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Posted by ブクログ 2023年12月27日
1963年に刊行されたこの本、自分が生まれる半世紀も前の話なのになぜか共感できるし、登場人物がいい人すぎる。温かい心で本を閉じた。獅子文六、ちゃっかり登場するのかわいくて好き。
Posted by ブクログ 2023年07月02日
1963年に刊行された昭和の小説です。
主人公は、テレビタレントのモエ子さん。
ドラマの母親役やオバサン役で人気の女優です。
八つ年下の夫、ベンちゃんは、劇団の舞台装置家。
劇団の若い研究生アンナとベンちゃんの仲を疑って、モエ子さんはヤキモキしています。
モエ子さんはコーヒーを淹れる名手でもあり、コ...続きを読むーヒーの同好会「可否会」の会員です。
「可否会」の会員は、モエ子さんの他に、真のコーヒー通の会長、洋画家、大学教授、落語家がいて、全部で5名。
この登場人物たちの滑稽なやりとりや、コーヒーについての多彩な会話やうん蓄が面白くて、楽しく読めました。
とにかくコーヒーの話がたくさん出てくるので、カフェで読むとより気持ちが入りそうです。
2回目を読む時は、カフェで読みたいと思いました。
Posted by ブクログ 2021年05月18日
面白かったんだけど、モヤモヤするー。
モエ子に感情移入して読むと、まわりの人たちが身勝手で腹立たしいなぁ、って感じるけどモエ子にも「そうじゃない!」って思うところもあって。50年以上の月日が流れて、技術や情報は進化しても人間の感情なんてそうそう進化するものじゃないんだとかんじた。
Posted by ブクログ 2021年01月24日
1960年代の情景がありありと浮かんでくる。なんて言うんだろう、時代が明るい。主人公の純心さを除いても、今は少し想像しづらいくらいのほっこり感が全体的に散りばめられている。
モエ子さんがとにかく愛おしくなっちゃう。演劇の女優からテレビ女優になって、でもずっとダメヒモ男に捕まったままで、そいつは最後...続きを読むまでダメな男だけど、でもモエ子さんはやっぱ好きを隠せないっていうのがかわいい。紳士には愛がないとか言って愛想尽かしてるのもウケる。
モエ子さん、最後に「みんな私のコーヒーを目当てに来るんだわ!」と言ってた。コーヒーを淹れるのが上手な彼女。男達はその彼女のコーヒーだけが目当てで結婚しようとか言うって嘆く。
これ、もしかしたら獅子文六さん、「女の体目当て」をコーヒーを象徴して取り上げてたりするんじゃないかって思った。夫の年収を上回るとバランスを崩す、女は結局「家庭的」が何より大事、仕事をやめるように遠回しに言われるなどなど....今じゃちょっとずつ取り沙汰されるようにはなったけど、この時代じゃあなかったはず。彼にちょっとした問題意識があったからこそ書けたんじゃないかなあって思う。
とにかく、題名にコーヒーって入ってるだけあって美味しいコーヒー飲みたくなる。(私はうんちくをたらすことはできないけどね。)
Posted by ブクログ 2024年03月17日
獅子文六氏(1893〜1969)は、劇作家、小説家、演出家として昭和の演劇振興に尽力された方。この小説は1962年から1963年に「可否道(コーヒーどう)」という書名で、読売新聞に連載され、1963年に新潮社より刊行されたものを1969年に「コーヒーと恋愛(可否道)」と改題され、角川文庫より文庫化...続きを読む。2013年にちくま文庫より復刊されたとのこと。
昭和の隠れた名作。すっごく面白いかというと、今の感覚の「面白い」にはもの足らない感じがするが、ウィットとか上品なユーモアとかを感じさせる。
