【感想・ネタバレ】昭和史の一級史料を読むのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

近衛文麿の昭和20年2月の上奏文が堀田「方丈記私記」にも取り上げられていて、「敗戦自体はそれほどのことでもない」という箇所がこれでもか、とこき下ろされている。
確かに無責任極まりない話というのが大前提であり、そのことが本書「昭和史の一級史料」でも「近衛の妄想」という表現で示唆されているのだが、「史料を読む」というのは歴史のディティールをきちんと抑えようという話であるから、そのときの当事者の心理や人間関係の襞に積極的に分け入ろうとする。
著者らの姿勢には敬意を払った上で、でもなあ、とも思うのだ。分け入れば分け入るほど、例えば先ほどの近衛のトンデモ発言にもそれなりの背景があることがわかってくる。なるほど、と思う。しかしそこに堀田の指摘するような「大前提」を忘れてしまってはいないか、と気になるのだ。
天皇にしても色んな史料によってその立場や発言が微妙に色を変える。好戦的な天皇像といった単純化はやはり間違っているのだ、と。だったら同時に天皇の「聖断」のみをクローズアップするようなものもやはり単純化には違いない。神は細部に宿るが、木を見て森を見ずは困る。

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2014年01月12日

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