あらすじ
祖母のお蔦さんと神楽坂でふたり暮らしをする望のまわりは、今日もちょっとだけ賑やかだ。何か秘密を抱えていそうな幼馴染の部活仲間、不思議な宛名が書かれた便箋に添えられた暗号のような図とメッセージ、不倫で巷を騒がせている有名人の来訪……。商店街のみんなに頼られるお蔦さんのもとへ集まる相談事に一緒に向き合う望は、少しずつ成長していく。情緒が残る街で、粋と人情と美味しい手料理が味わえる、大人気シリーズ第5弾!/【目次】向日葵の少女/青い鳥/二月に憂鬱な君へ/渦中の人/春の朝/深い緑の部屋/家路
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Posted by ブクログ
以下、大いにネタバレです。ご注意ください。
「向日葵の少女」
自分のことで頭一杯の人だらけですね。資金援助をするとはいえ、既に結婚した娘に執着して、その家庭のありように口出しする親。事情があるとはいえ、抗うでもなく離婚に応じたりその後会いもしないのは、その程度のご縁だったということだが、子どもの気持ちはどうやら全く顧みていない両親。順風満帆の時しか見ずに、幸せな家族という思い出だけを温めていたその空々しさを、切り裂いたのかもしれない。
そして、子どもの知佐子の気持ちを無視したのは祖父母と両親だけではない。知佐子自身もだ。離婚した当時ならともかく自分の意志で行動できる歳になっても、父親とはコンタクトを取っていない。自分が傷ついたことを絵に託し父親を嫌な気分にさせたところで、可哀そうな子どもからは抜け出せない。子どもの頃にされたことときちんと向き合った方がいい。見捨てられた知佐子ちゃんを助けてあげられるのは、もはや自分だけなのである。だからこそ、お蔦さんは二人を会わせることにしたのだと思う。自分の気持ちを優先した親なので和解なんかしなくていいけれど、子どもの知佐子ちゃんの気持ちは解放してあげて欲しい。
そのあとも、相手に確認したら取り越し苦労だったとか、好意と称して自分勝手に振る舞うことの不愉快さといった話しが続く。人との係わりは、不測の事態が起きたり、利害がぶつかったり、大事に思うことが違ったり、上手くいかないことだらけだ。それでも、それぞれを尊重し向き合えば落としどころはあるかもしれない、と希望が持てる展開だった。
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【収録作品】
向日葵の少女
青い鳥
二月に憂鬱な君へ
渦中の人
春の朝(アシタ)
深い緑の部屋
家路
神楽坂で、料理ができない祖母のお蔦さんと料理上手な高校生男子の望が暮らす日々を描くシリーズ第5巻
お蔦さんの気っぷの良さと啖呵が気持ちいいシリーズ。
「向日葵の少女」 切り裂かれた絵を別れた父に渡してほしいという依頼。
「青い鳥」 認知症の老婦人と女子高校生の交流。
「二月に憂鬱な君へ」 不思議な宛名が書かれた便箋に添えられた暗号のような図とメッセージ。
「渦中の人」 不倫で巷を騒がせている有名人の来訪。
「春の朝(アシタ)」 楓の父親である放浪の画家蝉丸こと奉介への思い。
「深い緑の部屋」 ギャラリーストーカーの撃退。
「家路」 鈴木フラワーの央子の結婚話。
ギャラリーストーカーの話については、この間読んだ本にもでてきたし、「ギャラハラ」みたいな言葉にして認知を広めたほうがいい気がする。ほんとに気持ちが悪い。
料理してくれる孫、いいなぁ。
Posted by ブクログ
さすがにシリーズも五作目となるとマンネリ感。最初の頃は、懐かしい神楽坂の路地裏を粋なお蔦さんと散歩しているような楽しさがあったが…。マンガチックな挿し絵よりも“蝉の赤”見たかった。