主人公は坂井モエ子という脇役として国民的に愛される女優で、美人ではないが、「嫌われない」キャラ。
コーヒーを淹れる腕前が絶品で、そのコーヒーでもって八歳年下の新劇団員のハートを捉えて夫婦となっていたが、44歳になったとき、19歳の新劇女優に夫を奪われる。
彼が去ったあと、コーヒーを淹れるのも朝ごはんを作るのも張り合いが無くなり、自分一人のためならインスタントコーヒーで済ますという日々を送り、荒んだ気持ちが仕事にも影響して、初めて主役を務めたドラマも不評。仕事も暇になったある時、コーヒー仲間に「可否会」の主催者との結婚話を持ちかけられた。コーヒーを通じてその菅先生とは懇意になっていて、何かと相談相手にもなってもらっていて、お互い乗り気ではあったが、菅先生は自分の創設したい「可否道(コーヒーどう)」の助手としてしかモエ子のことを考えておらず、愛を感じられないので、モエ子は「イエス」と言えないでいた。そこへ新しい彼女に去られた元夫が戻ってきて「やっぱりモエちゃんのコーヒーが毎日飲みたい」と復縁を迫るのだが、モエ子は自分への愛情ではなくコーヒー愛からモエ子をパートナーとしたい男達にうんざりし、自分の女優としての仕事を極める勉強のために海外へ旅立つ。
1962年ごろの40代といえば、大正生まれ。モエ子を初め、この頃のテレビ俳優と言えば、新劇出身者が多かったようで、テレビを軽蔑しながらも生活のためにテレビに出続け、心はまだ新劇にあるという人が多かったようだ。テレビがまだ珍しかったころの芸能界やインスタントコーヒーが庶民に普及し始める少し前からコーヒーに親しんでいたインテリ達の生活など、その時代の人達からも今の私達からもちょっと一般人とは違う世界の人達の世界のことが書かれていて、そこが新鮮かな。
あと、セリフがちょっと昔のチャキチャキした江戸弁?みたいで、昔テレビでたまに見た古い白黒時代のドラマや映画を思いだす。
古き良き時代というのか、文化を味わうつもりで読むのがいいかな?
でも、最後のモエ子はかっこいい!
今の芸能人も結婚だの離婚だのドロドロだらけだが、あんなに潔く自分のために旅立つことが出来る生き方は古くない。
Posted by ブクログ 2023年07月27日
阪神古書ノ市で友と選書のし合いっこをした際にプレゼントしてもらった本。
古書ノ市楽しかったなぁ!
戦後の昭和が舞台の物語。
昭和らしい独特な言葉回しを最初は読みづらく感じたけれど、だんだんクセになって楽しく読み進める事が出来たし、なんなら脳内で口癖がうつッちまったわ…。
ハイカラでユーモアがたっ...続きを読むぷりなお話。
登場人物みんながカラッと明るくてサッパリしているのは時代ならではなのかな?
とんでもないクソ女であるアンナですらカラッとしていて憎めない。良い!
コーヒーとタイトルに入っているだけに、コーヒーの蘊蓄も沢山でコーヒーを飲みたくなる。
昔からあるような古い喫茶店でコーヒーをのみながら読みたいなぁ。
可否道には何度も笑ってしまった。なんやねんコーヒー道の家元て!本人は大真面目なのも憎めなくて良い。
最後の方の展開は「やァ、モエ子女史、ほだされちゃァ、いけないよ…」とハラハラしたけれど大笑いしてスッキリ気持ちの良い締めくくり。
そこまで皆を夢中にさせるモエ子女史のコーヒー、味わってみたいもんだなぁ。
あとがきもユーモアたっぷりで良い。それ、コーヒーによる胃もたれでは…?!
昭和の作品がこんなに読みやすく、面白いだなんて。
自分じゃ絶対に選んでいないタイプの本なので出会えて嬉しい一冊。
実写化しても面白そうだなー、と色々想像しながら読んだ。
ベンちゃんは田中圭さんなんかどうだろう!
