【感想・ネタバレ】わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人はものを読む時、わかったつもりの状態に陥る。わかったつもりもそれ自体はわかっている状態の一種だが、より深い読みをするための障壁になっている。より深く読むためには文脈を駆使することが重要。文脈によりそれぞれの記載から意味が引き出される。その際は読み手の想像や仮定が欠かせない。その解釈は整合性を欠かない限りにおいては棄却される必要はない。

国語教育への提言も含めて目から鱗の一冊だった。大胆に整合性を欠かない範囲で想像力を働かせながら読むことが大事だと感じた。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 主に国語の教科書に使われる文章の読みを想定して、「わからない」状態を「わかる」状態にするより「わかる」状態を「よりわかる」状態にすることが重要といことを解き明かした本。その手立てとして、心理学で使われる「スキーマ」という概念と「文脈」という概念を活用している。

「わかる」ということのは、「文章から引き出される意味同士の関連付けの緊密性」

「よりわかる」状態を意図して実現するために、無意識にあてはめている「スキーマ」=記憶と「文脈」=視点を変えていく習慣をつけることが有効であるというのが自分にとっては発見だった。


A 「わからない」「わかる」「よりわかる」に関する知見
①文章や文において、その部分間に関連がつかないと、「わからない」という状態を生じます。
②部分間に関連がつくと、「わかった」という状態を生じます。
③部分間の関連が、以前より、より緊密なものになると、「よりわかった」「よりよく読めた」という状態になります。
④部分間の関連をつけるために、必ずしも文中に記述のないことがらに関する知識を、また読み手が作り上げた想定・仮定を、私たちはもちだしてきて使っています。

B 文脈の働き
①文脈がわからないとわからない
②文脈がスキーマを発動し、文脈からの情報と共同して働く
③文脈がそれぞれの部分の記述から意味を引き出す。
④文脈が異なれば異なる意味が引き出される
⑤文脈に引き出されたそれぞれの意味の間で関連ができることで文がわかる

C どのようなときに「わかったつもり」がつくられやすいのか
文章の構成に読み手が惑わされた「わかったつもり」
・『結果から』
・『最初から』
・『いろいろ』
読み手の既存のスキーマによる「わかったつもり」
・「全体に当てはめられやすいスキーマ」
・「部分に関して当てはめられやすいスキーマ」
・「善きもの」「無難」

D 「わかったつもり」の「読み」の進展過程
①「わかったつもり」の状態
②新たな文脈による、部分からの新しい意味の引き出し
③引き出された意味による矛盾・無関連による「わからない」状態
④新たな無矛盾の関連づけによる「よりわかった」状態

E 「想像・仮定」に関する制限
①整合的である限りにおいて、複数の想像・仮定、すなわち「解釈」を認めることになります。間違っていない限り、また間違いがあらわになるまで、その解釈は保持されてよいのです。
②ある解釈が、整合性を示しているからといって、それが唯一正しい解釈と考えることはできないのです。
③しかし、ある解釈がどこかの記述と不整合である場合には、その解釈は破棄されなければならないのです。

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2021年09月18日

Posted by ブクログ

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ていねいな「読み」のためには、「わからない」よりも「わかったつもり」の方が壁になる。「知ったかぶり」とは違うけれど、なんとなく「わかった」気がして満足してしまうと、落とし穴がありそうだ。

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2022年10月05日

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