【感想・ネタバレ】宗教のアメリカのレビュー

あらすじ

現代文明のモデルとして世界に君臨したアメリカで,福音派など宗教勢力が注目を集めている.しかし,リベラルへの反発や人種問題といった分断の背景にある宗教的原動力を,私たちは正しく理解できているだろうか.建国以来の歴史やその基層にあるユダヤ-キリスト教的世界観から,私たちの知らないアメリカが見えてくる.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本 宗教のアメリカ 藤本龍児

アメリカ50州のすべての州憲法に「神」が謳われている。「福音派」は教派の一つではなく、各教派の中にある保守的なグループの集まり。ここ半世紀の変化は①伝統的な組織宗教の弱体化、②経典にある「神」ではなく、「宗教的なもの」を信じる者が増えた、③「福音派」など保守的なグループの存在感増大。人は、他社とのコミュニケーションを繰り返しながら、社会に受け継がれてきた「意味の体系」を内面化し、世界観を形成する。この歴史的に受け継がれてきた「意味の体系」に世俗を超えた「神」などの「聖なるもの」の観念が含まれる。「goodby]
は「God be with ye(神があなたとともにありますように)」の意味。バイブルベルト。教会の礼拝によく出席する者は共和党に、あまり出席しない者は民主党に投票するという「ゴッド・ギャップ」。「聖書のみ」「万人司祭説」「信仰義認説」がプロテスタントの基本。イギリス国教会を「純化purify」しようとしたのがピューリタン。社会契約説は王権神授説に取って代わったが、ルソーやロックは国家や社会に宗教は欠かせない、と考えていた。」旧約聖書にある「出エジプト」の物語に基づき、」自分たちの「大西洋」横断を、イスラエルの民の「紅海」横断や「ヨルダン川」横断に重ね、新大陸を新たな「約束の地」といた。「アメリカ」は新しい「イスラエル」としてイメージされた。カトリックは「洗礼」、ピューリタンは成人後の「回心」「再生リボーン」を重視する。ロックの政治哲学の「自然法たる理性」もすべての根拠として「創造主」である「神」が明言されている。ヨーロッパの2つの大きな思潮。①古代ギリシア文化とオリエント文化が融合した「ヘレニズム」、と②古代ユダヤにはじまりキリスト教の精神を併せ持つ「ヘブライズム」の思潮。ヘブライズム的分離主義とは「ユダヤーキリスト教」的な思潮が、ヨーロッパを堕落したものとみなし、そこから分離しようとする思潮。「共和主義」とは「公的な事柄」「共通の関心や利益」について共に話し合い、「共通の善いこと」に一緒に取り組むこと。民兵も教会を中心に組織され、牧師と共に活動した。千年王国思想、後千年王国思想。キャンプミーティングという野外の伝道集会。教派が多様化し、どの教派に属するか、ということが個人の選択に任されるようになった「宗教の私事化」→「宗教の市場化」。リンカンは奴隷制を南部の罪ではなく、あらゆる社会制度と深く結びついた「アメリカ全体の罪」とし、内戦をその罪に対する「神の裁き」と位置付けた。人類の罪はキリストの十字架によって贖われた、という「よい知らせ(福音)」を信じ、聖書の権威を第一とする人々が各教派の内部で形成され「福音派」につながる。「文化戦争」。福音派の指導者たちは、トランプは現代のキュロス王であると信者に説いた。ヴァンス副大統領は少年時代は福音派の中で育ち、大学時代は無神論者、2019にカトリックに改宗。福音派を中心とする主教保守は、①神の前での「平等」を前提とし、「知性」よりも「霊性」を重んじる。ゆえに知的エリートよりも、信仰心の篤い庶民を信頼する。②神と向き合って「個」を強く意識し、自立や自己責任を重んじる。「自己統治」の理念。そのため、地方自治や国家主権に介入してくる連邦政府や国際機関に強く抵抗する。③労働を尊ぶ倫理観を持つ。「富の再配分」は勤労意欲を削ぐと考え、増税は労働による成果の不当な搾取だとみなす。労働の成果としての世俗的成功にも強い関心をよせるゆえに、労働を正当に評価する「自由市場」に賛同する。労働が報われない「グローバル市場」には反対する。トクヴィルは、人々に共通の観念を抱かせる「習俗(モーレス)」「心の習慣」を重視し、それがデモクラシーを支える鍵(「自制の習慣」という不文律)であるとし、モーレスの基盤になるのは宗教であるとした。文化の基層としての宗教。ある集団には、死生観や宇宙観をはじめ、歴史的に受け継がれてきた価値観があり、またその価値観に基づいた慣習があって、それらが人々のアイデンティティや生活様式を支えている。

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2026年08月07日

Posted by ブクログ

本書のタイトルが、アメリカの宗教ではなく、宗教のアメリカ、であることが印象に残った。

時代とともに宗教の役割、キリスト教の役割、世界の各地域の様々な歴史の中で果たす役割、これらが大きく変化する中で、原子力の役割をどう評価するのか、AIの時代に宗教はどのようにその役割を果たしていくのか?

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

米国大統領の就任式で手の下にある聖書の映像は強く印象に残るものであるが、米国の政治・生活と宗教の関係は歴史とともに変化してきたことが理解できた。ブームのように巨大な教会に足を運ぶ人が多かったときに住んだ地に再び住んで、全く別の施設に変わっていたことには驚かされたが、なるほど教会によらない信仰の時代に変わっていたということなのだろうか。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

この本を読まないで米国に行って、クリスチャンの派についてカトリックが20%で最も多いとガイドから聞いたら、私も米国はカトリックが多いと思ってしまうであろう。
 米国はクリスチャンあるいはキリスト原理主義の国である、というような言い分を聞いた気がするが、歴史的には非常に複雑であることが理解される。新聞でもニュースが会ったときにはそのつど説明があるべきであろう。
 学生の米国留学前には必読の書である。

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2026年05月25日

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