【感想・ネタバレ】新装版 ハゲタカ(上)のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月12日

感想
他の読者の評価が高かったので読んでみることに。一度、ドラマで見たことがあったが、改めて本で読むと面白かった。

銀行というシステムを作った欧米に対して、バブル期の日本人は手をこまねいて買い叩かれるのみ。金融業界の抜け穴もたくさんあり、魑魅魍魎の金融界を描いた作品。

日本が鷲津に買い叩かれてい...続きを読むるのに、なんだか鷲津を応援したくなってしまう魅力がある。

あらすじ
ニューヨークでジャズピアニストを目指していた鷲津は、あちらで投資ファンドの社長に見そめられ、企業再生で利益を上げるハゲタカビジネスの腕を磨く。

90年代になり、バブルが崩壊した日本市場では銀行が不良債権を売り払おうと必死になっていたところに、鷲津率いる投資ファンドが入り込み、巨額の利益を上げる。

三葉銀行の芝野は、バルクセールを成功させ、銀行の不良債権を着々と処理していたが、バンコク支店への異動を命ぜられ、銀行をやめて企業再生をする決心をする。友達のスーパーを3年で見事に再生させると共に、家族の放蕩経営をしていた友人を切る決意をする。

日光の格式あるミカドホテルの令嬢であった貴子は、スイスへ留学後、外資系のホテルで修行し、役員まで打診されたが、自分を育てた祖母の死をキッカケにミカドホテルの再建に乗り出す決意をする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月05日

ハゲタカ上
3.5
ハゲタカビジネス、企業再生ビジネスを描いた企業小説。経済の知識がつくのもあるが、小説としても面白い。ニューヨークの投資ファンドで名を上げ日本に戻った鷲津政彦、リン、芝野、飯島、貴子などのキャラや因縁など。実際の企業名が少し変えて書いてあり、事実になぞっている部分もあるよう。三葉銀...続きを読む行退職しえびす屋役員になった芝野、自分達大人は若い世代に胸を張って己の生き様を誇れるだろうか。闘うことも挑戦することもせずにただ自分達の都合の良い結果だけに満足して先に進むのを避けている。

スーバーえびす屋社長瀬戸山、自分の能力を過信し、部下の言葉を信じすぎ、社会の流れを見誤った。これは全て経営者失格の条件。
アメリカでも日本でも、自己主張、自意識過剰、嫉妬で渦巻いている投資銀行では、人の手続きは大事。人の立場を考える。

バイアウト企業買収、ターンアラウンドマネージャー企業再生家
デューデリ:精査。債権自体の精査と債権に付帯した担保不動産の鑑定など。
バルクセール:不良債権などを含む債権一括してセットで売ること、レバレッジ:梃子。投資案件を担保に市場から資金を調達すること。2%程度の低金利で市場から資金調達し、10%程度のリターンを求められるファンド資金に上乗せし、全体としてリターン比率を下げる手法がある
変額保険:保険の予定利率を株価などの運用利回りにスライドさせる利回り変動型保険。80年代後半に流行り、高利回りを餌に土地を担保に大型フリーローンで億単位の保険契約を結ばせたがバブル崩壊で元本割れして利回りが払えなくなった。
PE(プライベートエクイティ)を活用した企業再生ビジネス:日本の銀行が投資ではなく担保で融資するのに対して、該当企業を徹底的に調査し投資に見合うリターンが得られるかを判断し3-5年で投資額の年利10%をリターンしていく企業再生ビジネス。
チェリーピッキング方式:籠に集めたサクランボの中からいくつかを取り出して品質をチェックするように、例えば総数の10%程度を抜き出しデューデリと値付けをさせ業者の実力を見極める方式。本気の業者を選別できるし情報保護にもなる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年03月21日

本の趣味が合う知人に紹介してもらった、私にとっては新領域の世界。
お仕事小説の中でも堅い方だし、公私の公の描写が9割。
最初は、三葉のバルクセール・ミカドホテルそれぞれの描写がダラダラ続いていて、そのうちココが繋がってくるだろうなという予感はあってもペースが上がらなかった。けれど、終盤に芝野が三葉を...続きを読む辞めてから物語が一気に動くのと同時に私自身も引き込まれた。
年代の設定が20世紀なのもあって、倒産法周りの整備が甘く、自分の知っている世界とはまた違うM&Aや企業再生の世界を見られた。ただ、法が整備されようとも、日本の多くの会社の体質は旧態依然でさして変化がなく、もはや経済大国ではないし、先進国とも言えないような経済・政治レベルを露呈しつつある昨今の日本は、この物語の時代に相変わらず取り残されてるなと改めて感じた。
M&Aについては、私も思うところが多くて、社会人時代の自分だったら他人事ではないシーンが少なくなかった。社長室や経営企画室のメンバーは元気にしてるなぁ…。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年01月31日

