あらすじ
私たちは今日も誰かを熱烈応援中。
大舞台で輝く彼らの夢は、私たちがいなくても叶えられるが、私たちの夢は彼らなくしては叶わないから。
一方、職場や家庭、学校で今日も人知れず小さな頑張りを続ける〝私たち?は、誰が応援してくれるのか。
「がんばれ」は、時にあまりに無責任だけど、それでも応援したい。
そっとエールを送り続ける勝手に応援短編集。
(『わたしたちはその赤ん坊を応援することにした』改題)
・森のような、大きな生き物――この子の未来を応援しよう、と決めた子がわたしたちにはいた。オリンピック代表の彼女に期待し、夢を託したが……。
・相談――波多野が何か相談したそうだったので課長のおれから飲みに誘った。転職か?諭す準備はできていた。
・ニオイスミレ――産む女を国家全体で支援する世界に住むスミレ。〈志願母〉の彼女は今日も国営のサロンへ通う。
・地元裁判――まちの結束を乱す人間は、亜子ちゃんの地域でも地元裁判にかけられる。ある日、卯月くん一家が消えた。
・あなたがいなくなってはいけない――入院が決まった。ステージⅡ。その昔、離婚騒ぎで愚痴を聞いてもらったチョピンを思い出していた。
・ムス子――加賀谷は太った中年女に会った。元同級生、あだ名はムス子。彼女に起こったことを、この時の彼はまだ知らない。
・お風呂、晩ごはん、なでしこ――フージコさんはみんなに愚鈍と笑われる。でも気にしない。かけがえのない仲間はあの中にいる。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『平場の月』を上梓した朝倉かすみさんの短編。
表紙絵が懐かしい…小学校の作文とかに、先生がこんなスタンプ押したりしていたなあ…
何かしらに頑張っている人を応援するような話かな…タイトルから想像したこんな内容とはちょっと違う。
7編の短編集なのだが、それぞれ登場人物は何の関連性もない。
『森のような大きな生き物』では、オリンピックに登場した前髪をカラーゴムでゆわえた小柄の女の子選手…これは誰のことか想像つくだろうが、さまざまなスポーツに登場する人気のある女子選手を応援する普通人の話。この話だけが、タイトルに合っている。
「地元裁判」…その小さな町だけのルールがあり、それを守れない家族が排除されていく話。
『相談』…部下から相談を持ちかけられ飲みにいくが、全く予想しなかった展開をみせていく話。こういう勘違い上司は結構いるんだよなあ。
『あなたはいなくなってはいけない』
…はこれまでの波瀾万丈な半生を女性が振り返る話。これまで何でも『飽きちゃった』という理由でやりすごしてきたが、これからもそうやって過ごしているだろう自分を客観的に想像している。深いなあと思った。
ちょっと表紙に騙された感じ。まあ話としてはどれも面白かったけど。
Posted by ブクログ
びっくりした。想像してた短編集と全然違った。
全然違って、想像より面白かった。
「頑張るあなたに届けたい、勝手に応援短編集」と帯にあったので、例えば友人だったり子どもだったり、アイドルだったりを応援する人達が主役の、爽やかな物語たちなんだろうなと思っていた。
物語の幕開け『森のような、大きな生き物』でまず、「誰かを応援すること」で元気を貰えることは確かだし、自分の心の支えにもなるし、自分も頑張ろうと思える、尊い行為であると同時に、他人の人生を消費する行為であることや、垣間見える暴力性、身勝手さをも暴いている。私たちは誰かを応援するとき、往々にしてその誰かに勝手に期待をして、そこから外れた言動を目にすると勝手に失望する。他人の人生を消費しているという自覚を持たなければいけない、と、突然切っ先を向けられた気分になった。
全編が想像と違ったけど、「がんばれ」って、「応援」って誰のどんな人生にもあるし、決してひとつじゃない。それが個人的に面白かった。
あらすじからは全く想像できないので、もしかしたら好き嫌いはわかれるかもしれない。