Posted by ブクログ 2023年04月29日
昭和のノスタルジーを感じさせる作品でした。
私が生まれた頃、今は亡き両親の新婚だった時代の物語。当時の社会は今のSNS世代から見たらさぞノンビリして、自由で生きやすそうに思えるかもしれません。
そういう意味では結末など気にせず、安心して読める内容でした。
Posted by ブクログ 2023年03月28日
表紙に惹かれて、読みました。
ちょうど、桜の満開の日に、読み終えることができて、
本当に心地よかったです。
私も、最近コーヒーが好きなので、
この本に出てくる
いろいろなコーヒーが、
美味しそうで、
モエ子さんのコーヒーを、
飲んでみたかったなあ、
美味しそうな、
美しい本との出会いに感謝。
Posted by ブクログ 2023年02月10日
脇役女優坂井モエ子には8歳下の夫がいる。
コーヒーを入れるのが絶妙にうまい妻と、コーヒーの味がわかる夫。
そんな二人の関係は、ある日夫が放った「コーヒーがマズい」の一言から変わっていく。
書かれた当時のハイカラさが、読んでいる今はノスタルジックに感じて新鮮でした。
勉君がモエ子さんを捨ててア...続きを読むンナと駆け落ちしたときに、二人にざまぁを期待したのは最近の流行りの影響でしょうか(^_^;)
自分が捨てたくせに、モエ子さんの家に入り浸る勉君。
モエ子さんを思っているようで実は、自分の可否道のことしか考えていない菅さん。
最後にモエ子さんが二人を振ったところはすっきりしました。
「男って奴は、どいつもこいつも、コーヒー好きのイヤシンボで、エゴイストで、あたしのコーヒーが目的で、結婚しようなんて、いい出すんだわ。誰が、その手に乗るもんか!」
Posted by ブクログ 2023年01月24日
軽妙洒脱ってこういうことかのお手本みたいなスッキリでした。スルスル読めて面白かったです。
モエ子女史、格好良い。落ち込み悩むし、苛々したり舞い上がったりもしたけれど、潔いです。ベンちゃんへの啖呵、スッとしました。こうでなくちゃ!
ベンちゃんとアンナは、仕様が無いナア〜となります。呆れ返る。
形式なん...続きを読むて固いこと言わず、蘊蓄も垂れずに美味しいものは美味しい、で良かろうと思います。可否道って!ダサい。誰が、その手に乗るもんか!でも、コーヒーよりお茶のほうが好き。
Posted by ブクログ 2022年09月03日
約60年前の小説と思えないほど、読みやすく軽快だった。
登場人物が癖のある、理解し難い人ばかりだったけれど、主人公の人柄なのか、文章のせいなのか、深刻さがなく、コミカルでそれがよかった。
この時代の作品で、結婚を選ばずに自分の人生を生きる選択をした女性を書いているのが斬新で、すごいと思う。し、だから...続きを読むこそ古臭い印象なく読めるのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ 2021年12月03日
めっちゃ面白いというわけじゃないけど読みやすくて好き
獅子文六のあとがきで「コーヒー飲みすぎて胃を痛めた、コーヒー小説はもうこりごり」と愚痴を書いてるのが何より面白い。
Posted by ブクログ 2021年07月02日
60年も前の作品とは思えないほど馴染むお話。レトロではあるけど古臭くはなく、体験したことのない時代の話だけれどもなんとも懐かしい。全てハッピーエンドで丸く収まるわけではないのも、心情に無理がなくて安心する。穏やかに読める一冊。
Posted by ブクログ 2021年03月21日
昭和の時代背景が漂うユーモアたっぷりの恋愛小説。主人公、モエ子はドラマの人気端役だが、物語もテレビドラマを観るような感覚で読んだ。
43歳のオバさん(作中ではおばあさんとまで言う)が主人公の恋愛話は余程変わっていると思うが、その展開も中々新鮮で、恋愛心理だけを延々と書き連ねながら表向きのエピソードは...続きを読むほぼ皆無に近い恋愛小説とはちがって展開を楽しむ事もできる。登場人物それぞれが、人物像を持ち、説得力があり、そして皆に共感できるところは流石と感じる。
60念前の小説だが、文体はここまで違うか、と思うほど。嫌いではなく、むしろ味わい深いし、面白い言い回しに感心する。終盤の物語のまとめ方がとても好きです。黎明期のテレビ業界事情がかなり詳しく、当時の読者はここにも興味をそそられたのではないかと想像する。今の業界の人が読んでどう感じるか聞いてみたい。
他の作品にも興味がわきました。
