【感想・ネタバレ】偶然の祝福のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2018年01月06日

何度読んでもひっそりとしたお話たちが好きです。
小説家が主人公で、彼女の書くお話が小川洋子さんが書かれてきたお話なので、私小説のような空気です。
「時計工場」の最後の一文に、今回は目が留まりました。素敵な一文です。
小川洋子さんと同じくらい大好きな川上弘美さんの解説も良かったです。川上弘美さんも、小...続きを読む川洋子さんの新刊が出たら必ず買うのか…わたしもです。

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Posted by ブクログ 2015年07月21日

一人の女性の身に起こる、日常と非日常の間を行き来するような奇妙な出来事が時間軸がばらばらのまま織り成される。全てに通じて感じるのは、どこかひっそりとした喪失の匂い。
捉えどころのないたおやかな空気の静謐さ、小説にしか描けない時間と空間の切り取り方、手触りに引き寄せられました。

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Posted by ブクログ 2024年03月25日

「盗作」でおやと思った。水泳をしていて片腕を下げられなくなった弟の話を前に確かに読んだことが有る。読み進めると『ホテル・アイリス』だと思われる小説や『貴婦人Aの蘇生』の登場人物だと思われる女性が出てくる。もしかして小説でなく著者がどのように小説を書いてきたかの裏話を読んでいるのだろうか。「エーデルワ...続きを読むイス」を読んで怖いような切ないような気持になった。全て亡くした弟のことを書いていたのだろうかなどと疑ってしまう。

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Posted by ブクログ 2020年11月03日

また好きな本に出会ってしまった。
悲しみや寂しさ、影が通奏低音として流れている文章が好きだな。
お手伝いのキリコさんの話が好きです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年08月21日

ああ、エッセイかと思って読んでいたから!
すごいハラハラしちゃって。
いまも、ほんとはエッセイ?とちょっと思ってる。
作品と現実の境界線をいい意味で曖昧にしちゃったすごい作品だ。

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Posted by ブクログ 2022年02月12日

久しぶりに再読

【失踪者たちの王国】
“さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。誰でもたやすく足を踏み入れられるという訳でないらしい王国”
『嘔吐袋』の話はこの話だったかと再確認。

どこかで読んだと思っていても短編は何に入っ...続きを読むていたか忘れがち。失踪する側は理由や事情があって、日常の延長で自覚なく失踪するものだが、失踪される側は特別な事になってしまうという事実が不思議な感触。

【盗作】
「あれ? この話……」となる作品。
他の短編集にある話とリンクしているから、混乱しがち(『三月は深き紅の淵を/恩田陸』と同じ感触の掴みきれない感覚が好き

【キリコさんの失敗】
キリコさんがチャーミングで実に魅力的!

【エーデルワイス】
穏やかなのに不穏で良い。

【涙腺水晶結石症】
絶望的な状況で判断を誤る人や助けを求められない人が苦手で、その種の話には苛立ちを感じやすいがが、作品が淡々とししていて、その悲劇的な状況に悲壮感がないから神経を逆撫でされる手前でとどまる。スッと終わるから後味は悪くない。

【時計工場】
指揮者、果物を背負う老人、愛犬、果物、マンゴー色の蝶……短編集だけと連作だし、連作だけど分断されていて「おや?」と登場人物の作品内の時間軸を探す作業が発生する。逃げ出したいくらいの湿度が心地良い。

【蘇生】
短くてスッと消えていく最後の短編。湿度の高い短編の後にカラカラに乾燥した短編が来て、潤いが欲しいと感じた辺りでストンと断ち切られる。

【変化の段階/川上弘美】
解説じゃなく新聞読書面からとのこと。文庫本の裏面解説も魅力的。
“失われたものたちの世界、と私は小川洋子の世界を呼んでいる。”の一文に共感しかない。

最初に小川洋子作品を手にしたのは『薬指の標本』だった。ゴシック調の表紙に惹かれて、何冊か読むあちに気がついたら「取り敢えず読む」作家リストにインしていた。今のところ『沈黙博物館』が自分内ベストな気がしているけど、結局のところどの作品も違和感はあるのに好きなんだよなあ。

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Posted by ブクログ 2020年11月29日

小川洋子の世界。
短編連作。

裏表紙から。
失った物への愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。

なるほど、なのでタイトルが「偶然の祝福」なのか。

読み終わって、詳細をしっかり覚えているかというと、すごくあやふやな記憶しか残っていなかった。
だけど哀しみの中に、息子と犬のアポロが寄り...続きを読む添っている。
じんわりと幸せを感じる一冊。
とくに「キリコさんの失敗」と「涙腺水晶結石症」が良かった。

