あらすじ
群雄が割拠していた、日入国――百葉(ひゃくよう)時代。天下布武を目前にした神藤(しんどう)家は最後の合戦に挑む直前、常闇と呼ばれる怪異に取り込まれた。それから数十年。世間は偽りの安寧を享受しつつも、常闇の正体は明らかににされないままだった。神藤家の遺臣、峰邑(みねむら)家に身を寄せる白堂闇佐(はくどうやみざ)は、常闇の謎の解明に動く。気鋭のミステリ作家、詠坂雄二が描く、新伝奇英雄譚!
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Posted by ブクログ
常闇という舞台設定、現代と過去の対比、そして魅力ある登場人物が織りなす物語は短篇集ではなく長編小説としてじっくりと読みたい。が、短篇集であるからこそ想像の余地があり作品の魅力を増しているように思える。
もう一つ面白いのはワーニー・アンサーの著作の翻訳という体裁をとっていることである。これは”訳者”あとがきに至るまでこだわっており、本当にそのような著作、そして常闇という史実が存在していたかのような錯覚を覚えさせる。本として嘘をつけない初出、奥付をみて創作であることを思い出させるほど。こういった仕掛けも物語の真実性を増すのに一役買っているように思う。