【感想・ネタバレ】ささやかな、あるいは取り返しがつかないもののレビュー

あらすじ

壁紙が選べない女、空港の地縛霊となった少女、生年月日が同じ女優の死に動揺する女、ままならぬ人生の踊り場で彼女たちは選択する――注目の気鋭の初中編集!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

初読みの八木詠美さん。
人の心理をえがくのが巧みな作家だと思った。一人で悶々と悩む心の中を見透かしたような中編3作と短編1作だった。

【いちご泥棒】
リフォームで、リビングの壁のアクセントクロスに悩む女性の物語。

その壁紙に似合った生活ができるのかと思うと、なかなか決められない気持ちとカタログを眺める楽しさが伝わってきた。店員の本心と表面的な言葉のギャップに現実を感じた。最後にすとんと気持ちの落としどころがみつかったとき、その気持ちが何となくわかる気がした。

【ターミナル2のウェンディ】
空港のターミナル2での出来事。人身売買されようとしている女の子には見えるあたしとのやり取り。「言葉を手放さないようにしようよ。言葉はあなたを守る盾にもなるし、武器にもなる。そしてこれが大切だけど、無料だよ」という言葉が印象的だった。

【女優S】
生年月日も生まれた時間も血液型も全く同じ女優Sの人生と自分の人生を重ねる女性の物語。老いを恐れる彼女が、老いていく上での有効な手段に気づくことになったきっかけがおもしろかった。

【ささやかな、あるいは取り返しがつかないもの】
読後、「夏のはじまりに音をつけるなら、」何なのだろうと、とても気になってしまう。今まで読んできた物語とつながっている、ずいぶん長く生きてきた女の物語。人生を繋ぎ止めるためのリズミカルな短編だった。

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2026年10月12日

Posted by ブクログ

つかみどころがない気怠さや息苦しさを孕んだ、女性目線の3編の中編とそれらが繋がる短編。
ターミナル2のウェンディという話が面白かった。
この読みやすさは言葉選びのセンスなんだろうな。

「少なくとも何かを知ることは、世界に勝手に失望しないための趣味としては有効だろう。とりわけ、老いていく上で。」

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2026年09月21日

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