それにしても解説の川上弘美さんが一番好きな小川作品が「ホテルアイリス」というのがびっくり。
英訳されている洋書もつい買ってしまったけれど、ちょっとついて行けない世界。
もっと読み込んで小川洋子の世界に入り込まないといけないのか?
徐々に小川作品も読んでいこうと思います。

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Posted by ブクログ 2019年12月29日

以前は、女性作家と日記、手記などは読まなかった。読書は空いた時間に、それも出来るだけ現実から遠いものを選んでいた。海外の小説が多いのも当時の気持ちや環境から距離があったからかもしれない。
時間に少し余裕が出来てベストセラーなども読むようになり、時間があまって来ると、本来の好奇心からかさまざまなジャン...続きを読むルのものを読み、手に取ったことがなかった女性作家のものが心に響くことに気がついた。

小川さんは長い間記憶の中で「博士の愛した数式」を書いた人だった。それがほかの作品も読んでみたい、と読んだ途端好きな作家に入ってしまった。
どの作品も独特の味があって、ちょっと変わっている。

余りたくさん読んでいないので、この作品に限って思うことは、たとえでも身近な描写でも大胆で奇妙な現実の雰囲気が纏わりついている。
なにかが消え、なきかがあらわれる。消滅していく流れがあり、そこには深い悲しみが沈んでいる。そして再生は全く違った形でありながら、稀にその悲しみを埋めるような現象が起きたりする。
別れていくことが当然の人の営みのように、消えて行く。奇妙な現象が手を繋いで輪を作り、その中に作者の現実や、生身の姿を髣髴とさせる、低いベース音のように、そんな姿が奥底に流れ続けているような、短編集だった。


「失踪者たちの王国」
これは何かで読んだことがあった。それ以後ニュースや、ドキュメンタリー番組は気になってよく観ていた。年間8万人前後の失踪者(または行方不明者)がいると言う。私の身近なところでも昨年一人が、家を出たまま行方が知れない。事業に失敗していなくなったのだがその後見つかったという話を聞かない。
ミステリなども家出の後行方が知れないという書き出しや、事件の始まりになっているものも多い。
ここでは、知っている人がふっといなくなったという。帰って来ない友達の叔父さん、歯医者さんに行って入れ歯を置いたままいなくなったおじいさん、先生の婚約者は「ちょっと行ってくるよ」と言ったままいなくなった。
叔母さんは一人になっても働かないで、家財を売って暮らしているようだったが、嘔吐袋を集めていた。そして何も言わず綺麗に失踪した。

失踪した人は、垢を落として生まれ変わったように楽になるのだろうか、反対に現実の重みが降りかかってくるのだろうか。
一度踏み込んでみたい気もするが、こちら側にいるとあちらは陰の中にいるようで薄ら寒い。

不思議にも彼らは私を慰めてくれる。王国ははるか遠いはずなのに、彼らは洞穴に舞い降りてきて、いつまでも辛抱強く、そばに寄り添ってくれる。その吐息を私は頬のあたりに感じることができる



「盗作」
聞いた話を書いて賞を貰った。将来を嘱望された水泳選手が片腕が上がったまま動かなくなってしまったという。その後病棟の談話室に英語版の「BACKSTROKE」と書いてある古い本を見た。

背泳ぎの選手だった弟が、左腕から徐々に死に近づいていく話だった。私が書いたのと、彼女が語ったのと同じ話がそこにあった



「キリコさんの失敗」
なくしたものを見つける名人のキリコさんの話。リコーダーをなくしたら木で作ったのを持ってきてくれた。海外旅行の土産の万年筆で毎日いろいろなことを書いた。インクがなくなってうろたえているとキリコさんが町の文房具屋さんで補充のインクを買ってきてくれた。
ある日キリコさんの自転車にパンが置かれていた。毎日それを分けて食べていたが、パン職人が自殺した。そこにキリコさん宛ての手紙があったという。キリコさんはすっかり元気をなくしてしまった。
無くした万年筆は、むいた栗の皮に紛れて捨てられ焼却炉で溶けた。
キリコさんは、骨董の壷を頼まれて渡しに行って人違いをした。サインをしているのを見るとなくなった万年筆と同じものだった。買い取ると言うとキリコさんの手に乗せてくれた。だがその万年筆を持っていた買い主は偽者だった。
キリコさんはパン屋さんのことや、だまされて盗られた骨董品が気にかかったのか去っていった。



