あらすじ
処女をうばわれた十五の春。置屋に売られた十六歳の朝。運命の男との出会い、世を沸かせたあの殺傷事件。出所後、つかの間の幸せ。そして今――伝説の“悪女”阿部定の恋の軌跡を男たちの視点で描く。辻原登と丸谷才一、二人の読み巧者に絶賛された連作短篇小説集。
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Posted by ブクログ
阿部定ほど人口に膾炙した女性はいないだろう。小説や伝記本・評論の類は無数に出版されているが、島村洋子が書けば一味も二味も変わってくる。阿部定の真の人物像に迫る力作!
Posted by ブクログ
誰もが知ってる『阿部定事件』。
これはあくまでもモチーフとした小説なので、
きっと相当の脚色はされているのだろうが、
希代の悪女として名を馳せている阿部定だが、
本当はいじらしくて可愛い女だったのではなかっただろうか?
定に係わった7人の男たちが、
順番に定との日々を懐古する形式の連作で、
最後に定自身が自らの半生を語り締めくくっている。
作者の筆力は、まるで本人たちにインタビューしてきたかのような
リアリティに富んでいた。
団鬼六氏の解説も良かった。