あらすじ
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大陸か、日本か? 赤いアズキはどこで生まれた?
日本人にとって、アズキは赤飯やあんパンやぜんざいなど、毎日ではなくとも普通に食べる食材だ。だが、少なくとも私はアズキの研究論文を読んだことがなかったし、学会でもアズキの研究発表を聞いたことがなかった。実際のところどれくらい研究されてるんだろうと思って論文検索データベースでアズキを検索したら、ヒットした論文数、91。えっ、少なくない!?と思い、同じマメ科でも最も重要な作物であるダイズの論文を検索してみると、その数1万8千である。さすがダイズさん、油を搾るために世界中で栽培されているだけのことはある。搾りかすは家畜の餌
にしてもいいし、醤油の原料として売ることさえできる。アジアで最も重要な作物であるイネの研究論文はそれ以上で、2万2千だった。
--「まえがき」より抜粋
アズキの名前の由来って、みなさんご存知であろうか。私は子供ながらに、何でダイズは「大豆」という漢字の読み通りの名前なのに、アズキは違うのだろうかと疑問を持っていたことはある。漢字では「小豆」と書いておいて、これを「ショウズ」ではなく「アズキ」と読むなんて無理矢理過ぎはしないか。学校で習った「小」の字の読み方は「ショウ」・「コ」「ちい(さい)」であり、「あ」も「ず」も「き」もなかったぞ。豆だってまめ・トウ・ズ以外の読み方、習ってないし。
実は、「あずき」というのは「やまとことば」なのである。中国では「小豆」あるいは「赤豆」と書いてシャオトゥと呼ぶ(大豆はタートゥ)のだが、その漢字が伝わってきた後でさえ、日本人はアズキをアズキと呼び続けたわけだ。なので、それだけ重要な食べ物だったのだろうなということは想像できる。
そしてアズキの語源については、二つの有力な説がある。一つは「あ」は赤を、「ずき」は煮崩れるとか溶けるとかいう意味を表すとする説である。赤くて、かつ他の豆類よりも調理時間が短く済むマメということかも知れない(心の声:しかしアズキの調理に要する時間って……決して短くはないような?……と思ったが、ヤブツルアズキに比べると俄然早く火が通るので、ああ、なるほどという気もする)。もう一つは、「あ」は赤、「ずき」は「つぶき(粒木)」が転じたものとする説である。赤い粒のなる植物、は確かに分かりやすいが、どっちかというと前者の方がより有力視されているようだ。いずれにせよ重要なポイントは、どちらの説もアズキのアは「赤色」のアだとしていることだ。つまり、古の日本人の間にアズキという呼び名が定着した頃には、アズキはすでに赤かったということだ。
--「コラム6」より抜粋
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Posted by ブクログ
すべての、あんこ&アズキ好きなかたに、読んでほしい!
考古学と遺伝学のフュージョンです!
一万年から数千年まえの昔、人々の暮らしの中でアズキがどう進化し、栽培化されたのか、わかります。
読めばきっと、あなたの食べているあんこ、アズキをより滋味深いものしてくれますよ!
著者は、内藤健(ないとう・けん)先生です。
農研機構のジーンバンクのご所属。いざというときに、日本の遺伝子資源を守るのが「ジーンバンク」です。
内藤先生は、成瀬あかりさんと同じ、滋賀県出身・京大卒の生粋の関西人。だからこの本、そののり全開で書かれています。とっても楽しく読めます。
そして、あんこ・アズキ界隈にビックニュ~ス!(笑)
今年の講談社科学出版賞を受賞されました!(第42回、2026年7月24日決定!)
おめでとうございます! 内藤先生!
\(^o^)/
農研機構のHPにも、本書を手にニッコリの、アズキ顔の内藤先生のお写真がアップされていました。もちろん、おめしのポロシャツはアズキ色です!
作物って、自然のなかの植物とは進化のしかたが違うようです。なにしろ人が強力に介入してきますから。
アズキの原種は「ヤブツルアズキ」。その実は、ちっちゃくて、どすぐろ茶色です。
そのタネをまいて育てた物好きな人がいたんです。一万年くらい前だそうです。そこから遺伝子がちょこっとずつ変化していきます。
人が栽培をはじめた「ヤブツルアズキ」は、人々のライフスタイルに合った性質のタネが、だんだん増えていきます。どんどん変わって、3000年くらい前に「アズキ」になったそうです。
本書では、ヤブツルアズキがアズキになるための、三つの変異が取り上げられています。その一つ一つが、人々の暮らしに結びついているんです。
だから、アズキの遺伝子には、植物としての遺伝情報だけじゃなくて、一万年から数千年前のあいだに起きた、人のライフスタイルの変化を示す情報も、一緒に刻まれているんです。「ロマン」です。ロマン内藤先生と呼んじゃいます。
それが分かるようになったのも、遺伝子を読む技術の進歩のおかげです。昔と比べて、コスト100万分の1、スピード200倍だそうです。
「ナノポアシーケンサー」なんてUSBメモリーサイズで、価格数十万円(安っす!)、秒で400~500の塩基をよめるらしい。
一晩電気泳動して、そこからX線フィルムを感光させ、やっと2~3百よんでた昔を思うと、腰抜かす!