「エーデルワイズ」
私の本のファンで、衣服にポケットを作り体中に本を入れて歩いている男に出会った。手紙をもらったが、本の一部を寄せ集めた意味不明の奇妙な文章がぎっしり詰まっていた。男は私の困惑にも構わず「エーデルワイズ」の歌を歌ってくれた。付きまとわれていたが、雨の日に転んで本を全部だめにした。そしていなくなった。



「涙腺水晶結石症」
飼い犬が病気になったので、医者に見せようと雨の中を歩いていた。
車で通りかかった男が犬と一緒に乗せてくれたが、獣医だといった。
犬を見て涙腺水晶結石症だと言ってまぶたをしぼって石を取り出してくれた。

「さあ・・・・・」
よく見えるように彼は掌を私に近づけた。それは白く半透明な結晶だた。ちいさな金平糖状の粒がいくつもくっつき合って、一つの精密な形を成していた



「時計工場」
旅行記の取材で行った島で、籠に一杯の果物を背負った老人に合う。首に黄色い蝶のあざがあった。ホテルの図書室で識者の男に出会う。彼の首にも黄色い蝶のあざがあった。
小説を書くという苦しみが象徴的に語られている。



「蘇生」
息子の睾丸がはれていた。そこには水の入った袋があるという。
手術のために入院したが、同室になったおばあさんは、「アナスタシア」という名前だといって、家系や歴史や親族についてとうとうと語る。どう見ても彼女は日本人だった。周りにはAの文字を飾った刺繍が溢れていた。退院のとき刺繍糸のセットをあげるととても喜んで写真を撮ってくれた。切り取った袋は貰って帰った。
今度は私の背中に腫れ物が出来た。水が溜まっていると言う。簡単に袋を取って手術が終わった。その袋も貰って帰った。
ある朝突然言葉が出なくなった。言語療法士にも見てもらったがよくならない。
原稿用紙の前に座ると、言葉の壁が見えた。積みあがっているのは私が書いた言葉のようだ。
言語療法室に行ったらアナスタシがいた、喋り続けるので、言葉の繭にくるまれているように見えた。「アナスタシア」は「蘇生」と言う意味だという。
干からびた二つの袋を飲み込んだ「蘇生よ、蘇ること」アナスタシアの言葉が聞こえてきた。
「アポロ」と呼んだら犬の耳がぴくっと動いて言葉が戻ってきた。



なにかもの悲しい、人の営みとささやかな願いと、不思議な出来事が溶けあった作品。やはり好きだなぁと思う

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ネタバレ購入済み

匿名 2019年11月27日

 エッセイを思わせる短編集。丁寧に紡ぎ出された言葉が小川洋子独特の世界を描き出している。妊娠、恋人の指揮者、生まれたばかりの子供、犬のアポロ、小説。
 短編集の中でも「盗作」が印象的だ。左腕を上げたままの水泳選手の弟。
 お手伝いのキリコさんは肉間的でとても魅力的だ。

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Posted by ブクログ 2017年06月13日

孤独な女性小説家の過去、日常を描く連作小説。
間違いなく日常が描かれているが、そこにあるのは、ミステリアス、生々しい神秘性、非現実感、虚構。
最初はエッセイ?と勘違いしそうになりました。ご自身の経験も多かれ少なかれ盛り込まれてるとは思いますが。

小川洋子さんは静謐な文章を書かれる方、と紹介されるこ...続きを読むとが多いが、その通り喧騒とは正反対のところにいる。
流れている時間がすべらかで秒針の音ひとつしないのだ。
主人公の人生は穏やかなものではなく、しかし落ち着き払っている。
終わり方はストンときたし好みだが、その後主人公にとってやさしい時間はやってくるのだろうか、という読後感が残った。
暗い話が好きな私にとっては良い余韻だった。

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Posted by ブクログ 2017年04月17日

小川洋子の小説は、博士が愛した数式しか読んだことがなかったけど、この人のほん。面白い。

ほんの少しの非日常をこんなうふうに淡々とミステリアスに、そして、ささやかな幸福に、ほんの少しのラブストーリーに、不思議なホラーに、少しづつ姿を変えて読ませてくれる、身近によくある話のようで、なかなかないんだけど...続きを読む、なんか自分でも経験したような気になるような日常風景の中に取り込まれる世界。

ふとした瞬間に、今の自分と本の中の主人公が簡単に入れ替われるほど普通の日常の出来事が、どんどん読ませてくれます。

ゾクっとしたり、え!?そうくる!?って思ったりオチも完璧なのに、なぜかとても日常的。

そんな不思議なもう一人の自分の人生のような一冊です。

ハマるかも。小川洋子!

