あらすじ
国家の外に広がる空間に民主主義の萌芽を見いだし、多種多様な人びとの衝突と対話から立ち上がるもうひとつの世界史を描き出す。
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Posted by ブクログ
『万物の黎明』が有名な人類学者グレーバーの論文、というよりは評論。民主主義は古代ギリシャから続く西洋起源のものであるという説を問い直し西洋を相対化する。構成員の間での意見の調整や対話的な試みは洋の東西を問わずむしろ一般的なものであるというのは言われるまでもない話ですが、民主主義という言葉を使うときに、社会契約説やフランス革命以降に整備された諸制度により成り立つ仕組みを指しているのか、根本の理念のことを指しているのかによって話が変わってくるということでしょう。ややこしいのはフランス革命以降の諸制度によって成り立っているのが単なる仕組みではなく資本主義も合わさった文化にまで広まっていることか。
で、グレーバーは西洋を相対化してどうしたいかというと、それが副題にもある”「あいだ」の空間の民主主義”ということになります。人と人のあいだに権力は生まれるのだから、根元からもう一度考えようというのは、これだけ分断の流れが強い社会の中では重要なこと。ハンチントンをこき下ろしたり論の立て方が強くて面食らう部分もあるが、真っ当なことのように思う。日本でも超高齢化社会が進み、地域の過疎化も進んでいく中で私たちの暮らしをどのように決めていくかという際には、参考になる議論ではないかと思います。