あらすじ
伯父、転落死。見えざる手により、投げ落とさる――。ロンドンの紳士倶楽部で余暇を過ごしていたアンティ・ブジュレーは、英国貴族の末裔である友人から電報を受け取り、一族の城館へとやってきた。事件が起きたのは館の一角にそびえる塔の書斎。友人の伯父は奇妙な状況下でその窓から転落したのだという。転落の直前、書斎からは争うような物音が聞こえたにもかかわらず、鍵のかかったドアを打ち破ると、室内には誰もいなかった。さらに被害者の最期の言葉を聞いた三人が、三通りばらばらの証言をし……。斜陽の途をたどる英国貴族の館で名探偵の推理がきらめく密室謎解きミステリ!
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Posted by ブクログ
イギリスの貴族や執事、館が登場する舞台設定だったので、最初は少し身構えて読み始めた。しかし、予想に反して読み心地は軽やかで、「誰が犯人なのか?」「動機は何なのか?」と展開が気になり、どんどんページを繰ってしまった。とりわけ印象的だったのは動機だ。爵位が正式に決まることは、誰にとっても喜ばしいことだと思い込んでいた。その思い込みが鮮やかに覆された瞬間、「うわ、おもしろい」と強く感じた。
ただ、どうしてもエピローグの余韻が頭から離れない。探偵役であるアンティの両親、とりわけ「お母さん」にまつわるあの匂わせだ。裏社会にパイプを持ち、暗躍するアンティの母親は一体何者なのだろうか……。
アンティの母親の正体や、その存在が今後どのように物語に関わってくるのか。続編で明かされることを期待しつつ、次作の翻訳を心待ちにしたい。
Posted by ブクログ
ロンドンで暇を持て余すアンティ・ブジュレーのもとに、貴族の末裔である旧友フィドルズの伯父が謎の転落死を遂げたことを知らせる電報が届いた。厄介ごとの解決を得意とするアンティは、旧友の為にひと肌脱ぐべく、一路由緒あるキャンターフェル家の屋敷へと向かうのであった...
1920年代を舞台にした古色蒼然たる本格ミステリではあるのだが、全編に渡って繰り広げられるブラックジョークによって決してシリアスになりきらないユーモラスな作風。
ミステリとしては小ぶりでやや無理があるような気もするが、動機やいくつかの伏線には冴えたところもあり、なによりユーモアが良い目くらましになって充分以上に楽しめる。妙に不穏なエピローグも楽しい。