あとがきで作者はこの作品でコーヒーをがぶ飲みし、相当体を悪くした模様。書き上げた5年後に死去しているところからも命を削って書いた本であることを知り、読ませてもらったことに感謝する思いが強まった。
Posted by ブクログ 2021年03月17日
昭和の作品でその時代を色濃く感じる作品なのだけど、男女のあれこれというのはいつの時代もそんなに変わらないのだなぁと思わされる内容のユーモア小説だった。
美人ではないけれど大衆の人気を得ている女優の坂井モエ子。43歳の彼女は、8歳下の演劇作家のベンちゃんと事実婚をしていて一緒に暮らしている。
2人...続きを読むの暮らしは稼ぎが多いモエ子が支えていたのだが、ある日ベンちゃんは「生活革命」と称して彼より16歳下の新進女優のアンナの元へと出奔してしまう。
物語の真ん中に「珈琲」がある。モエ子は珈琲を淹れる才能にものすごく長けていて、夫のベンちゃんだけではなく、「可否会」という珈琲好きの集まりの会長である菅氏もモエ子の淹れる珈琲に心酔しきっている。
だけどモエ子にとっては朝飯前のことなのでとくに強いこだわりがあるわけではなく、だけど周りの男たちにとっては強く惹かれる才能なのだ。
モエ子とベンちゃん、モエ子と菅氏、ベンちゃんとアンナ、そしてモエ子とアンナ。
色んな組み合わせのあれこれで構成されていて、それぞれの想いが少しずつすれ違っているところに可笑みを感じる。
ベンちゃんずるいなぁ!でもこういうダメ男ってどんな時代にもいてそれなりにモテるのよね…(思想だけは一人前だから…)などと思ったりした。
モエ子はいわゆる大衆女優で、正統派美人ではないけれどその親しみやすさからCMにも抜擢されるほどの人気がある。
女性は結婚したら家庭に入るものとされていた時代において、バリバリ働く女性のさきがけ的なものを描いた物語のように思えた。
愛する男から1人の女性として見て欲しい気持ちはあっても、きっとモエ子は男なんて蹴散らして強く生きていける女性なのだ。あっぱれでとても格好良い。
新聞小説だったらしい作品。獅子文六のことは今まで知らなかったけれど、とても面白い作品だった。
曽我部恵一の解説もとても良かった。この本を読んで「珈琲と恋愛」という曲を作ってしまったとか。
Posted by ブクログ 2022年09月03日
昭和の、テレビが家庭に普及し国民がテレビドラマを最大の娯楽としていた時代のお話。
書かれたのも1960年代と60年近くも前で、読み始めは時代の背景や話し方などが読みにくかったけど、慣れてくるとスーッとストーリーに入り込めて楽しめた。
特に何か劇的なことが起きるわけでもないけど、脇役女優のモエ子さんの...続きを読む日常が癖になる面白さ。
そして、違和感に感じた昔風の話し言葉や考え方も一周回ってオシャレでハイソに感じる。ただ43歳のモエ子さんが自分の事を「おばあさん」というのはショックを受けた。
ラストのモエ子女史、かっこよかった。今も昔も女性の方が潔い。
Posted by ブクログ 2022年01月18日
★3.4(おもしろかったけれど4はいかないかな)
■モエ子女子の喜怒哀楽が一番おもしろかった。ちょっとしたことで喜んだり怒ったり悲しんだり楽しんだりと感情表現が豊か。それを表すセリフ回しは今とは言葉遣いが違うので新鮮。昭和37~38年の新聞連載ってことは当時の少なくとも東京ではこういう言葉遣いがさ...続きを読むれていたのだろうか?
■どういうふうに着地するのか? なんやかんやあっても最後は元の鞘に収まるのでは? と思ってただけに、(タイトルである)コーヒーも恋愛もうっちゃって、自分の夢だった洋行を(スポンサーの力ではなく)自分の力で実現するという潔いラストにはやられた! という感じ。タイトルからするとふつうは「コーヒーが取り持つ恋愛」なのだが、実はベンちゃんも菅も恋愛ではなくコーヒーが目当てだったという逆転の展開。なるほどそうくるのかー! 元のタイトル「可否道」よりもこっちのほうがより作品にあっていると思う(ラストでのどんでん返し的な意味合いも含めて)。
■飄々としたベンちゃんと堅物の菅が対照的。同じくテレビドラマに出つつも新劇を忘れられないモエ子と、新劇よりもテレビで売れることを第一とするアンナも対照的。登場人物の配置はわかりやすく、その分モエ子に感情移入しやすい作りになっているのかな。
■芸能のなかでテレビの影響力が増していく時代。その様子が垣間見えるのはテレビ史という観点からするとけっこう重要な資料になのでは?