*上下巻共に感想の内容は同じ。

鷲津政彦は投資ファンドの社長としてニューヨークから日本へ。
ライバル会社との対立、買収企業関係者からは憎しみを受けつつも次々と企業買収を成功させてゆく。
そんな中、明らかになる鷲津の過去、そして、彼が“ハゲタカ”と呼ばれる世界へ飛び込むことを決意した理由が明らかに。...続きを読む

*****

ドラマDVDの裏にあるあらすじを読むまでにチェックしたりしていましたが、全然ストーリーが違うみたい。
企業買収というテーマ?と主人公と主要人物の名前(それも一部)だけ使った感じでしょうか。
ドラマも本も両方ヒットしているので、ベツモノとしてアリ、なんでしょうね。
ドラマはまだ観たことがないので、観たいなと常々思っていたけれど、本が面白く、内容が全く別、ということでちょっと気持ちが落ち着いてしまった。
本を大森さんのイメージで読んでいたので、原作通りなら観ていて嬉しいかも、と思ったけれど、だいぶん違う話みたいだから一旦原作脳をリセットしてからにしたいなと。

今は原作が面白かった気持ちを大事に(笑)

“華奢な体とソフトな表情”、“社長”というよりは“有能な秘書”、“地味”と、三葉銀行の芝野に評される、鷲津。
でも、それはあくまでお仕事用の顔。
リン、という公私ともに良い付き合いをしている金髪、気が強い美女にも惚れこまれ、また別の美女の心も引き寄せ、と、鷲津さん、非常にカッコいいのです。
関西出身なのにニューヨーク暮らし、ピアニストであることからか、言動も毎度カッコいい。
「いいんだ、これで。俺は一度決めたことは曲げない」
なんて男らしい!
物語では同じ土俵に立つ人々には敵味方問わず、畏れをもって一目置かれている。
ソフトな物腰とワイルドな生き方、ときめきまくりでした。
大森南朋さん、はまる…とドラマを一回も観たことがないから想像の大森さん演じる鷲津にどきどき。
MBO、投資ファンド…文字として、単純な意味合いとしての理解しかできていない私には最初こそなかなかのめりこめずにいたものの、鷲津というキャラクタがとても魅力的であり、物語を彼や周りの人物が盛り上げる様に後半はすっかり夢中になっていました。
鷲津側、敵対する側、買収される側、どれも濃かった。
命懸けの企業買収。
ただ、彼が日本に来た理由に関するあたりが若干物足りない。
理由としてそれに相当する、それで十分なのかとも思う。
鷲津という人間を描く上で必要なエピソードだろう。
ただ、何となく最初と最後にぽんと出てきて、それまでに何となく“犯人”的目星がついていて、それに対する驚きは弱かったかもしれない。

今回は途中くじけかけたり時間をあけたりと予想以上に時間をかけてしまった上に浅い読み方になってしまったので、もっと集中してまたチャレンジしたいなと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年12月13日

経済・金融に若干興味が出てきたころに買った一冊。なかなかボリュームもあり、専門用語もちらほら出てくるので読むリズムを掴むまで少し時間がかかったが、読み進めていくにつれて引き込まれていくのを感じた。投資ファンド・不良債権・バルクセールなどなど専門用語は調べながら読んでおり的確に物語の内容をつかみきれて...続きを読むいるかわからないが金融ビジネスも「先見の明」をもっているだけでは支配しきれず、ヒトの心を掴み、他人の評価や自分の立ち位置を把握してこそ上手くいくものだと感じた。また、フィクションではあるけれど日本政府と銀行の腐った体制やバブル期の企業の在り方、その後の失敗について、なんだかやけにリアルな感じがして怖く思えた。(その時代、自分は生まれて間もないころなので真実は全く知らないが。)
物語も鷲津、芝野、松平貴子を軸に様々な視点で描かれておりどの人物についても興味深い人柄で下巻ではこれらの人物がどのように関わっていくのかとても楽しみ。

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