あらすじ
昔から「早生まれ(1月~3月生まれ)」は学校生活で損をするといわれてきた。
特に幼少期では生まれた月の違いによる成長差は大きく、学年内で“最年長”の4月生まれの子供は相対的に体格がよく、勉強やスポーツに秀で、リーダー的な存在になりやすい一方、“最年少”の3月生まれは何事にも遅れがちになるといわれる。
こうした差があるのはせいぜい小学校までの間だけで、年齢を重ねると差はなくなると大抵の人は考えているが、著者が行った調査研究で、早生まれの子どもは遅生まれの子どもに比べ、幼少期だけではなくその後の成長過程および大人になってからも所得や生活環境の差が生まれていることが明らかになった。
生まれ月による差がなぜ起こるのか、格差是正の方法はないのか、今現在の教育環境でできることは何なのか――
ベストセラー『「家族の幸せ」の経済学』著者が考える、未来の才能を潰さないための格差是正の提言も含む1冊。
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Posted by ブクログ
教育現場で子どもたちと関わる中で、何となく感じていた「差」がある。同じ学年であっても、4月生まれの子と翌年3月生まれの子とでは、最大で1年近い年齢差がある。体の大きさや集中力、理解の速さなどに違いが見られることも、決して珍しくない。
本書では、こうした生まれ月によるさまざまな差が、データやエビデンスをもとに示されていた。印象的だったのは、それを単純な「子どもの能力差」として捉えるのではなく、同じ時期に生まれた子どもを一つの学年に区切るという、制度のつくり方によって生じる差として捉えている点である。
偶然決まった生まれ月が、学力や自己評価、その後の選択にまで影響を及ぼすとすれば、それを本人の努力や能力だけに帰することはできない。完全に差をなくすことは難しくても、制度を工夫することで、その偶然が人生を左右する度合いを減らすことはできる。本書を通して、諸外国ではさまざまな制度改革が試みられていることも知った。
一方で、制度が変わるのを待たなくても、子どもに関わる大人にできることはある。同じ学年だから同じようにできるはずだと考えるのではなく、まずはそこに年齢差があることを認めること。そのうえで、性急に比べたり評価したりせず、その子の発達や歩みに応じて関わることも、不公平を小さくする一歩になるのだと思う。
生まれ月による差を、ないものとして扱わない。まずは、その差が確かに存在することを大人が認めるところから始めたい。教育現場で感じてきたことを、エビデンスによって捉え直すことのできた一冊だった。