【感想・ネタバレ】竜が最後に帰る場所のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月13日

1、風を放つ
小さな瓶の中に収められた、小さなつむじ風。それは持ち主が恨んだ人を殺せる力を持つ。その瓶をもしかして恨みを買ってしまったかもしれないマミさんが持っている話。結局それだけで何も起こらなかったのですが、ふんわり怖かったです。あれ?もう終わったの?というところもよかったです。
2、迷走のオル...続きを読むネラ
悲惨な経験をした少年が気の毒でした。これは科学的に証明できない要素がたしか出てきませんでした。なので実際にあってもおかしくはない話でした。人間の執念が怖かったです。
3、夜行の冬
お散歩をして帰ってきたら別の人生になっている話。以前「ミッドナイトライブラリー」で似たような展開を読みました。その人生に満足したらそのまま居着いていい。飽きたら再チャレンジ、ということですが、そうなるとそこそこ満足した人生に巡り会えても、ひょっとしてもっと素敵な人生が待っているのでは?と欲が出てきそう。
いろいろな人生を渡り歩く設定も面白かったですが、夜行の途中に脱落して闇に飲まれるシーンが怖かったです。
4、鸚鵡幻想曲
本書では、これが1番面白かったです。始まりと途中と最後でどんどん話が変わっていきます。集合体は、どうしてこんなこと筆者さんは思いつくのでしょうか?どんな想像力をしているのでしょうか?鸚鵡が元人間だったから少し喋れて、大介に報復するシーンで、老婆が祈祷したりして、人間ってなんか滑稽に思えました。
5、ゴロンド
完全なファンタジーでした。
毛無し猿、ことヒト。
ゴロンド目線からうかがえる毛無し猿はなんだか無駄な争いばかりを繰り返し、
これもまたなんだか人間って馬鹿馬鹿しいな。無駄なことばかりやっている、と感じました。

完全なファンタジーなら好きだけど、現実社会での話の中にいきなり科学的に説明のつかない要素が出てくると途端に冷めてしまう私でしたが、恒川光太郎さんのホラーは全然冷めないです。むしろ本当に面白いです。現実とそうじゃない事を融合させる展開がうまいのかなあ。「そんなことありえないでしょ」ということも普通に淡々と書いていらっしゃるので、そこなのかなあ。
もっと恒川光太郎さんの独特の世界に浸っていたいので、他の作品も読んでみようと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年05月18日

恒川光太郎作品、初読です。
カバーにある通り、本屋でまず夜行を少し読んでみたところ、不思議と惹かれたので購入しました。

後書きにもありましたが、全体として
現実→ファンタジーへとどんどん染まっていく感じが読んでいてとても不思議で心地よかったです。

この方の作品について特に魅力だと感じた点が二つあ...続きを読むります。
ひとつは、情景描写力です。
細かく述べられているわけでもないのですが、なぜか情景がはっきりと、俯瞰的に脳裏に浮かびます。
読んでいてとても快適といいますか、楽しめました。
『夜行』では冬の闇のしんとしたしずかな空気感、しかしどこか不穏で寂しいような感覚が。『鸚鵡幻想曲』では、気が違ってしまったかのようなおかしな人間と対峙した時の緊張感や生温い温度を感じ、その度に驚きました。
こう、臨場感があると言うよりかはやはり俯瞰して、落ち着いて第三者視点で、しかし没入できるような、どこか安心して読むことができる快適さがありました。

もうひとつは、話の節々に「人生だな」と感じられる表現や構図が散りばめられていることです。
うまく言えないのですが、『夜行』の、はっきりとした目的を持っていないにも関わらず抱く「置いていかないでくれ」という漠然とした焦り、「もっとより良い環境がひとつ先にあるような気がしてしまう」という縮毛の娘や主人公の根拠のない期待。『ゴロンド』の、翼が生えどこにでも行けるほど知性も体躯も発達したゴロンドと何も変わっていないウーガーの比較、池の中から一生出ることもなく生を営む兄弟たちを「不幸だとは思わない、そっとしておこう」と嘲笑することもなく思うことができるゴロンド。ゴロンドは特に「人生」を感じる部分が多かった。
池の中で一生を終える彼らも、外に出てきたがそこから進化しないウーガーも、成長できたゴロンドも、環境によってその生き方が、あり方が決められているだけ。ふと池から出られることに気づかなければ。シンの鳴き声が聞こえなければ。案内してくれる仲間に出会っていなければ。さまざまな運が重なり、生物はそこで出会い手に入れた環境で生を営む。そこには優劣などないはずだが。

