あらすじ
「私が女としての自分をどう引き受けるに至ったか」を書きました。ーー鈴木涼美
昭和と平成。不安定な時代を生きのびて、私たちは大人になった。
傷と愛おしさの結晶エッセイ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
5,6畳の部屋での初めての一人暮らし、
ばあばの営んでいたスナックやその後移り住んだアパート、団地、最期を過ごしたホスピスの想い出、
バイト先でのカオスな恋愛模様、
家族で住んでいた昔の家のベッド、
もう連絡先もわからない友だち
小さい頃の習い事、
何者かになりたかった10代の頃、
全てが自分の昔をちくちく想起させてきて、
胸がギュッとなった。
今となっては戻れないあの頃を思い出したくてこの本を買ったから、とても満足。
けど最期に鈴木涼美がAVデビューした話しを持ってくるところで、この本の帯に書かれていた
「私が女としての自分をどう引き受けるに至ったか」を書きました。
をきれいに伏線回収していったのが技ありだった。
私はこの本とても好きだったし、自分の想い出を重ね合わせてずっと所有していようと思った。
Posted by ブクログ
鈴木涼美さんが五歳だったことの香りの記憶からはじまり、その後もターニングポイントといえるような印象的な記憶を追うエッセイで、これまで読んできた文章とは少し筆致が異なる気がしたし、けれど巨乳の人格に目覚めたり、P活女子高生としてパンツを売ったり、キャバクラで荒稼ぎしたり、友人と狭いアパートで飲み暮らしたり、いつもの饒舌っぷりは変わらないような気もした。
なんだろう、それによる回顧と哀愁と諧謔と慈愛のさじ加減があまりにも絶妙で、端的にめっちゃいい文章だなぁと思いながら読んだ。
教養があるご両親のもとで文化的資本を受け、いいところの私立小学校から、都心の大学附属校に進学して、渋谷で遊びながらそれなりの成績はつねにキープしてして、後のビリギャルと同じ大学にそつなく合格して、その後の異色の経歴が続いていく彼女が、じつはいかにふつうの女の子であったかというのを初めて垣間見た気がする。
クラスにいるキラっと目立つ女子や、男の子からの視線を集める人気の女子を羨み、劣等感を抱きながら、しかし少しずつ自分の武器をみつけながら成長していく姿には悲壮な勇ましさがあった。
そしてそして何より、結婚されたのは知っていたけど、まもなく一歳になるという娘さんが突然でてきてびっっっっくり。
〈無防備な寝顔が、広大な都会に酷く傷つけられることがないように。〉という一文にこめられる慈愛に震えた。
芥川賞受賞とはならなかったけれど、小説のほうの新刊『悪い血』を読むのがますます楽しみになった。