【感想・ネタバレ】「仕舞」としての呆けのレビュー

あらすじ

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本書は、認知症患者の心を開き、自身が病に向き合う中で関係性・社会性を取り戻していく実践記録。手記を書き、サイコドラマを演じるという精神科医療としての手法を提示する一方、対症療法に陥ってきた認知症ケアのあり方を問い直し、マニュアル化する現状に警鐘を鳴らす。

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Posted by ブクログ

精神科の看護師として長く臨床を経験した著者。「認知症」の方々と多く関わり合うようになって、そこから学んだことは「仕舞」ということ。
人生は誰でもいつか「死」をもって閉じられる。その前に、自分の飾らない姿にて人生の舞台を舞い始めるのではないでしょうか。
そして、その中で私たちは不安を感じさせず、安心した環境の中で演じていただけるようにすれば良いのです。そして、そこで見せていただく生き様を学ばさせてもらえるのです。
認知症の方に日記や手紙を書いてもらう、サイコドラマを演じてもらうなどが取り上げられがちですが、人間の生きる力に真摯に向きあっている方だと感じました。

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2015年08月17日

Posted by ブクログ

 車屋さんが相手にとっては大きな買い物になる車をたくさん扱うように、私たちはたくさんのたった一度きりのいのちを相手にする。

 行き場をなくしていったいのちに道すじを見つけられなかったこと、後押しすらしてしまったかもしれないことを、こうすればどうだっただろうかと先輩に静かに諭され、あせったんだねと友だちに代弁してもらい、またいろんないのちに向かい合う。

 「呆けて」ゆく自分にとまどっているいのちに出会いに、人生、お仕事の先輩と一緒に行き、横でその光景を見ながらそのことを思い出し、でもこうしてお手本を見せてもらえば、今度は私もあせらずに向かい合える気がする、というエネルギーはあることを知る。

 あせらないために自分の引き出しを増やそうと思って読んだ本でしたが、それは結局、「相手としっかり向き合える自分づくり」という自分が自分を生きるために必要なことでもあるようです。

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2011年12月24日

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