あらすじ
またひとり落ちていく――。勝てば天国、負ければ地獄。成績が待遇を決める全寮制の学校で、「教育」という名の支配が、いま始まる。予測不能な芥川賞作家による会心の初長編。
成績向上のため、一日三回以上のオーガズムを推奨する全寮制の学校で、念力テストや授業、翻訳部の部活動に励む私は、ある日、友人の真夏に恋人ができたのを知って――。
勝てば天国、負ければ地獄の、規律と欲望が渦巻く閉鎖空間。
そこで懸命に生きる少年少女たちを描いた、芥川賞受賞第一作となる、会心の初長編。
◎解説=吉川浩満
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Posted by ブクログ
学校という機関の誇張されたディストピアを描いている。1日3回のオーガズム等、おおよそ教育的とは思えないような事を強制する学校のお話。真夏という少女だけはその教育に奇妙さを感じ始めているが、他の生徒たちは考えることを放棄してただ校則や先生たちに従うのみである。真夏は自身が脚本を書いた劇で、おそらくはその教育システムへの批判を込めた作品を作ったのだろうが、先生に内容を変更させられてしまう。もしかすると、劇に出てきた悪役の苺人間は、ウェルシュコーギーを解放しようとする正義の味方だったのでは、と想像する。
一見、突拍子もない内容に思えるが、そもそも我々の受けてきた教育という名のもとに行われている活動に、こういった側面が内在していることへの警告がメッセージとしてあるのではないか、と勘ぐってしまう。筆者が誇張して伝えているこのディストピアは、今の教育を無批判に受け入れる人間を育てる学校と重ね合わせて読んでみるとリアルに近づけて見える。