あらすじ
自身が切り盛りするニューヨークの一流料理店を閉店し、母とも仲違いして落ち込んでいたビリーの元に、ジュリアナという南部の町への移住勧誘メールが舞い込んだ。たった百ドルでヴィクトリア朝様式の邸宅を提供し、しかも起業の資金援助もするという内容に、疑いつつも好奇心に駆られ返信して以降、ジュリアナの魅力に惹かれたビリーは夫と幼い娘と猫とともに移住を決断する。穏やかな気候、豪華な館、親切な住民、理想の仕事……だがジュリアナを支配する奇妙なルールが徐々に家族の生活を侵食してゆく。シャーリイ・ジャクスンを彷彿とさせるアメリカン・ゴシック・ホラーの新機軸。
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Posted by ブクログ
ジュリアナ。
その町は、望むものすべてを与えてくれる。
たった100ドルで購入できる豪邸。
美しく整備された街並み。
いつも幸せそうで、優しい住人たち。
しかしこの地には、ある秘密が隠されていたのだ……
『ゴシックタウン』エミリー・カーペンター
うぉぉぉ、こういう本大好物なんだよ……!
日本では因習にまみれた村の小説ってたくさんあるけれど、
海外を舞台にした作品は、それほど多くは思い浮かばない。
でも昔から、この手の洋画は山ほど観てきた。
『ヴィレッジ』『ギャザリング』『サイレント・ヒル』。
そして何と言っても、アリ・アスター監督の『ミッドサマー』。
(大好きな因習トラウマ級映画だ……)
しかもこの『ゴシックタウン』は、
シャーリイ・ジャクスンの系譜に連なるゴシックホラー。
まさにジャクスンの『くじ』を愛してやまない私には、
読まないという選択肢がない作品だった。
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主人公の女性ビリーが、まずとてもかっこいいのだ。
ニューヨークで一流レストランを経営していたシェフ。
心理カウンセラーの優しい夫ピーターと娘メレディス、
そして猫のラムジー。
(あらすじでなぜ「猫」が出てくるのか。
それは読み進めるうちに、徐々にわかることになる……)
コロナ禍でレストランを閉業したビリーは、
しばらく専業主婦として暮らしていたものの、
ある一通のオファーを受け、家族でジュリアナに移住する。
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新しい土地で新たなレストランを開業し、
最初こそ順調すぎるほどの滑り出し……だったのですが、
徐々に不穏な出来事や、小さな違和感が目立つようになる。
常に誰かに見られている感覚。
いくら探しても見つからない、蓋のない井戸。
毎夜家族が見る不気味な悪夢。
そして、徐々に夫と猫の挙動がおかしくなり始めるのだ……
合間合間にジュリアナの隠された歴史が挟まれるので、
読者は今後起こるであろう悲劇をうっすら予感してしまう。
それでも、親切すぎる住人たちの誰が黒幕なのかわからず、
最後まで嫌ぁぁな空気感が続く。
この雰囲気、めっっちゃ好きです。
テレビシリーズ化も進んでいるとのことで楽しみ。
Posted by ブクログ
ミステリかと思って、あれホラーだと心して、結局ミステリであったよ。コロナを機にNYで営んでいたレストランも母親も失った主人公が、夫と幼い娘とジョージア州の美しい田舎町に移り住み、再出発を図るが…。よくある閉鎖性の怖さだけじゃなく、ちゃんと練られたストーリー。シャーリイ・ジャクスンに連なる…と評されているけど、そこまでおぞぞに怖くはなくて、良きエンタメ。
Posted by ブクログ
割と長めではあるけれど、読み続けられる面白さはあった。
ただ、果たしてホラーと言えるのか?
そして何より、オチが弱い…。
何人もの人間を手にかけ乍ら、自戒などは皆無、それどころか、傲慢と尊大な態度で町を支配し、それが全て160年も前に亡くなった少女の為、彼女への生贄のため、としてであった。
そんな目を背けたくなるほど醜悪な輩が、たかだか『司法』の手によって裁かれるとは?
正直、拍子抜けだった。
人生の全てを蹂躙された主人公の慟哭と憤怒から、彼女の手に依る胸のすく様な復讐劇を待っていたのだが…些か消化不良でモヤッとした。
作中にもあったが、為政者にとって奴等が大義と呼ぶたわごとの前では、市井の民草など消耗品でしか無い、この小さな町はそのまま今の世界のメタファーと言える。
戦時下では人のいのちなど銃弾と同じ意味しか持たない事は、トランプやネタニヤフ、そしてプーチンを見れば明らかだろう。
げに恐ろしきは人間也。