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Posted by ブクログ 2017年02月06日

不気味だけど懐かしい。キリコさんの失敗のパンの届くところ、盗作、失踪者。静謐は十分だったが、つながり、掘り下げがイマイチだったか。
現実と創作が混じり合ったエーデルワイスの感じは好き。

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Posted by ブクログ 2015年09月25日

なんでこの人の書く物語は
こんなにかなしくて絶望的でくらくて
なのになぜか優しくてどこかにひっそり希望が隠れてるんだろう

そして、夢と現の狭間のような世界

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Posted by ブクログ 2015年09月02日

基本的に人間は信じていない私ではあるが、それでも人生のどこかで誰かに助けられた場面があったことは認めざるを得ない。いかに人間嫌いな私でも、たった一人で生きてきたわけではない。普通の人は助けてくれる人というのは家族であったり恋人や友達であったりするのかもしれない。だが極端に知り合いの少ない私は、いざと...続きを読むいうとき力になってくれたのは、赤の他人であることが多かった。通りすがりの優しいおばちゃんや、名前も告げずに去っていったサラリーマン。よくぞあの時あのタイミングで、と奇跡を信じたくなるほどありがたい助けもあった。
 たぶん、世の中はそいういうふうにできているのだ。不幸と幸福のバランスがとれるように、なんらかの物理的作用が働くに違いない。
 だから、用事が終わった後煙のように消えてしまってもちっとも不思議ではない。たとえそれが恋人であっても。役目を終えて舞台から降りただけなのだから。

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Posted by ブクログ 2015年08月10日

再読。
夢と現の境界線が曖昧な寓話の様な7つの短編。
"私"は少し特殊な生い立ちのせいか幼い頃から胸の内に孤独を抱えた女の子で、その"私"を現に繋ぎとめていたのが彼女の弟やキリコさんの存在だった。
母親に顧みられない幼い"私"を魔法のように...続きを読む救け慈しんでくれたキリコさんはわずか1年ほどである出来事の責任を問われやめされられ、バラバラの家族の鎹であった弟の死で"私"と両親を繋ぐものはなくなってしまう。
弟の死を機に"私"は彼方と此方を行ったり来たりするようになってしまう。
ともすると彼方の世界に沈み込んでしまいそうになる"私"を現である此方側に引き戻してくれるのは、バスで乗り合わせる女性であったり、偽物の弟であったり、アナスタシアと名乗る老女であったり… どう考えても彼方側の住人と思われる人物たち。
そして、まだ幼く言葉を発することも出来ない息子と、飼い犬のアポロ。
息子とアポロの描写には穏やかで温かな陽だまりのような幸福を感じる。

作品の全体を通して、かなりヘビーな人生を送っている"私"の物語は常に穏やかに静かに進行していてドラマチックさはないけれど、美しい文章に心を掴んで離さない魅力がある。

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Posted by ブクログ 2015年06月21日

失意の時、希望が潰えた時、抱えきれないような災厄に見舞われた時など誰でも程度の差はあれ、自分ではもうどうしようもないという時があるでしょう。作家である一人の女性が辿った足跡はそんな状況を何度か潜り抜けています。その時出逢った出来事とは‥
不思議な体験が七つほど語られます。愛すべき飼い犬のアポロがしば...続きを読むしば登場しますがアポロの危機を救う涙腺水晶結石が心に残りました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年06月18日

2015年の17冊目です。

7つの短編から成る連作小説です。
「失踪者たちの王国」から始まり「蘇生」というお話で終わります。特別なSFぽいの物語の設定ではないものの、奇妙な人の奇妙な行動が、非日常的な世界観を、今生きている世界に植え付けてる感じがします。この”奇妙さ”が、小川洋子の特徴であり、私を...続きを読む惹きつける特徴でもあると思います。”奇妙な事”を通して、自分の存在を認識できるということかな?犬が罹る涙腺水晶結石症という奇妙な病気のお話は、主人公の孤独感を強く感じるものでした。

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Posted by ブクログ 2015年04月17日

7つの短篇は独立したお話だが、小説家である主人公の語り手「私」は全部に共通している。
短篇の並び方は時間順ではなく、読んでいくうちに主人公が最初の短篇の「今」の暮らし方になった経緯がわかるようになっている。
後半の短篇では、主人公の恋愛が主に描かれる。
私は「エーデルワイス」が心に残った...続きを読む。主人公の前に現れた熱狂的な男性の読者。
この短篇を最後まで読むと、この男性が何者か、なぜ主人公の前に現れたのかがわかる気がした。
それから、主人公の息子(赤ちゃん)の友達であるカタツムリの縫いぐるみがでてくる部分がいいです。この縫いぐるみを見てみたい。

