【感想・ネタバレ】越境のレビュー

あらすじ

北海道は無法地帯と化した。迫真の軍事小説

舞台はロシア軍の侵攻を受けた北海道。
日本国は、戦場と化した最北の地を見放した――。
国家とは何か。戦争とは何か。生きるとは何か。
『小隊』の著者にして、元自衛官の芥川賞作家が描き尽くす、驚異のミリタリー小説。

侵攻後、北海道はロシア軍や自衛隊の残党、民兵、マフィア、ヤクザなどが群雄割拠する無法地帯と化していた。
陸自「支援飛行隊」のイリキは、釧路近辺で何者かの襲撃に遭い、墜落。
奇跡的に一命をとりとめた彼は、山縣という男に救われ、極寒の地を奥へ奥へと進んでいく。
彼らの進む血なまぐさい道は、帯広、釧路を抜け、旭川へ至り、やがて札幌へ続く。

「人を殺した。人を殺した。おれが、人を殺したのだ。」
戦闘は、人の心をどのような形に歪めるのか。
戦争は、地をどのような姿に変えゆくのか。
全てが崩壊した後に、イリキが目にした光景とは――。
本の雑誌が選ぶ年間ベスト10で1位に輝いた、暗黒の軍事巨編。
(解説・辻田真佐憲)

単行本 2024年7月 文藝春秋刊
文庫版 2026年7月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

砂川文次『越境』文春文庫。

ロシアからの侵攻を受け、無法地帯と化した北海道を舞台にした一種のミリタリー・シミュレーション小説である。

『本の雑誌』が選ぶ年間ベスト10の1位に輝いただけのことのある物凄い小説だった。

この小説の凄いところは北海道がロシア軍からの攻撃を受けて支配されている姿を描くのではなく、さらに一歩進めて、ロシア侵攻後にロシア政府も日本政府もロシア軍、自衛隊を見放し、無政府状態となった北海道がロシア軍のや自衛隊の残党、民兵、ロシア難民や海洋資源の利権を求めて集まったマフィア、ヤクザなどが群雄割拠する無法地帯に変貌した姿を描いていることだ。

現在、ロシアによるウクライナ侵攻、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃、中国によるアジア各国への領海侵犯など世界では戦争への脅威が高まっている。戦後80年を経過しても、ロシアによる北方領土の支配やアメリカ軍の日本各地への駐留は続き、この均衡がいつ崩れてもおかしくない状況にある。従い、本作に描かれる北海道のロシア軍侵攻は決して空想の物語ではなく、現実に起こり得る事態であろう。


陸上自衛隊の支援飛行隊のイリキはヘリコプターで支援物資の輸送中に釧路空港で何者かの攻撃を受け、ダム湖に墜落し、奇跡的に一命を取り留める。山中を彷徨う中、動物の罠に捕らえられ、身動きが取れなくなったイリキは山縣と名乗る元自衛隊の男に救助される。

ある日、山縣の知人のロシア難民のアンナの保護者である医師の森が書き置きを残して姿をくらましたことから、山縣はイリキとアンナと共に車で森の行方を探す旅に出ることになる。

行く先々で起きる戦闘の中を掻い潜りながら、3人は森の手掛りを求めて標茶に居る山縣の知り合いのノモトの元へ向かう。

ノモトの元に辿り着いた3人はノモトの元で森が囚われていることを知り、さらにはノモトから森の息子が核兵器を奪い、テロを企んでいることを聞かされる。ノモトの命令で森の息子の後を追うことになったイリキたちであったが……






戦争小説以外の小説の中で核兵器が実際に使用されるシーンを描いているのは、トム・クランシーの『恐怖の総和』くらいしか知らないが、本作でのラストの衝撃はそれにも増して劣らない。

本体価格1,140円
★★★★★

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2026年07月17日

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