■大衆小説? 通俗小説? 新聞連載だから一般大衆が楽しめる内容が求められるわけだが、意外とこれまでにそういう作品って読んでなかったかも。長くて途中やや疲れたがスラスラと読めて、けっこう新鮮だった。
Posted by ブクログ 2021年05月04日
初獅子文六。最近なぜか古本で見かけるので。
女優モエ子の、コーヒーと8歳下の勉ちゃんとテレビをめぐるドタバタコメディ小説。アンナのはすっぱな調子、可否会のしょうもないコーヒー談義、名脇役女優モエ子のあれやこれや、読んでいてまざまざと目に浮かんでくるようで面白く、軽くすらすらと読める。男と女の感じは昔...続きを読むの時代を思わせるものはあるけど、それでも新時代の鮮やかさ。
最後の見送りシーンは、本当にこのままドラマにできると思う。
Posted by ブクログ 2021年03月16日
美人ではないが親しみのある見た目と演技で人気者の女優モエ子(43)
彼女と事実婚の状態にある年下の舞台装置家の勉(ツトム)くん
二人の中が新人女優の登場でこじれて
モエ子が所属するコーヒー愛好家の会「可否会」の会長菅や新人女優に惚れ込むマネージャーが出てきたりとドタバタする。七時間半よりは抑えめ。...続きを読む
同じような想いや企てを抱えて、人がすれ違っていくのは定番で面白いですね。
何というか、時代を感じるので「女性は家庭に入って云々」とか今だとちょっと受け入れてもらえなさそう。
主人公は女優で、そう言った形に違和感を持ってくれてるけれど周りの男性連中がね…こういう時代でしたね。って捉えて読めればいいけど引っかかるひとはそこ気になりそう。
珈琲について、私は安いインスタントかドリップパック派なので、可否会の方々のうんちくは面倒臭かったな。
でも、主人公の入れる珈琲は「そこいらの喫茶店より美味い」らしいので飲んでみたい。(本人はもういれたくないだろうけど)
Posted by ブクログ 2021年02月08日
まわりくどいところもあるけど、
意思が強くてさっぱりしている、
昭和の“粋”みたいなものに対する
憧れを抱かせる本だった。
インターネットやSNSのない時代、
他人の、要らないアドバイスや評価に
必要以上に揺さぶられることがないからか、
ゆっくり、だけどきっぱり、
なまめかしい中年の恋愛。
やっぱ...続きを読むり今の自分には大人で難しいなとも
思ったけど、どこか心惹かれた。
本当の真髄は
半分もわかってないかもしれないけど。
高校時代古典が好きになった理由を思い出した。
違う時代の違う生活の、同じ人間の同じ気持ちを
文章が時を超えて運んできてくれるからだった。
Posted by ブクログ 2021年02月06日
モエちゃんのダメ女っぷりが自分と重なってついつい応援しながら読んだ(笑)
ヒモ旦那も若い女優も可否会のおっちゃんたちもそれぞれいい味出してて楽しかった。
コメディドラマにならないかしらん。
Posted by ブクログ 2021年01月04日
うむうむ。良い。これまた、良い。獅子文六、凄いぞ、この軽妙さは。
ただ、最初に読んだ「七時間半」が面白すぎて、ソレと比べると、こっちは、うーむ。おもろいけど、そこまでじゃないよね、って、生意気な事を思っちゃいました。ですので、三点。です。でも、限りなく四点に近い三点です。大満足の三点、ってところで...続きを読むすね。
あとがきが、凄く興味深い。これほどに軽妙洒脱な新聞連載小説を、獅子文六は、70歳の古希の年齢で、毎日連載していたのか。しかも連載中にコーヒーの飲みすぎ?で、体調崩して、めちゃくちゃ苦労しながら連載していたのか。そんな苦しみ的なものを、一切感じさせないこの文章なのに。凄いなあ。大尊敬。
作品中で、モエ子が、恋愛の悩みとかでね、せっかくの自身初の?主演ドラマの「社長夫人」?でしたっけ?の演技が、てんでダメで、視聴者にも局にも支援者にも、そっぽ向かれちゃうのと、大違い。獅子文六、少なくとも、この文章に、なんらかのキレの悪さは、一切感じなかった。自らの体調不良を、作品に影響させなかった、ってえのは、大したもんです。しかも、70歳の御年で。驚愕だ。凄いなあ、、、
