卵に自分で文字を書き、その卵をめんどりの腹に押し込んで戻し、もう一度産ませていたのである。根っからの詐欺師だった。

他にも、エイリアンが宇宙船に乗ってきて洪水から救ってくれると信じた預言者や、最終的に集団自殺を行う終末カルトの指導者などが次々と登場するが、予言が当たったという例は、この本にはない。
終末の予言は、歴史を何千年遡ろうと的中したことがないのである。
それでも、人はなぜか終末の予言と預言者を信じ、終末が訪れるのを期待を込めて待つ。
しかし終末とは、決して訪れないただのフィクションなのだろうか。
核戦争、AI、気候変動など。本書では、学校で習わなかった世界史の逸話がちりばめられていて興味が尽きない。

著者
トム・フィリップス
Tom Phillips
ロンドンを拠点に活動するジャーナリスト兼ユーモア作家。ケンブリッジ大学で考古学、人類学、歴史学、科学哲学を学び、バズフィードUKの編集ディレクターとして、深刻な報道からユーモア記事まで幅広く扱ってきた。テレビや議会でコメディーを披露。その後は、ニュース記事の事実関係の真偽を確認する慈善団体フルファクトの編集に携わる。おもな訳書に『メガトン級「大失敗」の世界史』『とてつもない噓の世界史』(いずれも小社刊)がある。

訳者
寺西のぶ子(てらにし のぶこ)
京都府生まれ。翻訳者。訳書に、ラティ『資本主義で解決する再生可能エネルギー』、ブース『英国一家、日本を食べる』『英国一家、日本をおかわり』、ジャクソン『不潔都市ロンドン』、タッカー『輸血医ドニの人体実験』、レヴェンソン『ニュートンと贋金づくり』、シャンキン『スパイゲーム』など多数。

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Posted by ブクログ

- 前半は、古代から現代までのさまざまな終末の予言、預言者、それを信じた人々の話。その後、終末論と戦争・内乱、彗星など終末の予兆、終末の予言と外れた後の言い訳や行動、核戦争・小惑星の衝突・AI・気候変動などによる危機、終末に備えるプレッパーなどを描いている。
- 参考文献も多く、幅広く俎上に乗せているのだが、焦点が絞られておらず、読後感はいまひとつ。
- 終末論がキリスト教(または他の一神教)をベースにしたものも多く、馴染みがうすいことも要因かもしれない。
- 歴史書としては欧米中心であり(中国も太平天国の乱以外は詳しく述べられていない)、現代の危機を描くにはそれぞれの危機について深く考察されていない。
- また、プレッパーや福音派、陰謀論にも軽く触れるにとどまり、現代の状況を十分分析していないように感じる。
- 好みの問題とは思うが、プレッパーや福音派、陰謀論から実際の危機の可能性を考察したり、歴史的な事象を描いたほうが興味深く読めたと思う。
- 【原題】
A Brief History of the F*cking World
- 【目次】
1章 いつだって天は落ちてくる
2章 ポップな終末
3章 終わりの始まり
4章 北欧神話と世界の先住民の終末
5章 この世界の終わり
6章 どこにでもある小さな終末
7章 啓示と革命
8章 すべての戦争を終わらせる戦争
9章 予言と前兆
10章 火曜日にずっと待っていたけれど、親愛なるイエス様は来なかった
11章 世界の果てからのポストカード
12章 世界はこうして終わる――不可抗力による世界の終わり
13章 世界はこうして終わる――自ら招く世界の終わり
14章 終末の現在地
謝辞
訳者あとがき
参考文献

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2026年06月27日

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