【感想・ネタバレ】こんこんのレビュー

あらすじ

触れられないから、愛おしい──? テーマパークのきつねのきぐるみ・「こんこん」を愛するまど。その愛は次第に「中の人」への執着へと変わってゆき……。気鋭詩人の言葉きらめく傑作小説

「きみを愛することが、きみのために少しもならないとしたら、私は私の愛情を抱えて、この愛情がどこまでも膨らんで、孤独も嫉妬も埋め尽くして、そうして愛にすがりつくことなどできないほどに、愛そのものになるまで、きみを愛し続けるだろう。この物語を読むと、そう思えた。」
──最果タヒ

〈いまのわたしをかたちづくっているのは、顔も、名前も知らないあなた。あなただけ──〉
テーマパークの“雪のようで、湧き水のようなきつね”の着ぐるみ「こんこん」を愛するまど。
その“中の人”を見つけ出そうと、「着ぐるみに入れる体格」という条件でマッチングアプリを始め、低身長コンプレックスの男性・ひらくと出会うけれど……。

これは恋? 推し? 信仰? 執着?
──大好きなあなたと、ただ繋がっていたいだけ。
触れられない「誰か」に焦がれたことのあるあなたへ捧げる、どうしようもなく屈折してどこまでも透き通った、かけがえのない愛の物語。

◆書き下ろしの掌編と詩編を収録!

文芸誌「文藝」掲載直後より各紙誌で高く評価され、SNS上には共感・感嘆の声があふれた表題作に加え、書き下ろしとして、お気に入りのシールをなくして会社を休んだ数日間を描く掌篇小説「水滴のシール」、詩篇「水色の家」を収録。

◆全国書店員から共感、感嘆の声

彼女の気持ちがわかりすぎて、苦しかった。
──山中真理(ジュンク堂書店 滋賀草津店)

推しへの想いを綴った言葉たちのあまりの透明度、その結晶の美しさに圧倒されました。
――藤田ほまれ(文教堂書店 中央林間店)

傷つきたくない、嫌われたくない、汚したくない、汚されたくない、無条件で愛されたいし、無限に愛したい。でも責任は取りたくない。
肉体的なものではない、もっと奥の愛の根源に触れたい。でも世間はそれを簡単には許してはくれない。
年齢を重ねれば重ねるほど、自分の好きなものを純粋に好きと言いにくくなる世の中はとても息苦しい。綺麗でかわいくて大好きなものに囲まれたまま年を取って、ゆっくり死んでいきたいなと思いました。
──海老原歩未(紀伊國屋書店 新宿本店)

「わたしは、かわらずのいしを撫で続けているトゲピーだから。」
すごく共感してしまう言葉でした。
なぜみんなは変わってしまうのだろうか。
まどと一緒に幸せになりたいとおもいました。
──山下真央(くまざわ書店 調布店)

キラキラはいつまでも永遠で、生身の人間との恋は生々しく残酷だ。
まどがいつまでも可愛いものが好きで、こんこんを見ていられますように。
――望月美保子(BOOKSえみたす アピタ富士吉原店)