読んでると、難しいとこ、ありました。
内藤先生によると、はじめに書いてある結論だけでOK、わかんないとこは飛ばしてくれ、とのことです。
とにかく内藤先生の、わかってもらおうという姿勢がすごかったです。それが受賞につながったと思います。
特に、遺伝子が年月とともに変化していく様子を、ひらがなの昔話フレーズで説明しているところがすごい!
イメージだけでも伝えたいと、並々ならぬ努力を感じます。
この本読んでよかったです。おかげで、ほんとにあんこの味が変わりました!
みなさんも読んでから、アズキ、というか、あんこ食べてみてほしいです。絶対、おいしくなってますから!
(笑)
ちなみに、ロマン内藤先生の次の研究テーマは「マロン」らしいです。(笑)
Posted by ブクログ
文句なしに面白い。
アズキの起源は日本であった。
結構キャッチーなフレーズである。なんかこう、これだけで日本人として誇らしいというか、なんかこう胸を張りたくなるような、不思議な感覚が生じる。やっぱり『○○発祥の地』ってキャッチーなんだよな。
そんな軽い感覚で読み始めたし、導入の前書きの文章も軽妙で文体としては『バッタを倒しにアフリカへ』の前野ウルド浩太郎氏や、『僕には鳥の言葉がわかる』の鈴木俊貴氏のそれに近い。(ちなみに両者を事例としてあげているので意識はされているのだろう)とにかくわかりやすく伝えたいという気持ちがビシバシに伝わってくる。
構成も素晴らしい。
アズキの研究と著者の関係から始まっているが、現在の日本で作物の研究というものが具体的にどうすすめられているのか、ジーンバング、種子の保存についての重要性を真摯に解説している。
また研究に関わる技術開発は日進月歩であることの悲喜こもごももあって面白かった。シーケンス・DNA配列、シーケンサー・DNA配列解読装置、ゲノム解析には欠かせない機械だ。それを使うことで数千万円かかっていた研究が、技術の発展で数百万に抑えられるという事実に驚くやら、感心するやらで……こうした時代の変化にも、食らいつく気概がないと、研究というものはなりたたないのだろうと思った。
多様性が持つ可能性。
考古学との関係。
アズキの語源。
系統解析では説明のつかない現象に対して、葉緑体のDNAを使うなどという臨機応変さなど……とても面白い。コアレヒント(合祖)理論など馴染みのない用語もある一報で、シロイヌナズナなどおなじみの植物や、それを使っての実験の紹介など、とてもエキサイティングで面白かった。
アズキの起源は日本であった。
これだけのフレーズであるが、それに至るまでの紆余曲折が面白い。それだけでは終わらない一冊だ。
Posted by ブクログ
2026年3月刊。よくできた一冊。内装もオシャレにアズキ色。くだけた口調で、最先端の研究を紹介する。
アズキの祖先種は、東アジアに自生するヤブツルアズキ。その種子は小さく、褐色に黒斑。一方、アズキの種子はその2.5倍の大きさ、しかも赤色。いつどこで、ヤブツルアズキはアズキという作物に変身したのか。
ポスドク時代、イネのゲノム研究をNatureに発表。2010年、その著者が新たな就職先で任されたのはアズキ。調べてゆくと、中国起源だと思われていたのに、日本起源の可能性が急浮上。縄文・弥生の遺跡から出土する考古資料もそれを裏づけているように見えた。
15年におよぶ「いつどこでどのように」という謎解き。ゲノム作成に始まって、系統解析、葉緑体DNAの作成、ウィルス・ベクターの使用……という長い旅。そして旅の終着点は25年5月。論文はScienceに掲載。アズキは日本起源、縄文時代!
ギャグも頻出するアズキ奮闘記。著者のライフヒストリーも垣間見えて、おもしろい。
(p.s.なぜ小豆はショウトウやショウズと読まずに、アズキと読むのか、昔からフシギだった。その答えも、そしてアズキの「ア」がなにを意味するのかも書いてある。作物の起源とことばの起源の収斂。そうか、そういうことなのか!)
Posted by ブクログ
アズキのルーツを探る研究の旅に好奇心をくすぐられっぱなしだった。生物で学んだ知識を復習できたり、アップデートしたり、なにより二度見三度見してしまったのはナノポアシーケンサーなんだけれど(笑)クリの続報も気になります。
Posted by ブクログ
日本版
「プロジェクト・ヘイル・アズキ」!
小豆に縁のなかった遺伝資源研究者が、
アズキのゲノム解析に携わるようになり、
どんどんのめり込んでいく。
ゲノムを通じて、縄文人と会話しているようで、
ユニークな語り口も面白い!
まるでSFのような、全く実話のノンフィクション。
日本人ならこれを読め。