あらすじ
医療過誤裁判は公平ではない。間違った治療をしても医師は守られ、命を奪われても患者は泣き寝入りするしかない。そんな現実と戦い続けている医療過誤弁護士・銀子。そんな彼女の元に持ち込まれた案件は、早期のステージIの直腸がん手術で、術後3日目の大出血で夫を亡くした妻からの依頼……。多数の医療紛争の相談に応じ、患者家族側に寄り添ってきた著者だから描ける人間ドラマ。元外科医の患者側医療専門弁護士が、小説でしか見せられない医療の闇、そして医療過誤の真実を描く傑作小説!(単行本『医療過誤弁護士 銀子』を文庫化にあたり改題)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最初に。著者はモデルの冨永愛さんではありません。
患者側医療専門弁護士 銀子さんのお話。
著者ご自身も医師です。
これをフィクションとして書かれた理由は、『法廷や法律相談では語り尽くせない医療の現実があまりにも多いけれど、厳格な守秘義務があるから、次の被害者が出る可能性があっても自由に公表することが出来ないから』
医師で弁護士であれば、病院から依頼が多いのではと思うのですが、銀子さんは患者側の弁護士として病院や医師と闘います。
誰でもミスはあるでしょう。だけど医療現場でミスが患者さんの命を失うことに繋がれば、医療ミス、医療過誤と言われてもおかしくありません。
病院や医師は莫大な保険をかけているようです。
実際、裁判になった時に被害者に賠償金を払えるように。
しかし、作中では術中に医師がミスして出血多量で患者を死なせてしまい、ミスした医師は逃げるように病院を去ります。
遺族は訴えてもなかなか勝訴に至らず泣き寝入りするケースが多いと聞きます。
そこで遺族のかわりに法廷でやっつけて医師や看護師を法廷に引きずり出して依頼者の無念を晴らす。と外科医でもある銀子さんは同じ外科医としても、自らの保身のために言い訳し続ける医師や病院と真正面から向き合います。
大黒柱を失っても生活の補償もない遺族に寄り添います。
こういうことが日々日常で起きています。
医師として逃げるのではなく、現実に向き合って、事実を認めなければ、患者や家族は一生 その悲しみ、悔しさで生きていかねばなりません。
まだまだ日本では医療弁護士は少ないですが、少しでも多くの人にそういう弁護士の存在を知っていただきたいです。㋱
Posted by ブクログ
案外と知られていない医療裁判の雰囲気を小説で分かりやすく表現した意欲的な作品。著者は弁護士で外科医であるため、難しい医療過誤事件をイメージしやすいようにしてあり、とても読みやすいと思いました。
Posted by ブクログ
富永愛『医療過誤弁護士』ハルキ文庫さ
『医療過誤弁護士 銀子』の改題作。
一瞬、モデルの冨永愛が小説を書いたのかと思ったら、この本の作者は富永愛と言い、自ら富永愛弁護士事務所の代表を務める現役弁護士のようである。しかも、本作の主人公である白川銀子銀子と同様、医師の資格も持っているようだ。
珍しい医療過誤裁判を専門にする女性弁護士を主人公にした医療法廷ミステリーである。
勿体無いのは本作のメインテーマである医療過誤事故の裁判が急に端折り出し、あっさりと結末を迎えたことである。一度目の波乱は想定内であったが、その後の展開にもう一捻りあれば、完璧だったのだが。本当に勿体無い。
ある日、外科医師の資格と弁護士の資格を持ち、医療過誤専門弁護士の白川銀子の事務所に一本の電話が入る。東山葵という女性からの電話で、大手通信会社のシステムエンジニアである夫の東山大地が早期のステージIの直腸癌と診断され、開腹手術から3日後に大出血し、意識不明のままICUに入れられ、3ヶ月後に亡くなったのだと言う。
葵自身も元看護師で、現役看護師の娘の綾と共に白川銀子に医療過誤訴訟の被害者側弁護を依頼する。亡くなった東山大地が手術を受けた病院は、かつて銀子が師匠の寺山と2人で、20歳の女性が亡くなった医療過誤事件で被害者側弁護を担当し、全面勝訴に値する和解を勝ち取ったことのある、あけがた病院であった。
医療過誤は他人事ではない。誰にも起こり得ることなのだと強く思う。
良い機会なので、自分の経験した恐ろしい経験をここに書いておきたい。忘れもしない東日本大震災が起きる3ヶ月ほど前の12月。妻が風邪で高熱を出し、夜間診療の当番医である寺崎内科という個人病院に連れて行った。
やはり風邪という診断で、胃腸も弱っていることもあり、1時間程掛かる点滴を受けることになった。自分はその間に処方箋を持って隣の薬剤店に薬を受け取りに行っていた。すると、看護婦が血相を変えて薬剤店に駆け込んで来て、奥さんが心肺停止状態に陥ったと告げるではないか。
普通の風邪で点滴だと言うのに一体何のことか理解出来なかったのだが、慌てて病院に戻ると救急車が到着しており、妻がAEDで心肺蘇生を受けている光景が目に入った。息を吹き返した妻は救急車に乗せられ、県立病院に運ばれた。
県立病院の担当医の説明では点滴を間違えた医療過誤の可能性が高いということだった。その担当医は、私が証言しても良いから病院を訴えなさいとまで言ってくれたのだが、自分はそんなことより妻の身体を治して下さいと担当医に頼み込んだ。
その後、妻は2週間ほどの入院で退院出来たのだが、その間も、その後も寺崎内科からの連絡は全く無く、余りにも酷い病院だなと思ったがそれどころではなかった。妻はかなり体力が落ちていたので、無理をさせないようにした。結局、妻が体力を取り戻すのに3ヶ月くらい掛かり、その間、自分は夜中に何があるか解らないと思い、禁酒していた。
そして、ようやく妻の体調も元に戻り、今日は久し振りに家でビールを飲もうかなと出勤前に妻と話した金曜日の午後、あの東日本大震災が発生したのを今でも鮮明に覚えている。
本体価格780円
★★★★