あらすじ
ハードボイルドの逆襲!
ハードボイルド一筋に突っ走ってきた著者の代表作と呼ぶに相応しい傑作(「小説推理」2024年4月号より)ーー故・香山二三郎氏も絶賛!
神奈川県警の元公安刑事が爆殺された。男が生前追い続けていた過激派組織・日反の関与が濃厚だという。爆弾闘争を繰り広げた日反は幹部らの中東逃亡や内部分裂を経て休眠状態だった。なぜ今になって?
30年前、横総大の学生・沢木了輔は、この刑事の命を受ける形で、同大の日反組織に潜入していた。接近したのが日反幹部の娘とされる月原文目だ。沢木は文目を巻き込み潜入プロジェクトに深入りしていくも、悲劇とともに計画は頓挫した。
血塗られた計画に、公安刑事となった沢木が再び分け入ると、官邸、警察、過激派、それぞれの思惑が絡まった国家の陰謀が見えてきた。相次ぐ関係者の死、行方をくらました日反幹部の出現、そして裏切り。ノンストップで展開する新時代のエンタメ超大作!
※この作品は過去に単行本として配信されていた『革命の血』 の文庫版となります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
柏木伸介『革命の血』小学館文庫。
この作家の作品を読むのは3冊目であるが、ハードボイルド作家というイメージは余り無かった。本作では全面的に『ハードボイルド』を打ち出しているようだったので、読んでみることにした。
最初は主人公が軽い感じがしたのだが、読み進むうちに堂場瞬一の小説にも似た公安物の正統派のハードボイルド小説と言っても良い作品だと思った。1989年とその30年後の2019年を行き来するという構成で、主人公の沢木了輔が1989年では『僕』、2019年では『私』というように一人称を変えているのは著者の心遣いだろうか。
舞台となる1989年には既に共産主義を標榜する学生運動や反政府の過激派活動は下火になっていたように思う。確かに1980年代前半の首都圏の大学キャンパスでは革マルや中核の文字の入ったヘルメットを被った危ない若者を多数見掛けたが、地方の大学ではそういう若者の姿は皆無であった。中にはネクラのオタクっぽい、もしかしたら爆弾でも作っているのではないかというアブナイ風貌の学生も居たし、何年間、大学に通ってあるのかというようなオッサン学生も居た。
現代の日本は経済的にも疲弊し、もはや後進国と呼んでも良い状態であり、社会保障の負担はより一層、国民一人ひとりの肩に重くのしかかっている。不平不満は口にすれど、反体制的な過激な活動は目にすることが無い。本書では今では絶滅危惧種となった革命を夢見る様々な戦士たちが、生き延びるために誰かを犠牲にし、体制に与していく姿を描いているようだ。
2019年、神奈川県警の元公安刑事の吾妻仁志が自宅付近で爆殺される。犯人は吾妻が生前に追い掛け続けていた過激派組織である日本反帝国主義革命軍のメンバーではないかと思われた。しかし、日反は爆弾闘争を繰り広げた果てに幹部らの中東への逃亡や内部分裂により休眠状態であった。学生時代に吾妻から公安のスパイにスカウトされ、現在では自らも公安刑事となった沢木了輔は様々な手を尽くし、事件の捜査に奔走する。
30年前の1989年に横浜総合大学の学生だった沢木了輔は公安刑事の吾妻仁志からの指示で、大学内の日反組織に潜入していた。そんな中、担当教官が沢木の目の前で、桝田邦麿という日反のテロリストにより爆殺される。沢木はさらに吾妻からの命令で桝田の娘とされる月原文目に接近し、文目も巻き込んだ潜入プロジェクトに深入りするが、悲劇的な結末を迎える。
公安刑事となった沢木は30年間の日反絡みの疑問を解決するために形振り構わず、捜査を続けるが、そこには国家レベルの陰謀が待ち受けていた。
本体価格900円
★★★★★