あらすじ
生命科学の成果から、地球最大の種の謎に迫る。
昆虫は、100万種以上の存在が確認されていて、地球上で最も繁栄している動物とも言われます。しかし、昆虫は海にはほとんどいません。それはいったいなぜでしょうか? 本書では、分子生物学やゲノム科学を含むさまざまな昆虫研究分野の成果を紹介しつつ、この疑問に迫ります。
「本書は、「海にいない理由」を単純に解説する本ではありません。むしろこの問いを入り口として、「昆虫とはそもそも、どのような生き物なのか?」を考えていく本です。そのため、昆虫という存在を現代科学的に捉え直すことに重点を置いています。」
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【目次】
はじめに
第1章 昆虫の科学
1 マクロな昆虫研究
2 研究手法の発展
3 分類学の革命
4 外骨格そのものに関する研究
第2章 昆虫の誕生
1 昆虫の起源についての仮説
2 海の昆虫、甲殻類
3 原始六脚類は、昆虫未満?
第3章 昆虫を昆虫たらしめるもの
1 そもそも昆虫とは?
2 鍵は外骨格
3 外骨格で起きていること
第4章 昆虫は酸素をどう利用しているのか
1 メラニン合成
2 昆虫のサイズ
3 酸素と外骨格
第5章 昆虫はなぜ海にいないのか
1 水に戻る
2 どのような昆虫が海にいるのか?
3 昆虫が海にいない理由
おわりに
注
索引
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Posted by ブクログ
『昆虫はなぜ海にいない』(Why)という命題は、科学から縁遠い人にも、とてもわかりやすい。しかし、中身を読んでみれば、本書のメインボディは、昆虫の外骨格形成に関わる生命化学であり、その主役が「マルチ銅オキシデース2」という酵素だ。
昆虫と甲殻類は外骨格という構造が共通している。海水域で繁栄するエビ・カニなどの甲殻類が、その殻の主原料として、海中に豊富なCaカルシウムに依存するのに対し、陸上に生息する昆虫は、Caを効率よく集めることは難しい。そのため昆虫は、「マルチ銅オキシデース2」によって大気中に豊富な酸素を活用することにより、外骨格を形成する化学プロセスを採用した、とのこと。
以上の化学プロセスの解説がメインの内容だが、ゲノム分析、系統解析、昆虫の形態学などについても触れている。全体として「昆虫」を分析的科学の視点から、一般のひとにもわかりやすく描像することに成功していると思う。
説明ぶりは、ナマの講義口調を感じさせる柔らかいものだし、個人的なエピソードや脱線バナシもあちこちに含まれている。この分野に興味を持つ高校生くらいであれば、後半に頻出する化学式は辛いかもしれないが、全体としては楽しく読めるのではないか。
Posted by ブクログ
昆虫がなぜ海にいないのかを遺伝子や酵素の研究をしている著者の考察が比較的わかりやすく書かれている。結論、はっきりはわかっていないみたいだが、昆虫と近縁の甲殻類が海で幅を利かせていて昆虫の入り込む隙がない的なことらしいです。外骨格を強化する酵素、マルチ銅オキシデース2はなんかかっこいいからこれだけ名前覚えようって思います。
Posted by ブクログ
昆虫とはなにかを酸素を利用した外骨格の形成を持って説明し、それが現在の生息域を規定している一つの要因であることが分かりやすくまとめられていた。
Posted by ブクログ
化学方面から進化を説明していくのが新鮮で楽しかった。生物群が利用している化学反応で進化の系統を説明できちゃうのが(当たり前と言われたらそうだけど)痛快で心地よかった。満足。