あらすじ
★山形浩生氏絶賛! マクロ・ミクロ経済学入門の決定版!★
著者は現役高校教師。自費出版した本書の前身が大きな話題になった。それらとの違いは、内容構成を変えたこと、資料を新しいものにアップデートしたこと、文章をブラッシュアップしたこと。さらに最新の情報を取り入れて「アベノミクス」までをカバーした決定版であること。基本的な経済学のイロハを教えてくれる稀有な本。
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Posted by ブクログ
国家レベルの経済について、
要領よく、その要所がつかめる内容でした。
いったい、政府がやっている財政政策ってどんな意味があるんだ?
と思うことがしばしばな人は僕自身を含めて多いと思うんですが、
その大きな道筋を教えてくれる本です。
といいつつ、
僕は経済学士(IS-LM分析が懐かしかったです)。
とはいえ、まあ不真面目な、なんちゃって経済学士レベルです。
文系に数えられる学問のうち、
経済学が自分にもっとも向いていないのではないかと
大学一年のときにイヤになってもいるのですが、
学び直しとして今回手に取った本書が、
とても良書だったのです。
まず、GDPの説明から始まります。
ご存知のように国内総生産と呼ばれるものです。
このGDPは国内総所得(家計所得・企業所得・政府支出)とイコールであり、
総支出(消費・貯蓄・税金)とイコールにもなる。
これを、三面等価という。
ここを抑えておくと、
数式で表した時に数学的に展開できて、
その展開された式から「それがどういう意味なのか?」を考え、
具体的に導き出すためのフィードバックができることになります。
という序盤の辺りは基礎なのでおもしろくはないのですが、
次章で、国の財政と企業の財政の違いが解説され始めて、
少しずつ気付きが増えていき、おもしろくなると思います。
市場を考えたときに、
ゲーム理論ででてくる「ゼロサムゲーム」の考え方をあてはめる言説があります。
限られたパイをみんなで奪い合うのだ、限られた中でのシェア率を高めるのだ、
というように。
しかし、市場は拡大し、パイは増大したりもします。
市場も、消費分野のクリエイトできて大きくなれます。
で、国際貿易もゼロサムゲームではないと著者は解説します。
そして、続くリカードの比較優位論によって、
貿易に関する得体のしれない不安を取り除いてくれる。
貿易の利益は、
より得意なものに生産を特化することで、
どの国も得られるものだと証明できるんですね、数学的に。
ただ、個人的に比較優位論は、
生産を特化し貿易していくことの大事さについては分かったのだけれど、
ここでは加味されていない「質(おいしいだとか)」についての変数って
けっこう大事なんだけどなあと思いました。
また、特化して貿易することで各国が共存共栄できるのはわかりますが、
それは世界平和が実現した世界においてであり、
現在のコロナ禍のような突発的なよくない事象にさらされると、
特化しているがゆえにモノの欠乏などに直面しないとも限りません。
あくまで経済学的にはこうなるという理論なので現実には応用が必要なんですが、
応用の段階になって道を踏み外してしまったり迷子になったりしがちなのが、
経済の難しいところなのではないでしょうか。
また、消費税増税の仕組みについても解説があります。
貯蓄率が下がっていくと金利が上がる。
金利が上がっていくと不況になる。
で、どうやら金利を上げないためには財政赤字をゼロにするために税収を上げる。
これが消費税増税の目的なんですね。
「福祉に使います」だとか言われて増税されてましたが、
こういう根本のところから説明して欲しいなと思いますよね。
また、増税意外にこの局面をのりきる二つ目の方法は、
物価上昇させる、つまりインフレにするということでした。
インフレになると国の借金などの実質的な価値が小さくなります。
現今の財政では、消費税増税と物価上昇、
どちらもおこなわれている。
最後の方に書かれていて、そうなのか、と考えさせられたのが、
「流動性の罠」という、
要するに、国民の大多数がお金を使わないでただ持っている状態によって、
経済が上昇していかない、ということについてでした。
日本は長らくこの状態に陥っているそうです。
そうですよね、僕も経済学の授業で、
お金は貯めないで使え、と教わりましたもの……。
ただ、経済の難しいところは、
さっき書いたように貯蓄率の低下が不況を招きもするので、
そのあたりのバランスの大事さですね。
バランスをとるために、
政府は財政政策をし、
日銀は金融政策をする。
と、そんなところです。
ひととおり読んでみると、
初心者には、経済の見方が必ず変わるでしょう。
入門書としてこれほどすばらしいものも、
他の分野を思い起こしても、思い当たるものはなかなかないです。
著者は高校教師で、自費出版した前著が、
古書として高額取引されるまで評判だったそうです。
勘所をしっているためなのか、教え方がうまいです。
やっぱり、こういうのを少しでも知っておくと、
ニュースの読み方も変わってくるでしょう。
勉強し直しの経済学として、とてもよかったです。
Posted by ブクログ
経済学のまさに「学」の理屈をわかりやすく説こうとしている。冷戦後の日本経済を例にとって説明しているのでとっつきやすい。貿易は黒字だろうが赤字だろうが自由に行われれば、お互いにとってよい結果を生む、とか、国債は国民の資産であり自国貨幣の根拠になるものである、とか、「理屈」のレベルで納得がいく。ただそれが誰にとってのよい結果であるのか、とか、国民の資産というがそれを占有しているのは国民のうちの具体的に誰なのか、とかいうことについては触れていない。著者にしてみれば、それを論ずる前の理論的前提について説明しているということなのだろうが、それだけで、アベノミクスを高校生にかたるのはまずい気がする。
