あらすじ
紀元前2600年のインダス文明を起源とするインド。社会、文化の礎が築かれたのはヴェーダ時代からグプタ朝の間だった。中世にはイスラーム勢力が入り、多数の王朝が乱立し分裂する。16世紀から300年にわたり支配したのはムガル帝国だった。イギリス統治期を経て、ついに1947年に独立。20世紀末からの成長は目覚ましく、世界に存在感を示す。本書は「21世紀の超大国」の、5000年に及ぶ長く複雑な軌跡を描く。
■目 次■
まえがき
序 章 長い歴史と複雑な社会
第1章 インダス文明から始まるインド史
1 ハラッパー、モヘンジョ・ダロ遺跡の発見
2 未解明のインダス文明
3 インダス文明の衰退
第2章 古代文明の展開
1 ヴェーダ時代
2 仏教・ジャイナ教の成立と発展
3 古代統一王朝の成立
4 クシャーナ朝と南インドの諸王朝
5 グプタ朝―ヒンドゥー教と古典文化の隆盛
コラム アレクサンドロス東征がマウリヤ朝を生み出したのか
コラム 文化遺産のアジャンターとエローラ
第3章 中世インド世界 イスラームとの遭遇
1 イスラーム勢力の進出
2 南インドの攻防 バフマニー朝対ヴィジャヤナガル王国
コラム 世界遺産クトゥブ・ミナール
第4章 ムガル帝国の成立と展開
1 初代バーブル帝 ムガル帝国の始祖
2 第三代アクバル帝 実質的な帝国建設者
3 ムガル朝の全盛から衰退へ
4 反ムガル・在地勢力の台頭
5 ムガル帝国の遺産
第5章 英国のインド支配 インドの近代
1 インド航路の開拓と欧州列強のインド進出
2 英国による植民地化と在地勢力の征服
3 一八五七年反乱
4 英領インドの誕生
第6章 独立運動の展開
1 社会改革から始まった独立運動
2 インド国民会議派の誕生
3 第一次世界大戦期以降の独立運動とガンディーの登場
4 可視範囲に入り始めた独立
5 大英帝国の落日と第二次世界大戦
6 第二次世界大戦終結から英国の撤退へ
第7章 独立インド 理念から現実へ
1 憲法の制定 世界で最長の憲法
2 ネルー時代 独立~一九六四年
3 インディラ・ガンディーの時代 一九六〇年代中頃~八〇年代
4 一九八〇年代 激動の一〇年
5 九〇年代の枠組み変更
コラム ガンディーの現代史的意味
第8章 日本とインド
1 憧れの国インド
2 明治時代から第二次世界大戦まで
3 第二次世界大戦後の日印関係 両国間のズレと低迷した関係
4 九〇年代に始まった日印パートナー関係
5 これからの日印関係
コラム インパール作戦
終 章 21世紀のインド
1 インドの政治経済状況
2 国際社会におけるインド
あとがき
主要参考文献
関連年表
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Posted by ブクログ
今や世界一の人口を誇るインド。経済的にもますます注目されるこの大国の歴史を知るために、本書を手に取った。著者はインド政治を専門とし、インドを50年研究してきたという。本書には、半世紀にわたる研究成果および著者自身がインドと接してきた経験が盛り込まれている。
本書が描くのはインダス文明が栄えた紀元前2600年ごろ(!)から20世紀までのインドの歴史である。広大なインド亜大陸には、多様な民族が暮らし、多様な言語が使われている。この多様性がインドの特徴の一つであるが、統一国家を作るためには、まさに多様性を統一していかなければならない。本書の半分以上は、ムガル帝国において近世インド統一国家が成立し、イギリスの支配を経て独立し、民主的な近代国家を作る過程に割かれており、複雑なプロセスが丁寧に解説されている。
本書を読んでいてありがたかったのは、著者が日本人ならではの視点でインドのわかりにくさを噛み砕いて説明してくれる点だ。例えばカースト制度であったり、あるいはインド人の中にある価値基準(大きい方が偉い、中央に近い方が偉いという価値観。9頁)は日本人にはピンとこない部分であるが、インドでの生活経験も豊富な著者ならではの理解を提示してくれている。
私はインドが大好きだ(南インド旅行2回経験)。しかし、「インド」と一言で括るには、社会の有り様も文化も多様であり、「インド」の一言はほとんど意味をなさないということを、本書から学んだ気がする。
Posted by ブクログ
今や人口では世界一、GDPでも間もなく世界第三位に躍り出るとされる超大国インド。
紀元前2600年のインダス文明にから現代に至るまでの本格的な通史。イスラム勢力やイギリスに翻弄されながらインド亜大陸の統一、現代のインドの姿に至る課程がコンパクトにまとめられている。
インドならではの混沌の淵源を知ることができる。
Posted by ブクログ
本書は、インダス文明の始まりから21世紀現在に至るインドの歴史を、長年現地に携わってきた専門家が丁寧かつ端的にまとめ上げた良書である。
数千年に及ぶ長い歴史が多数の章に分けて解説されており、各章の長さを一律とせず必要十分な説明に留めているため、非常に読みやすく理解しやすい構成となっている。
特に興味深いのは、古代に生まれたインド文化が地理的要因に守られつつも、その後の西側からの侵略によりイスラム勢力やイギリスに主権を奪われ、それが現在の非同盟・独自外交へとつながっていく歴史的文脈の提示である。
単なる最新の政治・経済情勢の解説にとどまらず、今後ますます世界の中心的存在となり得るインドという国を構造的に理解する上で、本書は極めて優れた一書であると言える。
Posted by ブクログ
堀本武功「物語 インドの歴史」(中公新書)
インド本の多くは古代史中心か、もしくは現代政治状況中心か。本書は古代史から現代までの通史を志向する。とはいえ、重点はイギリスによる植民地化とそこからの独立に置かれている。そこだけとってもガンジー、ネルーからモディまでの流れが丁寧に描かれている。