あらすじ
圧倒的な芸術論
空間認識の変遷から西洋文化を捉え直す
西洋美術史の泰斗による名著
ラスコー壁画から20世紀における抽象芸術にいたるまで、人間の空間認識や対象把握の特徴を西洋美術・彫刻・建築を横断し読み解く隠れた名著。解説 三浦篤
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芸術とは「眼に見えたもの」の再現ではなく「知っていること」から創られる。絵画や彫刻にせよ建築や都市にせよ、優れた独自の表現が確立された時、そこには、かつてなかった精神的価値に裏打ちされた空間認識が根ざしているに違いない。原始時代の洞窟壁画、ギリシアの神殿と彫刻、ゴシック建築、ルネサンスの理想都市、鉄とコンクリートと工業化から現れた世紀末芸術、20世紀に花開く抽象芸術……。自己と対象との関係において際立った表現様式が持つ文化史的・精神的背景を解き明かす、圧倒的な芸術論。西洋美術の碩学の隠れた名著。
【目次】
原始空間の特質
ギリシャ人の空間意識
イタリア美術の空間意識
ゴシック空間の象徴性
ルネッサンスの理想都市
新しい技術と空間的可能性
世紀末芸術の空間意識
キュビスムの空間意識
抽象的空間の成立――抒情と幾何学
あとがき
解説 三浦篤
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Posted by ブクログ
古代から現代に至るまでの西洋美術における空間意識=文化を、この密度・満足度・精度で語れるのは尋常じゃないと思う
書き方があまりにも上手い。私みたいな芸術にそこまで明るくない人間でも知っているような作品・建築が出てきたり、前の章に出てきた議論が別の章で比較対象として出てきたりと、読んでて知的な興奮を刺激することにつけては極上だと思う
ラスコーに描かれた洞窟壁画に見て取れる古代人の空間意識からギリシア・ローマの空間認識、ゴシック、ルネッサンスと時代順かと思うと、バロックから印象派までの数百年をスキップするという大胆な構成で、著者の領野でもある世紀末に至り、私たちにとって違和感を覚える空間認識のキュビスム・抽象画に終わる
ホントに全章面白い
ただ私としては、まだ現代寄りの美術は勉強できていないため、前半部分の方がより面白かった
「ルネッサンス以来の西欧絵画の最も重要な主題は画家に見られた外の世界ではなく、画面には実際に登場してはこない画家自身であった」とあるように、ルネサンス以後は絵画が、それ以前は彫刻・建築において制作者ひいては彼が属する文化の空間認識が顕著に現れているということがよく分かった
芸術「空間」という表現から想像する彫刻・建築もたっぷり触れられており(むしろ絵画よりも多いかも)、それについての関心も得られた。特に、絵画があまり残っていないギリシア・ローマについての記述はまさに目が鱗で、テンションが上がりっぱなしだった