Posted by ブクログ
いずれにしても高校生に経済を"実感"させることは難しいのですよね。
なので高校生のころの自分に読ませることができても、いま自分が学んだようには理解できなかったんじゃないかなと思います。
しかし、この本の価値が低いと評価するわけではありません。むしろ★5つ付けちゃうくらい良書だと思います。
タイトルは読む動機づけになるので、このままでOKだと思いますが、「高校生が読むと良い本」ではなく、「高校生知識レベルの社会人が読むと良い本」なのだと思いました。
Posted by ブクログ
高校で政経を取ることもなく、理系に進んだために今まで経済のことに全く知識の無かった自分には、目から鱗な本だった。
特に貿易の収支とその意味について、今まで誤解していたことがわかり勉強になった。
比較優位論は理解できるものの、実際にそれが成り立つのか納得できていないので、
他の書籍を当たってみようと思う。
「高校生からわかる」とあるように、平易な説明で基礎から説明してあり読みやすかった。
引用が多いのが少し独特な印象を受けた本であった。
Posted by ブクログ
一般人だけじゃなく経済新聞も一部の経済人も勘違いをしている「貿易赤字と国の借金に対する誤解」をページの大半を使って解いている。マクロ経済の領域である金融政策と財政政策、ISLM分析の説明もある。
Posted by ブクログ
高校の「政治・経済」「現代社会」の教科書の説明や経済書の一部を引用しながら、貿易赤字、国債残高、アベノミクスなどに対して世間にある誤解を分かりやすく説明してくれる。
リカードの比較優位論についてもよく分かった。経済的には貿易自由化を進める方がよいけれど、政治的には生産者の保護もポイントとなりうるという説明に納得した。
14-40
Posted by ブクログ
経済学部でありながら何度も挫折した経済学。何度目かの挑戦で出会ったが、入門書としては最良ではないだろうか。初心者に分かりやすく、体系的に理解できるようになっている。
Posted by ブクログ
わかりやすかった。
というか疑問点を差し挟めるような知識がそもそも無いのだが。
具体的な話はとても理解しやすく、タイトルの印象を裏切らない内容。
ま、おバカな自分としては式とグラフが出た途端に理解度が急降下していくわけだが。。
貿易黒字(赤字)の見方はもちろん、財政政策とは、金融政策とは、量的緩和とは、国債、その買い入れとは、などなどリーマン以降特にニュースにのぼる事の多い言葉について繋がりある説明がわかりやすくされていて良い。
人に説明できるくらいまで理解を深めたくなる。
Posted by ブクログ
わかりやすくとっつきやすい経済学の本だった。正直なところ、読み終えてもまだ狐につままれたような気分のところもあるが、他の本へ向かう導入としてはよかったのではないかと思う。ひとまず経済への物の見方は少し変わった。
Posted by ブクログ
分かっているようで案外分かっていない経済学について勉強になった。特に貿易黒字と赤字の考え方について理解できた。忘れないようにその箇所だけでも適宜再読しようと思う。
Posted by ブクログ
話題の書籍ということで、一読してみましたが、アベノミクスなど時事の話題も織り交ぜて、かなり初心者にも馴染みやすい内容でした。
経済学は、理系の私には非常に難解に感じますが、この本は珍しく読み進めるスピードが速かったと思います。
ただこの書籍を読んで思うのは、経済学には様々な主張・理論があるので、何を重視して学ぶべきなのか非常に悩むところです。
従って、本書においても、所々で著者の主観を感じた次第です。
まさに普遍化の渦中にある学問という意味でも、今後も様々な書籍が乱立するのでしょう。
Posted by ブクログ
ほとんどの高校生はわからないと思う。従来の経済学教本よりは断然わかりやすい。入門書としては良いと思う。
ただし、経済は人によって考え方が異なるので、この本の内容を鵜呑みにするのは危険。
Posted by ブクログ
経済学の歴史は間違いの歴史とも言える程、さまざまな理論が現れては消えてゆく。というより、実体の経済がどんどん変化していくので理論が常に後追いになるのかもしれない。ルーカス、フリードマン、ヒックス、マンデル…といったノーベル賞学者でさえ、そのひとつの理論で経済のすべての局面を説明することはできない。
アベノミクスの「三本の矢」はそれぞれ「マネタリズム」「ケインズ政策」「サプライサイド経済学」というそれぞれ相反するもので、それぞれが欠陥を抱えている。
その矛楯があるが故にその効果は非常に限定的になるのではないかと思える。
リカードの「比較優位論」ではどの国も得意な分野の生産にっ集中した自由貿易の利点ばかりを挙げているが、
それは非常に限定された条件下での話でしかないと思う。戦争もなく、公正に貿易が行われ、どの国も気候変動などで大きな被害がない、というレアケースでしか成り立たない。
「高校生にも分かる」とはいえなかなか骨の折れる内容だったと思う。
Posted by ブクログ
教師である著者が世間に溢れる経済に対しての情報を経済学の観点から解説した一冊。
貿易黒字と貿易赤字や日本国債の増加と財政破綻の連動性、財政政策と金融政策についてなど本書を読むことによって世間にある経済の情報の真偽が理解できました。
そして、重要な理論については繰り返し述べられており、理解が進みました。
また、今まで知らなかった貿易収支を見る際の会計表である国際収支表の仕組みやISバランスの公式やIS-LM分析などの経済学の基本知識を深めることもできました。
またギリシャ債務危機やアベノミクスについての解説もあり、より経済学の深い観点からのアプローチがされていて勉強になりました。
経済学の基本的な部分についてはもちろんのこと貿易や国債についての考え方など本書を読むことによって新しい視点が身についた一冊でした。