あらすじ
ここに生きている
そう叫ぶために
沙に埋まりつつある世界、芸術は機械が創るものになった
若者たちは、内に秘める「やりたいこと」を突きつめてゆく
青春小説の旗手がおくる、きらめくディストピア長編
いい物語からは、いい音がする。
鯨井さんの物語からは、眩しく澄んだ音がする。
――ふうね(読書インフルエンサー/「解説」より)
世界は沙嵐に襲われ、芸術は機械が創るものになった――。
オアシスで父と暮らすロピは、好きな音楽の道を模索する。
やりたいことが見つからないルウシュは、母と同じ気象予報士になるため勉強する。
二人は、ここに在ることの意味を問い続ける。
小説現代長編新人賞受賞作家がおくる青春ディストピア長編。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取ったら、大好きなディストピア作品で期待を大きく上回る一冊だった。
沙に侵食されて70年が経った世界で、芸術が不要とされる中で音楽に魅了され、葛藤しながら道を進む少女の物語(前半)。
さらに70年後、娯楽が全て機械で供給される時代に、気象予報士を目指す少年が劇団と出会い、自分の在り方を問い直しながら成長する物語(後半)。
二つの時代がしっかり繋がっていて、読後感がとても心地よい、、、
残酷で美しい沙の世界の中で、自分の生き方や「人間らしさ」を必死に模索する少年少女たちが、とても煌めいて見えた。
刹那的で、胸に深く刺さる青春ディストピア。
今を不自由なく生きられている私にとって、ディストピア作品は「自由が奪われた中で、いかに自分らしく生きるか」「自分とは何なのか」を真剣に問いかけてくれる。
夢と希望に溢れた、青春ディストピアとして本当に素敵な一冊だった。