あらすじ
山には楽しみがあり、喜びがあり、そして恐怖がある――山で働く人々、暮らす人々が実際に遭遇した不可思議な体験談を丹念に収集し、「現代版遠野物語」としてベストセラーとなった人気シリーズ「山怪」。
新型コロナウイルスによる取材の中断を経て刊行された第四弾を待望の文庫化。
文庫版特典として、文庫版「あとがき」、黒川晝車(ゆる民俗学ラジオ)による「解説」を収録する。
■内容
はじめに 消えゆく山怪を追う
1 妖しの森
(高尾山)蛸杉仙人/呼ばれる人/白い着物の女
(奥多摩)小さなキツネが住みつく家/闇女
(奥秩父・丹波山系)白い犬と不思議な人/守られる人/大蛇と火の玉
(西上州)大漁に気をつけろ/恐ろしいヤマカガシ/楽しい遠足/二度と行かない/電報配達人/妙義山中之嶽神社
(奥利根)白目を剥く女/彷徨えるテント/なぜそんな所にいるの?
(越後・魚沼)蛇が飛ぶ跳ぶ/奇妙な人?たち/異獣/あなたはどなた/肖像画
(信州・戸隠)テントの中と外/時空のゆがみ
2 静寂の山
(北海道・松前半島)羆撃ちの経験/松前半島の狐狸/行者と石版/熊穴ホテル/変わらぬ叫び声
(白神山地・目屋)罠と黒蛇/マタギvs狸/神様の地/足のある魚
(白神山地・藤里町)謎の電話/田んぼの中、雪の中/下りか?登りか?/山奥の出来事/頭を蹴飛ばすタマシイ/ゴミソと川流れ
(南蔵王・七ヶ宿町)狐と蜻蛉爺/小さなおじさん/錫杖の音と裏山の騒ぎ/友の帰還
(奥会津)マタギの体験/会津の狐
(飯豊連峰)飯豊連峰に潜むモノ/何でも大きい?/山の現場
3 背中合わせの異界
(飛騨・東白川村)不幸のツチノコ?
(但馬・豊岡)笑う鹿/演歌おばさん
(中国山地)棺桶と火の玉/神様と呪いの木/悪いモノ
(土佐)優しい狸/山師の体験/川にエンコ、山にはへんど/山の呼び声
(九州中央高地)騒ぐ水/人魂が飛び交う村/カリコボーズの森/悪意無き悪戯/きゃあぼう吹き
(山怪拾遺)山怪は何でも狐のせい?/狼を探す男/何者?
おわりに コロナと山怪
文庫版「あとがき」
「解説」 黒川晝車(ゆる民俗学ラジオ)
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Posted by ブクログ
田中康弘『山怪 朱 山人が語る不思議な話』ヤマケイ文庫。
『山怪』シリーズ第4弾。今回も山で働く人びとや山で暮らす人びとから収集した様々な不可思議な体験談が紹介される。
新型コロナウイルス感染禍により取材の中断を余儀なくされたが、取材の再開により何とか第4弾が刊行されたようだ。
『山怪』シリーズは単なる山岳ホラーではなく、人間の自然との関わり方や自然への畏怖や感謝の心を呼び起こしてくれる。
近年は人間の生活圏にクマの出没が相次いでいる。自然破壊が続き、クマが暮らしていた山の環境が壊されれば自ずとそうなるのだろう。そのうち、『山怪』も人間の生活圏で起こり得るようになるのかも知れない。
キツネ憑きの話が幾つか収録されている。小学生頃、担任の先生から聞いた話がある。先生が学生時代、下宿先の娘の様子がおかしくなり、娘の両親と祖母がキツネが憑いたと騒ぎ出し、娘を煙で燻りながら木の枝で叩こうとしたのを先生が何とか制止し、娘をリヤカーに乗せ、長い長い橋を抜けて病院まで運んだことがあったと話していた。娘には何らかの精神疾患があったのだろう。
『守られる人』と似たような体験をしたことがある。入社して間もなく、同期3人で同期の1人が就職祝いに親から買ってもらったホンダのプレリュードで山の方にドライブに行った。同期は車を自慢する気持ちもあったのか、いい気になってスピードを出していたのだろう。細い登り坂のカーブに差し掛かった時、左側に停まっている車が目に入った同期はパニックブレーキを踏んだ。その瞬間、左側前輪が側溝にハマり、何とか側溝から脱出しようと右にハンドルを切ったところ車は横滑りし、右側の崖へと向かった。目前にガードレールが迫り、もう駄目だと思ったら、車はガードレールの切れ目を抜けて崖を物凄いスピードで下って行った。目前には次々と木々が迫り、ドアミラーが木にぶつかって吹っ飛ぶのがスローモーションのように見えた。そこから車が停まるまでは全てがスローモーション映像のようだった。最後は蔦の絡まった大木にぶつかり、蔦がクッションになったのか余り衝撃も無く停車し、3人とも全く怪我が無かった。あの時は何かに守られているような気がした。
今暮らしている家は県道に面しているが、ポツンと一軒家で、目の前は小高い丘の竹林でその向こうがダム湖で脇にはやはり竹林の小さな山があり、裏手は草木が生い茂る原野になっている。昼夜問わず、鳥や蛙、得体の知れない動物の鳴き声や歩く気配を感じる。ある朝、起きて新聞を取ろうと外に出たら、何故か鷹が死んでいた。また、ある朝には玄関に得体の知れない動物のやや大き目の足跡があった。形状からするとクマの可能性があるが、この辺ではクマ出没の情報は無い。
『山怪』には、巨大なヘビの話も度々登場する。太さはビール瓶と言うからにはアナコンダみたいな巨大なヘビなのだろう。先日、我が家の庭の草刈りをしていたら、庭の境界にある金網の上部にヘビの脱け殻が絡まっていた。その長さは1メートル。太さはさほどではないが、1メートルのヘビでも十分巨大だ。
定価1,100円
★★★★