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Posted by ブクログ 2016年05月29日

一人の若い女性小説家を主人公にした連作短編。
左手を挙げたまま降ろせなくなった水泳選手とか小川さんらしい不思議な状況が出てくるものの、主人公が小説家ということで、なんとなく自叙伝的な物語のような気がしながら読んだのですが、どうも違うようです。
独特の雰囲気があります。
現実と虚構の境目のあいまいさと...続きを読むか、全体を流れる暗い喪失感だとか、いかにも「物語」なのです。ただ、それを通して小川さんが語ろうとしている何かが掴めないのですが、もともと掴む必要もないのかもしれません。

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Posted by ブクログ 2023年07月09日

積ん読になっていましたが、ふと手にとって読み始めました。私の読解力がないのか、あれ~?なになに~と理解困難な箇所もありましたが、ほっこりするような、ふわっと幸せ感じるような、穏やかな気持ちになれます。

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Posted by ブクログ 2023年07月02日

説明のつかない奇妙さや気持ち悪さがありつつも、どこか儚くて切なく感じる短編集でした。

特に前半「失踪者たちの王国」、「盗作」はちょっと気持ち悪く感じました。

小川洋子の描く動物は優しくて可愛いです。
「涙腺水晶結石症」が好きです。

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Posted by ブクログ 2021年12月27日

穏やかな語り口なのに、どこかぞくっとさせる不穏さをはらんでいて、癖になります。
どの物語も短く読みやすいので、通勤時間や待ち合わせの間などにさくっと読むことができます。

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Posted by ブクログ 2020年10月30日

作家である「私」が、息子や愛犬のこと、昔の思い出などを描いた短編集で、「私」を中心に、それぞれの話はどこかで繋がっている。
タイトルに"祝福"とあるわりには、どの話もわかりやすい幸せな感じはないため、個人的には少しモヤモヤが残ったが、一見不幸そうな中にわずかに温かさを感じる部分も...続きを読むあり、それが"偶然の祝福"なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2018年02月07日

後から考えると何が怖かったのか分からない怖い夢を見ることがある。
眠りの導入部で自分の目にしたことの無い映像が勝手に流れ出すような。
見当違いなことを言っていたら恥ずかしいが、現実なのか夢なのか分からない世界がこの小説と似ていると思った。
読んでいる途中は何とも言えない居心地の悪さみたいなものを感じ...続きを読むていたのに読み終わってみると不思議とまた読みたくなっている。
何だろう、上手く言葉にできない。

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Posted by ブクログ 2017年10月17日

何かを失うことで、何かを得るというテーゼが通奏低音となっている小説。小説の中の物語とはいえ、人生の不思議さをしみじみと感じられる作品です。短編でありながら、それぞれの短編が相互につながっている展開。

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Posted by ブクログ 2016年05月27日

『涙が落ちて、それが宝石になる』

わかっていることと理解していることは違う。このままじゃダメだと思っているのに、手を繋いだまま崖に向かっていってしまう。視野を、視野を広くしなくては。物語は誰かの視界を介して複雑に移り変わっていく。見ているものは一つなのに。それは赤く、丸く、重く、薫。リンゴを見てあ...続きを読むなたはなにを一番に思い浮かべるのか。

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Posted by ブクログ 2015年12月13日

ほぼ内容忘れちゃった。
ただ、小川さんって
読み終えて気持ち良かった
ってのだけ残ってる…

失踪者たちの王国
盗作
キリコさんの失敗
エーデルワイス
涙腺水晶結石症
時計工場
蘇生

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年10月18日

なんとも言えない。
とても読ませる文章だし、気持ちになにか残ってるけど言葉に出来ない。
注意深く読まないと章が変わった時どこにいるのか分からなくなる。
アポロが助かって良かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年09月12日

読んだ時の環境も影響しているのかもしれないが一貫性が感じられなくて読んだ後があまりすっきりしなかった。

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Posted by ブクログ 2015年05月12日

小川作品は日本を舞台にした海外文学である。

『博士の愛した数式』を読んで以来忘れられない名前になった小川洋子の連続短編集。時期で言えば『博士の〜』の3年前の作品になる。

まだ自分の作品の温度を模索している印象を受けた。熱を持った部分と冷たい部分が共存している。この作品から3年の時間をかけて『博士...続きを読むの〜』の暖かさができあがったと思うと感慨深くよめる。

ところで、主人公が男性の作品はあるのだろうか。

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Posted by ブクログ 2018年10月08日

現実と非現実を行き来する小説家の私。
連作となっているけれど、作品ごとにおだやかな躁だったり静かに欝だったり、受ける印象はさまざま。
選ぶなら「キリコさんの失敗」 
今頃どうしてるのかな?キリコさん。(笑)

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