うまくいえませんが、ファンタジーなのに(特に後半)、ファンタジーであるが故なのか、非常に自分の人生や周囲の環境、今の世間に通ずるところを感じ、没入して読めつつもさまざまなことに思いを巡らせることができました。
私が最後に帰る場所はどんなところだろう。自分で選び、決めることができるのだろうか。何かのきっかけで狂気に呑まれ、誰かの手により導かれてしまうのだろうか。それともより良い場所を探して、現状では満足できず歩き続けるのだろうか。
最後には、めでたしめでたしとどこかの村の壁画で見つけられたいものです。
毛無し猿より。

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ネタバレ購入済み

幻想の世界へ。

2022年09月29日

特に印象深かったのは、「迷走のオルネラ」と「ゴロンド」でした。
「迷走のオルネラ」で、つきあっていた頃は煩わしかったコジマアヤカの「君はどう思う?」が、後に手紙で見た時、もの凄く懐かしく嬉しく感じたのに自分でも驚きました。
「ゴロンド」は、何世代にもわたり最後に帰る場所へと飛び続ける竜という、と...続きを読むてつもないロマンが書かれています。竜になって、空を(もしかすると宇宙をも?)飛んでみたくなってしまいました。
上記の2話は、ふとした拍子に思い出してしまう程気に入ってしまいました。でも、どのお話も素晴らしいです。一度読み始めると止められない本でした(^^)

#感動する

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Posted by ブクログ 2019年12月27日

現実を生きながら、ふと幻想に足を踏み入れるような短編集。

すぐそこに広がっているかもしれない知らない世界に想いを馳せ、胸をときめかせたり恐怖に怯えたりする。本の中でそういう体験ができるのは幸せなことだ。不思議な満足感の中読み終えた。
特に「夜行の冬」が好みだった。歩かなくてはならないから歩いている...続きを読むなんて、まるで人生のようだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年10月13日

76

うん、面白い。さらさらと読みやすい。
日常を非日常に帰る手腕が自然で、いつのまにか引き込まれる。
短編5作入ってるけど、どんどん人間の世界から離れていくのがおもしろかったな~。
忘れてしまうだろうっていう一言がいい。

お気に入りは、
迷走のオルネラと鸚鵡幻想曲。
オルネラは最初よくわからん...続きを読むな~という入りから、徐々に紐解かれていく感じがいい。こういう復讐もあるのね。
鸚鵡幻想曲は、発想が素晴らしい。触りたくなっちゃう。
こんなアイデアどっから出てくるのよ、しかも作者は最初の不審者に話しかけられるからどんどん書き始めたらしいし、筆が踊って作品が勝手にできるとはまさにこのことかな。

20191013

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Posted by ブクログ 2018年12月30日

初めて恒川光太郎さんの作品を読んだ。
表紙がとても綺麗で、読んでみたくなって手に取った。
短編集と言う事もあるが、文章や描写がとても綺麗で読みやすく、自分のように初めて読む人も読みやすいと思う。
初めて読んだが、この作者さんは色の描写がとても上手だと思う。
他の著作も読んでみたいと思わせる作品だった...続きを読む


迷走のオルネラ
最初はとても胸糞悪いと思いながら読んでいたが、主人公の少年(まぁ後々大人になる訳だが)が、よく頑張ってやってくれたので、スカッとした
最後の解放って言うのは何なんだろう、ナルミと言うアイドルは誰なんだろう、宗岡と何らかの関わりがあるのではと思わずにはいられない、ここまで読むと。

夜行の冬
季節も相まって、雪国住まいの私は、とてもリアルに感じることが出来た
冬の夜と言うのは、本当にとても静かで静かで…積もった雪に何でも吸い込まれていくような、そういう錯覚に陥る…
そんな雰囲気の話
過去と未来を取り替え続ける、と言う発想が良いと思った

鸚鵡幻想曲
何かの物体が、他の何かが集まって出来ているとかいう、そんな発想はなかった
そしてそれを解放する青年と、実は集合体だった青年の話
そっちかよ!!!!みたいな衝撃の展開で、思わず声が出てしまった
そして、解放させられてしまった青年のその後、そして解放する青年のその後。
私は解放させられてしまった青年の後日談が読めてよかった
この短編が一番好き

ゴロンド
ゴロンドが初めて陸に上がった時の描写が、とっても綺麗だった。
ゴロンドと仲間たちがとても可愛らしく、暖かい気持ちになった。
おたまじゃくしの話だと思って読んでいたが、もっと壮大なスケールの話だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年04月01日

少し怖くて不思議な話が詰まった短編集。ファンタジーと現実の境目を行き来するような、怖くもありワクワクさせられる物語。

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