あらすじ
少年御手洗、横浜水路で謎を解く。
“弱き者”に寄り添うミステリ。
御手洗潔シリーズ最新作!
高度成長期の横浜を揺るがす5つの難事件!
【収録作品】
「汐汲坂の殺人」
殺された画家の婚約者からの調査依頼。
最有力容疑者はクラスメートの父親!?
「踊る人形」
街のあちこちに出没する奇妙な人形の絵。
水上を駆ける痛快冒険譚!
「火事マニア」
火事現場に佇む少年。
哀しくも優しき真相とは?
「マジシャン御手洗くん」
養護施設で出逢う心を閉ざした少年。
御手洗が巻き起こす、聖夜の奇跡。
「歯磨きチューブの謎」(書き下ろし)
川に浮かんだホステスの遺体。
解決の鍵は捨てられた大量の練り歯磨き。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
水上都市の冒険
御手洗シリーズ最新作。御手洗が中学生じ代の話。短編が連作で繋がっている。
汐汲坂の殺人
子供時代の御手洗は「Pの密室」以来だろうか。「Pの密室」ではかなりのこども時代をテーマにしているが、今作では中学生時代の御手洗が描かれておりまだ毒気の少ない(笑)純粋な御手洗少年を読む事が出来る。彼は幼少期から天才であり、今回も水上生活者という古き時代の日本のとある地域を舞台にしながら、殺された画家と逮捕されてしまった友人の父親の無実を証明しつつ、画家の婚約者のホステスの依頼で真犯人を暴く。暴くというか、御手洗少年はあっという間に真相をしるが、周りの大人や警官達は全く取り合わない。御手洗少年は友人達と協力しながら警察官を担ぎ上げ、じけんの解決に人力する。
犬が登場する作品か数あるが、今作程犬の存在を上手に使った作品は久しぶりだ。
踊る人形
シャーロックホームズ「踊る人形」をモチーフにした作品。御手洗少年筆頭に中学生達の冒険が描かれている。作中の踊る人形の意味については同じような動機を目にしたことがあり想像はついていたが、中学生である彼らがどのように事件を解決するかが最も見物だった。
戦後間もない時代の背景と相まって、犯罪に手を収める少年少女の生き方や御手洗少年の葛藤がとても響く様な物語だ。
火事マニア
小火の現場に居合わせたえり子は現場から走り去る同級生を目撃する。その後、別の火事現場でも彼の姿を目撃する。また、えり子はクラスメイトで学校を休みがちな康子の家に、学校からのプリントなどを届けに彼女の住むアパートを訪れる。
別の日には学校で火災報知器が作動するトラブルがおき、教室が水浸しになる事件が起き・・・。
一見何の関係もない二つの事柄が実はかなり重要な関わりがあり、御手洗の解決により登場人物達の見方が変わる。
野本君のお母さんが余りにも不憫だ。
マジシャン御手洗くん
やはり戦後間もない横浜という地域の不穏さがありながら、そこから新しい街へという復興が行われている時間軸。御手洗はマジックの腕前もそれなりであるが、そんな彼が不良少年達に神の如き奇跡を見せると豪語する。
真相を知ればなんて事はない結末であるが、それをあたかも奇跡の様に見せる御手洗の手腕が面白い。
歯磨きチューブの謎
御手洗シリーズの刑事達は当然だが素人からの意見は聞かないし、ましてや少年の話など全く聞く耳はない。御手洗も事件の真相を解き明かす事は全く問題ではないのだが、それを頭の固い大人に伝える事が最も難解だと話す。
今回も捨てられた大量の歯磨き粉の謎を冒頭で語られながら、ホステスの殺人事件にどのように関わるかが肝になる。
短編だからこそ面白いミステリー。
刑事は相変わらず腹立たしい限りだ。
少年御手洗は久しぶりで新鮮。御手洗シリーズの世界観はまだまだ読みたい内容が沢山あるので、スピンオフ含め今後も待ち遠しい。
シリーズ通しての読者にこそ楽しめる作品だと思う。
Posted by ブクログ
中学生の御手洗少年が、横浜水路で次々と謎を解いていく。
高度成長期の横浜を感じながら、5つの事件が繰り広げられる。
「踊る人形」の痛快な冒険譚がよかった。
「火事マニア」も優しい場面にグッとくる。