【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫 荒地で生きる 「新・冒険論」改訂のレビュー

あらすじ

「冒険者は脱システムすることで、自力で命をコントロールする自由を経験する。自由であることには不快で面倒くさい面があるが、一方で圧倒的な生きている実感を手にすることもできる――」。

早稲田大学探検部の部室で「三原山計画」に出会ってから国内外でさまざまな冒険と旅に挑み続ける著者が、歴代の探検家の記録や哲学書を引きながら、冒険とは、生きるとは何かを考える。

解説/東畑開人


■内容
第1章 本多勝一の冒険論
第2章 脱システムとしての冒険
第3章 脱システムの難しさ
第4章 現代における脱システムの実例
第5章 冒険と自由
解説 東畑開人


■著者について
角幡 唯介(かくはた・ゆうすけ)
極地旅行家・作家。1976年、北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。同大探検部OB。2002年~03年冬に長い間「謎の峡谷」と呼ばれていたチベット、ヤル・ツアンポー峡谷の未踏査地域を単独で探検・調査した。2010年、二度のツアンポー探検を書いた『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。『アグルーカの行方』で講談社ノンフィクション賞受賞、『探検家の日々本本』で毎日出版文化賞書評賞受賞。著書多数。近著に『地図なき山』『43歳頂点論』がある。近年は、グリーンランド・シオラパルクと日本との二拠点生活を送りながら毎年、2ヵ月にわたる犬橇長期旅行に出ている。

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Posted by ブクログ

角幡唯介『荒地で生きる「新・冒険論」改訂』ヤマケイ文庫。

角幡唯介による冒険論。本多勝一で始まり、大江健三郎で締めるという構成で、極めて論理的であり、納得出来る内容であった。大江健三郎の『日常生活の冒険』は一度読んでみたいと思った。

早稲田大学で探検部に所属していた角幡唯介はアウトドアスポーツから逸脱したような山登りや川下り、洞窟探検といった様々な経験を経て、三原山火口のマグマを肉眼で見るという『三原山計画』を切っ掛けに、国内外で様々な冒険や旅に挑み続ける。

昔の大学生は、学問を究めるという欲求よりも社会に出るまでのモラトリアム期間を享受するという欲求の方が強かったようにも思う。そんな中でも如何にして他人と違う体験をするかということにエネルギーを注いでいた。従って、冒険者は脱システムすることの意味がよく解る。

現代に於いては冒険がより難しくなっている。地球上には前人未到の空白地帯が無くなり、世界がGPSや衛星電話といったネットワークでカバーされ、冒険には必須であるはずの危険性や独創性といったものを実現することが難しいのだ。

最初に紹介される本多勝一は非常に懐かしい名前だ。本多勝一は冒険を文章にした先駆者の1人であり、昔は本屋の棚に黒い表紙がずらりと並んでいた。本多勝一の説く①危険性、②主体性、という2つのの条件による冒険論は非常にシンプルで冒険の神髄を表している。

角幡唯介は本多勝一の冒険論とパイオニアワーク論をベースにに様々な歴代探検家の記録や哲学書を引き合いに出しながら、独自の冒険論を展開していく。

定価1,320円
★★★★★

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2026年08月15日

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