かわいいってなんだろう。
幸せってなんだろう。
生きていくってどういうことなんだろう。
好きなものがあるのにどうして寂しいんだろう。
近くなればなるほどあやふやになってしまう愛の形とその距離。今を満たして、これからを約束してくれる存在を求める気持ちはきっと誰の心にもあるんだと思った。
──塩里依子(くまざわ書店 西新井店)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい文章!キラキラと煌めく、透明な冷たいようなあったかみもあるような表現が冬を綺麗に表していて、ずっとずっと綺麗。
そして読みやすいです。
詩人の方が書いていると聞きました。さすがです。見えている感覚がそもそも綺麗なんだ、と思ってしまう。
着ぐるみのこんこんに恋をしている女性。
世の中には姿が見えないVTuberさんに恋をしている方もいる。声だけで声優さんに恋をしてしまう方もいる。ラジオのMCさんに恋をしたり、俳優さんやアイドルに恋をすることだって、自分は直接関わり合ったことがないし、ただのイメージで好きになるんだから一緒だ。
「ああ、この人の考え方いいな」「このスタンスいいな」「この声落ち着いていて良いな、安心するな」と思うことは、こちらの一方的な認知だけで有り得る。
着ぐるみと、その中の人を好きになってしまうことだって、何も変わらない。
人間に対する薄っすらとした不快感、性的なものに潔癖というわけではないけどデロデロドロドロしててそれこそ鼻水触ってるみたいな体液って同じじゃない?的な考え方もめっちゃわかるから
ずっと綺麗で、あったかくて、ニコニコしていて、純粋な存在に自分だけ認知してくれて、特別に思ってくれているように見えた時なんか、ホント沼りそうと思う。
中の人と会いに行けば良かったのにと思っちゃったのは、結局自分が俗物的なんだろうな。
結晶は結晶であり、期待しつつ、きっと主人公のなかでは中の人との接触はちょっと欲が出てきていて、性欲的なものにも近いんじゃないかと怖くなったから会えなかったんじゃないかとも思う。でもな〜、でも、たぶんこんこんの中の人って女の人だったんじゃないかなと思うのですよ。
勝手なイメージですけど。
それで、その女性とのエピソードがあったら嬉しかったな、なんて。
主人公は低身長の男性とこんこんみたいな恋をしようとしたんだけど、可愛くてフワフワしていて自分を見てくれる性欲無しの女の人との恋愛にシフトしたほうが、ぜっっっったいに上手くいくと思うのです。
こんこんだって性別は無いんだから、そこで「いやいや、私は同性愛者じゃないんで…」なんて言い訳使うなって思う。それでもどうしても男性を探すなら、それこそ性欲があるからで、結局性的なものだってしたいんじゃん、ってなっちゃう。そういう中途半端なところが主人公には見えたかも。本当にこんこんを求めているなら、結晶が女性だってかまわない、と無理にマッチングアプリで男性と繋がらなくたってええやんと思ってしまう。そう簡単に同性を好きになれよ!なんて言ってはいけないんだろうけど。
それなら着ぐるみを愛してることも否定になっちゃうよ!?こんこんはこんこんだから良いのであって、結局は男性でも女性でも愛せませんでした、って言うなら仕方ないけどね!だけどね!もっと主人公が、こんこんを愛し続けるのか、結晶を愛するのか、こんこんみたいな人間を愛するのか、見たかったというだけなんです。
シールの話も最後の詩も、キラキラで大切で優しい感じがしました。そうなの、ずっとこの物語は優しかったです。

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2026年08月17日

Posted by ブクログ

装幀が良くて手に取り、一時間程度で読み終えてしまった。こんこんが目に浮かぶ、まさに清らかな水のような文章で、いくらでも読んでいたくなる。わたしはこういったあたたかくやわらかくきよらかでやさしい、うつくしい文章の中に、その代償のような痛みや傷が見える作品を愛してしまう。そして主人公がこんこんの結晶を見つけて、そこから込み上げてくる想いみたいに、わたしもこういった作品と必然的に出会ってしまい、そうして烏滸がましくも、素性の知らない作家に対して、文章越しに、苦しいほどわかるよ、と抱きしめたくなるような気持ちを抱える。

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2026年06月30日

Posted by ブクログ

半透明なカバーが、氷みたいで水みたいでかわいい。
ほんタメのあかりん部門にノミネートされてて気になったので購入。

微妙に世代が違うな。作者さんが私よりちょい若い。
かわらずのいしのトゲピー…金銀かな??
『わたしは、かわらずのいしを撫で続けているトゲピーだから』

結局、愛ってなんなんやろうな。
清らかで柔らかくて包み込めるものだけが愛ではない。全部がそうであれば良いのに。一方的で暴力性のある愛もある。
恋は元々よく分からんけど、この本を読んでから愛もよく分からんくなった。

自分が加害者になる怖さ。
結晶どうなったんだろう。ある種のホラー。私はすごく怖く感じた。ホラーよなこれ。愛…なのか?
推しに愛をぶつけるという怖さ。消費されていくという怖さ。それを感じ取れない怖さ。

自分の存在を受け入れてもらったと感じて、精神的に依存して、愛をぶつけて、それって一方的な精神的束縛では?
推してるまではいいけど、生の人間なんよな。ナマモノなんよな。
最近VTuberにハマって色々見ているから、ちょっとかぶるなって思うところはあった。いわゆるガチ恋的な。

いくらファンが愛だって言っても、相手方の迷惑になったらそれは愛じゃないよ。
それで推しが辞めてしまう、離れてしまうって、責任は重いよ。
どうか結晶のトラウマになっていませんように。


スプリングパークの設定はとても好き。
思わず、中の人のお仕事をしていた友達にこの本を薦めてしまった。

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2026年08月29日

Posted by ブクログ

抽象的なフレーズが多くて、終始、「詩っぽいな、、」と思っていたら、元々詩を書かれている方でした。
この詩っぽい余白のある文章がハマる人にはハマるんだろうな〜と思いつつ、自分的には少しイメージしづらく、引っかかりながら、読んでいました。

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2026年08月18日

Posted by ブクログ

表題作の着ぐるみへの主人公の感情や行動は建前上はわかる、と思いつつも本音では理解できなかった。
でも、ゲームのキャラクターを交換したところや、主人公が日常で接してきた人たちとの関係を読むにつれて、程度の差はあれど自分のなかにも同じような感情があって、人からみたら理解されない行動とっているのかも?と気づかされた。

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2026年06月23日

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