【感想・ネタバレ】消されゆくチベットのレビュー

あらすじ

2008年の騒乱以降、チベットの文化や伝統を消し去ろうとする圧力はより一層強められている。宗教活動の制限、チベット語教育への介入、天然資源の無秩序な採掘、厳しい言論統制など、中国による政治的、文化的弾圧は年々深刻化している。だが、チベット問題は、今、世界を覆うグローバル経済の面からも見る必要がある。そして、伝統や文化の継承は風前の灯のように見えるが、厳しい状況下でも懸命に文化や伝統を守り抜こうとするチベット人たちが多く存在するのだ。長きにわたって現地を取材してきた著者が、独自のルートでチベットの現況を詳細にルポルタージュする。【目次】はじめに/地図/第一章 ドンを探しに/第二章 変容する食文化/第三章 ダワのお葬式/第四章 子供の情景/第五章 伝統工芸の行く末/第六章 「言葉を入れておく瓶はない」/第七章 近代化の波/あとがき

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Posted by ブクログ

チベットに何度も赴いている女性による紀行文というかルポルタージュ。
全七章構成。
第一章 ドンを探しに
第二章 変容する食文化
第三章 ダワのお葬式
第四章 子供の情景
第五章 伝統工芸の行く末
第六章 「言葉を入れておく瓶はない」
第七章 近代化の波

チベットの自然、食や葬式等の文化、教育、伝統工芸、言語など多岐に亙る視点でチベットの現状を紹介している。
非常に読みやすく、理解しやすい。ただ、写真があまりないのが惜しい。
文章も大切だが、比較できる写真を用意することができれば、より視覚的に訴えることができるのではないかと思われる。
特に第一章のドンについて。結局ドンの写真はないままなのは残念すぎる。
第三章における葬儀のあり方も興味深い。葬送方法を藏医院天文暦算研究所で判断してもらったり、葬儀後にはミルクで髪や目、耳などを洗うというところなど、日本と随分異なる習慣があることが紹介される。

読後感としては、チベットの人々は基本的に急激な近代化は求めていなかったのだろうなと考える。一方、中国政府としては、自治区としていてもチベットは中国の一部であるから中国内地同様に繁栄・発展するべきなのだと考えているのだろう。で、これは建前であって、本音としては地下資源が豊富だし、近代化を進めることで漢人を多く入植させ、より儲けを稼ぎ出すための市場を開拓したいのだろう。
「我々の力で発展させてあげよう」というのは本当に押し付けがましい。いい迷惑だ。確かに便利になる部分もあるだろう。しかし、拙速に過ぎると崩れるのもまた早いし、その時の衝撃もまた大きくなるだろうと思う。中国政府はいつになったらわかるのだろうか。何にでも言えることだけど物事には「中庸」が大切だと思う。

また、著者がチベットを心から愛していることは読めばよくわかるが、できれば話題を取り上げる際に、同様のことが日本ではどのようであったか、或いははどのようであるのか、などの言及もして欲しかった。そうすることで、チベットの置かれた現状が過去の日本にも少しはあったことがわかり、理解や親近感への一助になると思われるからである。教育問題や伝統工芸などは日本も同じような問題を抱えていると思われる。

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2013年08月21日

Posted by ブクログ

この人は本当に純粋に、チベットで起きていることを憂いているのだなと思う。何度も足を運び、現地の人たちとの交流に基づいて書かれていることはわかるけど、チベット文化は善きもの、中国の文化はそれを破壊する悪しきものと言われているようで、複雑な気持ちになる。

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2017年02月27日

Posted by ブクログ

ちとイメージが違ったかな。もう少し歴史的な背景や中国との距離感やその変遷などを知りたかったかな。
近代化に伴い昔のアナログ感は失われ、便利なデジタル感が残る。寂しい感じがするのは先進国側のエゴなのです。

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2015年11月15日

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