あらすじ
人形の声が聞こえる少女の不思議な成長譚
江戸の人形町を舞台にした今作は、オール讀物新人賞受賞作家・由原かのんさんの3冊目の著作となります。
魂が宿った人形たちの声が聞こえる不思議な力があるおりせ。人形師の父・貝助と弟・清太郎、継母のおすまと暮らしています。
おりせは小さいころから人形の声を聞くことができましたが、周囲からは理解されず、時に孤独を感じることもありました。
そんなおりせが気持ちを打ち明ける相手は、人形浄瑠璃の蝉丸を模した人形と、継母の亡き3歳の娘であるおちよの魂が宿った人形です。
人形に宿る思いに寄り添いながら、恋や友情、家族の絆を深めていくおりせの姿が、繊細かつ生き生きと描かれています。
そして年頃のおりせは、嫁ぐのか、婿を取るのか、あるいは人形を作る職人を目指すのか、決断を迫られます。恋愛は苦手と感じているおりせが選ぶ将来とは…。
繊細な筆致で描かれる人間模様と、時代小説ならではの風情が楽しめる『おりせ人形帖』。時代小説ファンはもちろん、ファンタジーや成長譚がお好きな方にもお読みいただきたい一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おりせは人形屋の長女で、人形師の父の作る人形がとても好き。人形の声も聞き取れてしまうほど。そのことは良い時も悪い時もあるとだんだんにわかってくる。
おちよは少女の人形だが、店で働くおすまの事をおっかさんだと慕っている。おすまはやがて父の後添えとなり、おりせのかかさんとなり、弟の清太郎を産む。父は跡取り息子が出来たと喜ぶが、おりせは少し寂しい。おりせはそういう気持ちもみんなおちよと分かち合ってきた。
父は、清太郎がまだ小さいので、おりせに婿を取らせてお店を継がせようと画策するが、なかなかうまく行かない。おりせは男が嫌いだったから。
人形と語りあう人形師の娘おりせ。うまい設定だと思った。この設定が自然に入ってくるし、また、それを活かした短編で構成されて物語が進んでいく。そして予想されたラスト。そうなるよね。時代小説だけど、YA文学だと思った。
個人的には蝉丸がカッコよくてよき(^^)
Posted by ブクログ
人形師の父を持つおりせは人形たちの声が聞こえるという不思議な力を持つ。
幼い頃から身近に置いてきた蝉丸とおちよという人形たちと話をして過ごす。
腕のいい人形師の父の姿を見て育ったおりせは自分も同じ道を行きたいと思っているが、女には無理だと言われ、仕事にすることは諦めている。
人形師の婿をとって跡を継ぐことが自分のできることだと思っている。
そんなおりせの日々を家に持ち込まれる人形との触れ合いと共に描いた作品。
芯のしっかりとしたおりせと、そんなおりせを幼い頃から間近で親しんできた蝉丸、おちよという人形たちの語らいがいい。
頑なに人形師になりたいと思うわけでもなく、かと言ってきっぱり断念するわけでもない。
そんなおりせが好感が持てる。
これからのおりせも読んでみたいと思う。