あ、でも、あくまでも個人的な切れ味では、この作品よりも「七時間半」の方が圧倒的に面白い、って思ったんですよね。ということは、やっぱこの作品は、切れ味悪いのか?体調不良の影響、でてたのかしら?ふーむ。わからん。
いやしかしなあ、この文章の軽妙洒脱さ、本当になあ、、、凄いと思います。1962年から63年にかけて、新聞で連載されていた小説なんですよ、コレ。今、2021年ですから、約58年前、か。58年前!?でっせ?俺、生まれてないし。それが、あくまでも自分は、ですが、この文章に文体に一切の古さを感じない。なんなんだコレは。なんらかの、時代を超越した何かを、感じます。
極端に言うたら、スマホとパソコンとインターネットが登場してたら、コレって2021年の物語で、通じると思うんですよ。58年前のこの作品が。世の中の進歩ってなんなん?って思う。なんらかの、圧倒的に古びない何かを、感じます。なんらかの。あくまでも個人的に、ですが。
話としては、ホンマにたわいの無い話、毒にも薬にもならないストーリーだね、ちゃんちゃん。で終わっちゃう話なんですが、それでも、その中に、すげえ謎な不思議な良さは、間違いなくあると思うんですよね。読むに値する何かを。なんなんだろうなあ、この感じ。ダメ人間でも愛しちゃう気持ち。ま、人間なんであれ、愛すべき存在だよね、って思わせちゃうなんらかのマジックが。
いやもう、ホンマに失礼な言い方なんですが、すっげーどーでもいいストーリーなんですよ。ホンマに。
脇役だったら抜群の存在感の年増の女優が、若い事実婚の男を劇団員のスチャラカ女に寝取られて、んでもなんだかホノボノ。
コーヒーが好き過ぎる人が、茶道みたいにコーヒー道を日本に確立したいぜ俺はヤルぜ!って血気盛んに燃えつつも、同好の士のコーヒー好き仲間はそれを生温かく見守る。
で、年増の女優は、結構色々アレコレありつつも、全てがもうエイヤッわたしは女優業を生涯貫く!って決心して、とりあえず海外の演技を勉強してきます~って旅立つ。
うーむ。そんな話。超シリアスに書こうと思えば書ける内容を、ここまでホノボノ書くんかい?というホノボノさ。だが、、、そのホノボノが、、、ホンマに抜群にいいんや。一周どころか三周くらい回って、この毒気の無さが、なんかしら不思議に抜群に、シミジミ、良いんや、、、凄いよ獅子文六。2021年のコロナ禍の、この俺を、こんなにホノボノ幸せな気分にさせちゃうんだもの。
マジでこう、なんらかの不思議なマジックが、あります。獅子文六には。ちょっと、この人の作品に出会えた、ってのは、奇跡的なトピックですね。いやもう、驚きでしかないんですよね。いやもう、素晴らしいんだよなあ~。
Posted by ブクログ 2021年01月01日
サニーデイ好きからの。恋愛コメディ、という言葉からしてなんとも古いおとぼけ感が、はまると楽しい。地味にヒロイン(主人公というより)と同年代で応援したくもなり。ラストが小気味よい。
Posted by ブクログ 2020年12月23日
さっぱりとしている。中年女性の恋愛市場における、そこはかとない悲壮感のある立場と歳を重ねるごとに勝手に育つ母性のようなものがキッチリ描かれていて面白い。
少しずつ自分の女としての市場変化を身をもって体感してる今だからこそ、読んで面白い本だった。
「くれてやる」の言葉をこんな風に吐き捨てる醜態を晒した...続きを読むくなくて、若い頃のように嵌まり込む恋愛を遠ざけてる自分。若い女に取られたら悪態吐きながらもどこか納得するであろう、若さが与える恩恵を受けてきた自分。それがあるから読んでて、さっぱりしながらも芯があって面白いなぁと思えたんだろうな。
後書きで見た著者の経歴にも興味津々。他にも読んでみたいな。